*ネタバレあります。
「太陽を盗んだ男」1979年公開、日本映画。
沢田研二、菅原文太。
昔、TVで観て印象に残っていた映画。
高校の理科教師が原子力発電所からプルトニウムを
盗み、原爆を作成する。
今でいうところのオタク気味で偏執狂の青年を沢田研二が好演。
もともとアバンギャルドな雰囲気のあったジュリーだけに
かなりハマっていたように思う。
映画自体も結構アバンギャルドで、当時は真面目に取り上げられていたと
思うけど、今ではカルト映画的な扱いになっている。
ま、そうね、演出がB級カルトっぽいところが多々ある。
突っ込みどころ満載と言うか。
シリアスに進んでいくかと思いきや、ところどころマンガチックな
演出になってみたり。少しそんな匂いがする。
全編緊張感があり、脚本自体が結構面白い。ただ原作が日本人でない
せいか普通そうはしないだろうと言うような行動をするのもご愛敬。
また放射能を扱っている映画のお約束の主人公の身体に異変が
起こってくる演出も不気味で良い。
皇居にバスで突っ込むシーンとか、そもそもプルトニウムを盗み
原爆を・・・と言う設定が今では不謹慎と言うことで作成不可能
でしょうね。セクトや過激派などのセリフも出てくる。
ただそう言った勢力は79年なのでだいぶ弱まっていた時期だと
思うけど。
で、原爆を作って政府を脅迫するんだけど、その要求が面白いんだ。
一つは
”野球中継を最後まで放送すること”
当時は試合が終わらなくても強制終了ってパターンが多かった。
自分は野球ファンではなかったんで逆に野球中継でいつもの
ドラマなどが中止になる方が嫌だったけど(笑)。
”ローリング・ストーンズの来日公演”
当時はキースの薬関係で入国不可だったのでストーンズを
生で観ると言うことは絶望的だった。
それもまだドームがなかったので武道館でね。この要求を
政府が飲むんだ。
もう一つはサラ金にお金を借りていたんで返すための現金。
結局それはビルの屋上からばらまくことになるんだけど。
池上季実子もいいですね。なんとなーく石原さとみっぽくない?
そうでもないか。
古い映画を観るのは、当時の時代感を観たい、味わいたいと
言うのが半分はある。
ここでも公衆電話やディスクジョッキー、ビーバーエアコン、
マツダファミリア、RX7、大洋ホエールズなど出てくるのも
楽しいし、考え方、その時代のアイデンティティなどが今と
随分乖離しているのを感じるのも感慨深い。
決してエンターテイメントに徹している娯楽作品と言うわけでも
ないので、必ずしも万人にオススメはしないけど、それでも
名作に違いないので観て絶対に損はない。
簡単に忘れ去ってしまうような作品ではないと思う。