AC/DC。交流直流ではなく、オーストラリア出身のロックバンドの方。
主に70年代後半にブレイクした。
ま、そりゃね、多少は知ってましたよ。ランドセルに半ズボンのアンガスヤングとか
凄い声のボン・スコットとか。Highway To HellとかBack in Blackとか・・・。
アンガスがSGでマルコムはセミアコみたいなギターとか、ベースはスティングレイが
多かったのかな・・・?
自分にとって黄金のあの時代(1970代後半)に台頭したロックバンドなんで、
かなり聴いていておかしくはないのだが、実際、同じ年代の方は随分詳しかったり
するのだが・・・。私は随分とスルーしてしまっている。
答えは簡単なのだ。
凄く単純に言うと「優先順位」。
同じ時代だと、スージー・クアトロ、ランナウエイズ、KISS、エアロスミス、
クイーン、ウイングス、チープ・トリック、ボストン、イーグルス、
ブームタウン・ラッツ、ポリス、オリビア・ニュートン・ジョン、アバ、
ブロンディ、カーペンターズ、BCR・・・等々の方が優先順位が上だったと
言うだけのこと。
何度もこのジャケットを見ては凄いなあと思い、きっと凄い曲が
入っているアルバムに違いない、角生えてるしなあと思ってはみるものの、
購入しようとするんだけど、やはりその前にスージーが、チープトリックの
新譜が、ウイングスが・・・って優先順位の関係で後回しにされてしまい、
結局半世紀以上購入できていない(笑)。
今の若い人たちには信じられないかも知れないけど、本当に”アルバムを
買わなければその曲を聴くことはほとんどできない”のだ。
今みたいに軽くユーチューブで検索してみるわって感じで探せない。
レコードを買うかラジオでかかるか、あるいはTVでプロモーションビデオが
かかるかしか聞けないし、ましてや動いているところを見るのも至難の業なんだ。
KISSもしばらくは写真で想像するしかなかったんだ。
どうやって血を吐くのか、火は火炎放射器みたいに出るのか、ランナウイエズが
お互いを蹴りあって血が出るって本当なのか?(笑)とか色々と想像を
膨らませるしかなかったんだ。
で、AC/DCだが、曲がキャッチーでラジオでかかりまくるって感じでもない。
PVも王子様みたいなロックヒーローが出ているわけでもない。
ランドセル背負った変態おじさんが首振ってギター弾いて、ハイトーンデスボイスが
狂ったように歌う(笑)・・・っておおよそ万人にウケる感じのバンドコンセプト
でもないんでなかなか聞いたり、見たりすることが出来なくて、また、運の悪い
ことに(?)、自分の周り(友人)が誰もAC/DCに興味を持っていなかったんだ。
これ大事でね、中学高校時代なんてそうそうLPを何枚も変える経済的な余裕が
ないんで「俺、これ買うから、お前はあれを買ってくれ」的なこともあったし、
当然そのあとはカセットテープにダビングをしあうって流れでめでたく両方の
アルバムが聴けるってわけで、また、「誰々がロッド・スチュワートの新譜を
買った」と聞けばこれまたダビングをお願いできるわけで・・・。
まあ、そんな具合に友人知人などを網羅して(笑)、興味のある音楽を
やっと聞くことが出来る時代だったんだけど、見事にAC/DCだけは
抜けていたわけなのよ。誰も買ってくれない(笑)。誰か買えよっ!
お気に入りのマクセルのカセットテープにダビングしてくれっ!
ちなみにプロモーションビデオってのを初めて見たのはおそらく
ぎんざNOWって番組だったように思う。もしかして勘違いで
違う番組だったらごめんなさい。その中のコーナーで洋楽のPVを
流すコーナーがあって、そこでランナウエイズのチェリー・ボンブや
クイーンの伝説のチャンピオン、BCRの恋のゲームや夢の中の恋、
KISSなんかの映像が流れて夢中になってみていたな。
もちろん若かりし頃の竹中直人やハンダースも面白かったけどさ(笑)。
ホントにこの番組だったかな(笑)。
で、長くなったけど今回本当に言いたかったことは、残念ながらAC/DCの
凄さではなく(いや、凄いけど)、”かつて音楽は超貴重なものだった”
と言うこと。
たった一曲を聞くために、子供にしては大金を、またラジオ等でかかるのを
待つにしても膨大な時間を必要としたんだ。FMファンとかでチェックしたりして。
今みたいにサクッと検索してサクッと冒頭を聞いて、また目でも見ることが
出来て、動いている映像が見れて、何十曲もそんな風に一瞬で簡単に聞けて、
一瞬で”いらんわ”って判断するなんて信じられない状況だったんだよね。
初めて動くKISSを見た時の感動と言ったら(笑)。
そりゃ、音楽の持つパワーもマジックもなくなると思うわ。
もちろん今の時代だからこその良さもあると思うけど、ここまで簡単に
見たり聞いたりしかもほぼ無料で出来ると、価値は下がるのかもなあって
思う。
確かに一瞬で聴けて、コードもすぐわかって便利っちゃあ便利ではあるけどねえ。
利用してるけどさ(笑)。
なんだろう、”大事な一曲”とか”やっと聞くことが出来た”って言う感動は
薄れていくのかもなあって思うとちょっと寂しい。