線路沿いに歩く旅
JR花輪線 その1
2016年5月30日
5月18日に田沢湖を一周20キロメートルを歩いたので「もう少し長い距離を歩きたいなあ、できれば線路沿いに・・」という思いが出てきた。
盛岡駅を起点としては北は青森駅、南は東京駅、西は秋田駅まで歩いてしまっている。
東方面は沿岸の宮古市までの山田線が残っているが、昨年(2015年)12月に発生した土砂崩れから復旧していなくて不通のままなのだ。
もともと運行本数が1日4本しかない路線なのでJRも真剣に復旧させようと考えていないのではないかと思う。
列車を走らせれば走らせるほど赤字が膨らむ路線なのである。
できればこの事故をきっかけに廃線にしてしまいたいというのが本音だろう。
山田線がダメならば別の路線を・・と考えていたら、なんと身近なところに魅力的な路線があったのだ。
盛岡市の好摩駅と秋田県の大舘駅を結ぶ花輪線である。
距離は107キロあり途中は険しい山道のコースだ。
安比スキー場のある安比高原駅への上り坂は蒸気機関車の時代は難所だったからSLの3重連も見られたところだ。
地図を見ると好摩駅から安比高原駅まではちょうど25キロメートルである。
わたしが歩きたいと思っている距離だし長い上り坂があるので自分の脚を試すのにちょうどよい。
自宅から日帰り出来るコースなので思い立ったらすぐ出かけることにした。
いつもより少しだけ早起きしてバイクで出発駅である好摩駅まで行く。
ちょうど通勤時間帯で道路は混みあっていたが午前7時45分には好摩駅に到着した。
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この好摩駅も盛岡市にあるのだ。以前は玉山村だったのだが2006年に盛岡市と合併したのである。
好摩という地名をワードで入力すると最初に「仔馬」が表示される。
まあ、好摩という地名を知っているのは岩手県の人だけだろうしなあ。
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そんなわけで駅舎にはひらがなで「こうま」そして「啄木」と書いてある。
「啄木」とは石川啄木のことである。明治時代の詩人で歌集「一握の砂」で有名だ。彼は現在の盛岡市渋民の出身なのだ。
電化される前の好摩駅は、北へ向かう東北本線が奥中山駅(現在の奥中山高原駅)までの上り急勾配、そして花輪線は龍ヶ森駅(現在の安比高原駅)までの上り急勾配のためこの駅で機関車の増結をしていた。
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そのため駅構内はかなり広い。
花輪線もSLの三重連が普通だった時代は1970年代初頭までで、その後はディーゼルが取って代わりSLの時代が終わると好摩駅も閑散としてしまった。
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新しくなった駅の自由通路から見ると以前は駅構内だったところに住宅が建っているようである。
駅前にはこのような古い建物も残っている。
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ここは以前は食堂だったようだ、昔は駅前に食堂や旅館が立ち並んでいたものだ。
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その賑わいは消え去って静かな駅前を歩く。
1キロほど行くと左手に公園らしきものが見えてきた。
夜更森公園である、ここには啄木の歌碑がある。
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公園の脇を通り八幡平市方面を目指して歩く。花輪線の線路に沿うようにして道路があるので道を迷う心配はない。
踏切を渡る。好摩駅から1K891Mとあった。
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しまった! 好摩駅でゼロキロポストを撮影してくるんだった。
八幡平市に入る。
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このイラストには岩手山が描かれているのだが、そのなかに白い鳥の絵が描かれているのが分かるだろうか、これは春になると岩手山の残雪がちょうど鳥の絵のように見えるのを表しているのだ。
私たちは岩手山にこの鳥の模様が浮き出ると「ああ、やっと春がきたな」と実感するのである。
この「踏切あり」の標識はなかなかシブイ。
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パイプと踏切注意のパネルのさび具合、そしてSLの絵が実によい雰囲気をだしている。
さらにこの蟹沢踏切も枯れた味わいがある。
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柵の汚れ具合といいパネルが斜めになっているところなど、啄木なら一句浮かぶだろうか。
「好摩駅 錆び浮ける踏切に立ち カッコウの鳴くを聴く」とかね。
「岩手山 蒸気の音の蟹沢踏切で われ泣きぬれて蟹とたわむる」とか(笑)
実際のところはこの岡村踏切のように真新しいものが多いのだけどね。
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東大更駅に到着だ。
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ちいさな待合室だけの駅だった。
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つづく
