VOL2 わ・た・し流

おとぼけな私ですが 好きな本のことや 日常のなにげない事等 また 日々感じたことも書いていきます。

無縁坂

2012-03-23 12:13:19 | 日記
以前住んでいたところの近所の方が亡くなり

 昨夜 その連絡をいただいた


90歳の母と暮らしていた男の人 年齢は まだ60歳になっていないと思う


 肝硬変で黄疸も出ていたらしいが

もう 手のほどこしようもなく 退院してきていたという


 住んでいた家も 支払いが滞って 出なければならないようで

残った母は 娘と同居する事になったけど

 娘の夫を好きではなく 嫌がっているのだとか


そのおばあちゃんは よく一緒に買い物に乗せて行っていたので

 私が 両親と住む為に 地域を出る事になったとき

とてもがっかりしていたのを思い出す



 まさか この年まで長生きして 息子に先立たれようとは・・・



気丈な人だけれど これはあまりに過酷な・・・


 息子の為に 好物もかかさず作り 年とって買い物も大変なのに

無理に無理を重ねていた


 今年も 心臓を患って入院していたという

おばあちゃんが退院してまもなく 息子さんが具合を悪くし

 即入院となったものの  医師からはすでに手遅れとの診断だったようで


たぶん 仕事もできず 収入面を考えて退院したのではないかと思う


 事情があって 幼い息子さんをよそに預け ずっと働き通した

息子さんを引き取った時は  すでに再婚して 娘がいたけれど

 夫は やくざな人だったため

息子さんは 程なくして家を出ていったという過去がある


 一緒に暮らすようになれたのは 息子さんが 離婚して一人身になった時


バブルで景気よい時に家を買ったので 身の回りの世話をするために

 同居を始めたけれど


過去が過去だけに どこか ぎこちない親子関係だったらしい


 おばあちゃんは もともと さっぱりとした口のわるい、

ちょっと ひねくれたところもある人だった


 でも 正直で 情も深い人


私が あそこをはなれて もう13年目だから

 きっと 親子としても 深い部分で 信頼はつながったのではないかと思う


息子さんは 優しい無口な人だった

 心臓を悪くした高齢の母を思って

自分の病気の事は 手遅れになるまで隠しとおしたのだと思う



 連絡をくれた人が 言っていた

「亡くなった事は悲しいけど、 お母さんの事を考えると

 長患いはできなかっただろうし  お金もなかったから・・・

家も ローンが半年ほど 滞っていたらしいから

 見方をかえたら これで良かったかも。私が言うことじゃないけど」



督促状が何通も来ていたのを あけずに放っておいたらしい


 だから 本当は 保険が適用になって 家のローンはなくなるものなのだけど

どうなるのかしら?


 それでも

子供を他人に預けて 働きにいかねばならなかったその負い目を

 よく私に語っていたおばあちゃんの気持ちを思うと


先だった息子の あまりの不憫さに

 胸がせまります・・・



「学び」という一言で 片付けたくないくらい

 人生は 時に 過酷なもの


ご冥福を祈りたい・・・