自分の幼少のころ(?)、いや、子供のころか、その頃は習い事って
いわゆる学習塾とか、そろばん、習字、英語、水泳、空手とか剣道・・・
あるいは少年野球チームとか運動クラブなんかがあるくらいで、音楽は
クラシックギター、ピアノやエレクトーンがあって、まずロックだとか、
ギターが歪んでる音楽なんて誰も教えてくれなかったし、フォーソングすら
「教えます」なんてところはなかったと思うね。
今とちょっと逆なところがあって、昔は「音楽を習いました」って言うより、
「独学です」って言う方がかっこよかったんだよね。
今はなんとか教室ってたくさんあるし、料理やヨガ、フラダンスとか、
ありとあらゆるものがあるよね。
Youtubeも凄いね。よくもまあ、気前よく教えてくれるもんだ(笑)。
そのせいかうまい人が増えたと思う。研究熱心な人は楽器でもなんでも
個人技はどんどんうまくなると思うね。簡単にお手本が手に入るんだから。
まあ、弊害(ってほどではないだろうけど)、があるとしたら、みんな同じ
ようになってしまって、オリジナリティが薄くなる危険性があるかもって
ことと、自分で試行錯誤して迷いながら「これじゃダメだ」みたいに
自分なりのやり方を考えなくなる傾向があるくらいかな。
なんと言うか「これが正解です」ってものがあると、「そう書いてあったから」
「そう教えられたから」ってちょっと頭が固くなるかもなあって思う時がある。
最近、人に教えることが多いんだけど、もちろん基本的な部分や悪いクセを
つけてはいけないところなどは言うけど、それ以外はあまり細かく言わないで
初めはその人のやりたいようにやってもらうことが多い。
人間の身体の構造上、大体同じように出来ているので、大体は同じような
演奏の仕方になるはずなんだけど、少しコツを教えてあとは見守っていると、
ちゃんと自分なりに工夫して、効率のいい運指になっていたりするんだよね。
これが大事だと思うね。
「中指から始めた方が楽だよ」って一番初めに言って教えるより、自分で
発見するか、ヒントで少し遅らせて言ってあげた方が「おお!なるほど、
他に効率のいい押さえ方はないかな」みたいに自分で考えると思うんだよね。
教科書(正解)があるとね、一番怖いのは「こうしなければいけない」って
凝り固まっちゃうことだと思うんだよね。
で、今の方は”教わりに来る”と言う性質上、”なんでも聞く(質問すると言う
意味)”(笑)。ま、そりゃそうなんだけどさ。いいんだけど、これの怖いところは
自分の経験に基づいていないんで、ヘタをすると自分で自分の首を絞める
ことにもなりかねないと言うこと。
どういうことかと言うと、例えばの話、自分の場合は、アコギを弾く時に、
FコードとかローポジションのB♭などのいわゆるバレー(セーハ)コードを
ずっと押さえ続けていると左手の親指の付け根が疲労してきて、押さえが
利かなくなってくるときがある。これはどうがんばってもダメなんだよね。
自分の左手の強さ、持続力の問題なんだけど、こりゃマズイと思って、
Fコードの省略型、人差し指でセーハしないで、人差し指は1.2弦のみ
押さえて、6弦はミュートするってやつでしのいで、回復を待つときがある(笑)。
F#mコードなどのマイナーコードもそれでいけるように練習した。
で、ここからが大事なんだけど、「自分の経験上、これで困ったことはない」って
わかれば、それを自信をもって行える。
これね、自分の経験がないと、「こう押さえろって書いてあるんですけど」って
言われて、俺が「ああ、でも無理に押さえなくても大事なところだけ押さえれば
大丈夫だよ」って言っても、「でもこう書いてあるし・・・」って納得しないのね。
教科書や先生に習った知識だけを絶対基準にしなくてもいいと思うので、
自分で経験上これで不具合はないってわかれば、どうしても苦手な部分はそれで
カバーすればいいよね。
大体、優れたミュージシャンはみんな自分勝手に自分流でやってる人も多いよ。
要は「弾いてはいけない音を出す」とか「違うタイミングで弾く」とかをしない限り、
大体大丈夫なんで(笑)。
基準となるやり方を知っておくのはまずは”一番大事”。ここは無視しない方がいい。
やはりそれが一番いいんだ。昔から言われているように。
一番良いやり方ではあるんだけど、自分なりに不得意な部分は工夫してもいいって
ことね。そこから先に進まなくなっちゃうともったいないからね。
ま、あとは全く逆に全部、無視するか、だね(笑)。
すべてのやり方を否定して、自分流にやってしまうのもこれも一興。
素晴らしいオリジナリティが出せるかもしれない。
指版を上から押さえちゃうギタリストもいるし。
一応、そうは言っても所詮音楽なんて身の危険にさらされることでは
ないんで、プレイ中に間違っても誰も死なないからね。
車の運転とかだと、自分流でどうぞとは言えないけど。