若水の戦いを 書けるだろうか・・・
と思いつつ とりあえず着手
ドラマでは 沢山のメンバーが若水に集結したけれど
原作では 白浅と夜華 土地の神のみで
若水神君は天界に救援を求めに行った となっている。
素錦の姿はどこにも見当たらず、恐れおののいて
身を隠したに違いなかった・・・
今日は 番外編その5より
崑崙虚に知らせが届けられた時の事を・・・
番外編には 令羽が 崑崙虚の裏山 桃林の中で
夜の勉強会をしていた時に、仙鶴からの言付けを
童子から聞く となっている。
いわく
「知らせを運んできた仙鶴が言うことには、
おそらく白浅上神は精神の均衡を失っているのだろう と。
すでに息絶えた夜華君を抱えたまま、東皇鐘の下に座り込み
周りには 堅硬な仙障を作り、誰の話しも聞かない。
神々が皆 若水の浜に集まっているけれど、仙障の為に
誰一人、二人に近づける者がいないそうです。十里桃林の
折顔上神でさえ 策が思いつかず、白浅上神は気性の激しい
性格だから、意識がはっきりした時には 天地を滅して
夜華君の後追いをするかもわからない、というので
更なる大きな災いを引き起こさない為 こうして
仙鶴を使って 急ぎ崑崙虚に 師尊を呼びにこさせた
という事です」・・・
童子は 墨淵が静養に入る前に 静養を乱してはならないと
言いおいていたのを気にして 半日ほども悩みぬいたあげく
令羽上神に決めていただこうと やって来たのだった。
令羽は ケイソウが死ぬ前に何か言い残したかを訪ねる。
童子はケイソウの壮絶な死にざまを令羽に語る。
・・夜華君の青冥剣によって突き刺され、体中に
蓮の実のごとく穴が開いた姿だった・・・と
令羽は それを聞き、初めてケイソウに会った日を
思い出すのだった。
あの日・・・風も穏やかで気持ちの良い晴天だった。
十七師弟にまとわりつかれて、仕方なく
精衛鳥を捕まえに発鳩山に行く事になった。
二人があと少しでひな鳥を捕まえるというときに
一頭の赤い馬が 突然林の奥から飛び出して来た。
鳥は逃げてしまった。
十七師弟は 腕まくりして 直ちにその青年と喧嘩しよう
としたが、思わぬ事に 師弟を止めようとした令羽ともども
青年が出した梱仙索に縛り上げられ、拉致されたのだった。
その 端正な顔立ちの青年は馬上で 令羽に言う。
「名をなんという?私が夫人に娶ってあげるのはどうかな?」
墨淵の門下に入って以来、手を出す間もなく惨敗した
初めての経験に、令羽は 恥ずかしさと憤りに震えた。
しかし、思い出に残るのは
天高く 水碧く 白い乗馬服姿の青年の背後には
鬱蒼とした青い林が広がる・・・ その景色・・
令羽は 縁あって 若水の土地神と酒を酌み交わした
事があった。酔って土地神の言うことには
「本当を言うと 小神が彼の言葉を伝言すべきでは
ない事はわかっている。小神は長年飲み込んで来たが
しかし彼がこれほど長く閉じ込められてもなお
上神の事を気にかけている事、誠に不憫に
思ってしまったのです。(中略)
あのケイソウ 実は二百年ほど前に 一度 鐘を破って
出てきていた。幸いタイミング良く白浅上神が通りかかって
すぐに彼を再び封印したので 大事には至らなかった
・・・」
動揺を見せずに 彼は手中の酒を飲み干した。
(中略)
「あの 前の鬼君は閉じ込められる前にずっと
貴方の名前を呼んでいた。 彼はずっと言っていた。
もう一度貴方に会いたいと 貴方に直に会って
十三万歳の誕生日を祝いたいと 面と向かって
貴方に聞きたいと 七万年前の 大紫明宮のケイソウを
覚えているか 尋ねたい と」
彼は記憶力はさほど良くないが このことだけは
深く記憶に刻まれていた。
童子は 彼が床から立ち上がるのに手を貸した。
彼は衣服を整え、言う「貴方は先に戻りなさい。
私が 今すぐ師父に報告することにする」
彼の目じりから 涙が一滴
それをぬぐってから ゆっくりと 墨淵が静養するための
洞に向かって歩きだした。背後には枯れた桃林を残して。
ドラマのケイソウとはちょっと
というか かなり 印象が違いますので・・・
ドラマでいえば もしかしたら 長兄の離怨あたりが
イメージの容姿かな・・・?と思いますが・・・
実は この時も ケイソウは 令羽に会いたくて
出てきたらしい・・・