湖のさざ波のごと寄せてくる若狭の春を君に告ぐるや
講演のために若狭へ行って来ました。
北陸道を敦賀ICで下りて27号線を美浜、三方を経て小浜へ向かいます。途中、三方五湖の岸辺近くで車を停めて深呼吸。水面を渡ってくる風はもう春の装いでした。のどかな風景を眺めながら束の間の旅人をしている私でした。
前便で能登にふれましたが、若狭もまた大好きなところです。俗化していない美しい自然は勿論のこと、人々の心もとても温かい。昔から鯖街道で京都へ通じていたこともあり、言葉も京都弁に近く、同じ福井といっても若狭は近畿圏のように思われます。
昨年12月に名田庄村(3月より合併により、おおい町になりました)の名田庄中学校へお伺いしましたご縁で、先日は名田庄小学校と、公民館とで2講演させて頂き、前後して小浜市にある県嶺南教育事務所で不登校関係の講演会や市立保育所での講演会にもお呼び頂き、若狭路の早春を満喫してきました。
昼と夜との講演の間の時間に畏友、芝美代子さんがされている「わくわくくらぶ」をお訪ねしました。「わくわくくらぶ」は芝さんが退職後,自費で作られた一時預かりの託児施設です。今では地域の子育て支援の施設としてなくてはならない存在です。
芝さんは私たちのカウンセリング研究会のお仲間でもあり、拙著「あのの・・・カウンセリングに学ぶ人間関係」の中にも執筆して頂いています。また私の文中にも、彼女が保育園の園長時代の下記のような保育の一こまを紹介しています。
園にはNTTより頂いた古い電話機が5台あります。ある日の昼食後、そのうちの2台を1メートルほど離して置き「今日はどんなことでもいいから先生にお話したい人は電話してね」と言うと長い電話の行列が出来ました。
一番目は5歳児のT君。ダイヤルを回す。口でリリーン、リリーン。(中略)
つづいてY君の番です。
「もしもし、どちらさまですか」
「はい、Yです」
「どんなお話かな」
「おうちのことです」
「おうちのことですか、どんなことかな」
「うちのお父さん、いっぱい怒るんです」
「お父さんがいっぱい怒るのね」
「たたいたりするんです。カルタをしている時とか・・・」
「たたいたりするのね。そんな時どうしたらいいかな」
「はい、かしこくしたらいいです」
「かしこくしたらいいと気がついたのね」
「はい、そうします。さようなら」
いかがですか。「かしこくしたらいいです」には脱帽ですね。芝先生の受け答え(応答と呼びますが)が素晴らしいですね。この会話の流れはカウンセリングでいうところの、積極的傾聴なのです。先生が、ああしなさい、こうしなさいと言う前に「そんな時どうしたらいいかしら」と子どもに答えを考えさせているところが大切ですね。でもこれは単なる技法の前に、やはり、芝さんの豊かな感性と言いますか、お人柄によるところも大きいのですがね。
私はカウンセリングのお話をする時には、よくこのことを紹介します。
続きが気になりますか。「あのの・・・カウンセリングに学ぶ人間関係」(ぎょうせい)をご覧下さいね。
また、親子、人間関係、コミュニケーション等の学びの場として「カウンセリング研究会・あのの」(NPO法人で行き掛かり上、昨年から私が理事長をやっています)や「実践カウンセリング研究会・萌え木」(私のH.Pの方で例会の様子がご覧になれます。http://www.viplt.ne.jp/toyoho/)などがあります。もし関心をお持ちになられましたら、ご参加をお待ちしています。
さらさらと山より流るせせらぎは若狭の里に春を告げ行く
それでは今回はこれで。ごきげんよう。