「青春の殺人者」1976年公開。
水谷豊、原田美枝子、市原悦子。
アメリカ映画で言うところのアメリカンニューシネマと
言ったところでしょうか。
ストーリーで持って行くと言うより、若い主人公たちの
心情、生きざまなどを丁寧に描いて行くような作品。
”俺たちに明日はない””イージーライダー””明日に向かって撃て”
などなどのような刹那的に生きる若者像とでも言うような。
今でこそ品行方正な役柄だけになった感のある水谷豊ですが、
若いころは”傷だらけの天使”に代表されるような大人社会に
反発する若者をよく演じていました。
こちらはNHKドラマ「男たちの旅路」での鶴田浩二、森田健作、
水谷豊。↓
”熱中時代”の先生役で急に真面目な役になってそこからシフト
したのかなとも思いますが、もちろん本人の希望などではなく、
北野広大先生役がハマったのでそういうオファーが増えたんでしょう。
この映画は両親を殺害してしまう若者の役です。
以前も書いたけど、こういった映画は半分はその時代に
タイムスリップしたいから観る場合も多い。
ハリウッド映画張りのエンターテイメントや起伏に富んだ
ストーリー、派手なアクションなどはなから求めていない。
この時代の持つ、猥雑さ、刹那さ、暴力性、いいかげんさ、
毒々しさ、刺激、民度、自由、不公平さなどなど、決して今と
比べて生きやすいわけでもないとは思う。けれどどうしても
この時代あたりに自分の原点があると言うか、この辺を基準に
考えてしまう部分があるのも事実だ。
もちろんどの時代にもその時代なりの大変さはあると思うし、
この時代が良かったのかと言われると実はそうでもない。
おそらく今の方が表面的にはずっと安全だ。
現代と比べるとずっと雑で乱暴で大雑把な時代。町を歩くのでさえ
怖かった。やっぱり現代の方がいいに決まっている。
そうなんだけど、なぜかこの頃の映像を観たりすると
泣きたくなってしまうのだ。
本当にあんな時代があったのだろうか。幻ではないのか(笑)。
日本中がエネルギーに満ち溢れていたように感じる。
自分が若かったせいかもしれないけれども。