JR花輪線 その1
2016年5月30日
5月18日に田沢湖を一周20キロメートルを歩いたので「もう少し長い距離を歩きたいなあ、できれば線路沿いに・・」という思いが出てきた。
盛岡駅を起点としては北は青森駅、南は東京駅、西は秋田駅まで歩いてしまっている。
東方面は沿岸の宮古市までの山田線が残っているが、昨年(2015年)12月に発生した土砂崩れから復旧していなくて不通のままなのだ。
もともと運行本数が1日4本しかない路線なのでJRも真剣に復旧させようと考えていないのではないかと思う。
列車を走らせれば走らせるほど赤字が膨らむ路線なのである。
できればこの事故をきっかけに廃線にしてしまいたいというのが本音だろう。
山田線がダメならば別の路線を・・と考えていたら、なんと身近なところに魅力的な路線があったのだ。
盛岡市の好摩駅と秋田県の大舘駅を結ぶ花輪線である。
距離は107キロあり途中は険しい山道のコースだ。
安比スキー場のある安比高原駅への上り坂は蒸気機関車の時代は難所だったからSLの3重連も見られたところだ。
地図を見ると好摩駅から安比高原駅まではちょうど25キロメートルである。
わたしが歩きたいと思っている距離だし長い上り坂があるので自分の脚を試すのにちょうどよい。
自宅から日帰り出来るコースなので思い立ったらすぐ出かけることにした。
いつもより少しだけ早起きしてバイクで出発駅である好摩駅まで行く。
ちょうど通勤時間帯で道路は混みあっていたが午前7時45分には好摩駅に到着した。
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この好摩駅も盛岡市にあるのだ。以前は玉山村だったのだが2006年に盛岡市と合併したのである。
好摩という地名をワードで入力すると最初に「仔馬」が表示される。
まあ、好摩という地名を知っているのは岩手県の人だけだろうしなあ。
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そんなわけで駅舎にはひらがなで「こうま」そして「啄木」と書いてある。
「啄木」とは石川啄木のことである。明治時代の詩人で歌集「一握の砂」で有名だ。彼は現在の盛岡市渋民の出身なのだ。
電化される前の好摩駅は、北へ向かう東北本線が奥中山駅(現在の奥中山高原駅)までの上り急勾配、そして花輪線は龍ヶ森駅(現在の安比高原駅)までの上り急勾配のためこの駅で機関車の増結をしていた。
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そのため駅構内はかなり広い。
花輪線もSLの三重連が普通だった時代は1970年代初頭までで、その後はディーゼルが取って代わりSLの時代が終わると好摩駅も閑散としてしまった。
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新しくなった駅の自由通路から見ると以前は駅構内だったところに住宅が建っているようである。
駅前にはこのような古い建物も残っている。
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ここは以前は食堂だったようだ、昔は駅前に食堂や旅館が立ち並んでいたものだ。
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その賑わいは消え去って静かな駅前を歩く。
1キロほど行くと左手に公園らしきものが見えてきた。
夜更森公園である、ここには啄木の歌碑がある。
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公園の脇を通り八幡平市方面を目指して歩く。花輪線の線路に沿うようにして道路があるので道を迷う心配はない。
踏切を渡る。好摩駅から1K891Mとあった。
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しまった! 好摩駅でゼロキロポストを撮影してくるんだった。
八幡平市に入る。
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このイラストには岩手山が描かれているのだが、そのなかに白い鳥の絵が描かれているのが分かるだろうか、これは春になると岩手山の残雪がちょうど鳥の絵のように見えるのを表しているのだ。
私たちは岩手山にこの鳥の模様が浮き出ると「ああ、やっと春がきたな」と実感するのである。
この「踏切あり」の標識はなかなかシブイ。
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パイプと踏切注意のパネルのさび具合、そしてSLの絵が実によい雰囲気をだしている。
さらにこの蟹沢踏切も枯れた味わいがある。
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柵の汚れ具合といいパネルが斜めになっているところなど、啄木なら一句浮かぶだろうか。
「好摩駅 錆び浮ける踏切に立ち カッコウの鳴くを聴く」とかね。
「岩手山 蒸気の音の蟹沢踏切で われ泣きぬれて蟹とたわむる」とか(笑)
実際のところはこの岡村踏切のように真新しいものが多いのだけどね。
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東大更駅に到着だ。
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ちいさな待合室だけの駅だった。
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つづく