コミュニケルーム通信 あののFU

講演・執筆活動中のカウンセラー&仏教者・米沢豊穂が送る四季報のIN版です。

Good old days 牧水をちょっと。

2021-08-29 | life

 秋かぜや碓氷のふもと荒れ寂びし 坂本の宿の糸繰の唄

牧水の歌である。坂本は中山道の往年の宿場町であった。この歌は明治の末期の作だが、この頃には坂本宿はもうすっかり寂れていたようだ。一度は訪いたいと思いつつ果たせずにいる。

★久々に旧い友よりの電話である。もうかれこれ4、5年は音信不通であった。

「元気!?」

   「うん、まあまあやってる」

「啄木は?」(啄木の講座をしているのかと聞いている)

   「出番がなくて・・・」

「そうかあ。コロナだよなあ。ところでお酒は?」

   「あまり・・・」

「今日は何の日か知ってる?」

   「えっ?!」

「yo-サン らしくないなぁ。愛酒の日・・・」

   「牧水忌だったかな・・・」

「ちがう。誕生日」  ・・・・・

★と、こんな調子でぽつりぽつりと。8月24日は牧水の生誕の日だから、酒を愛した牧水に因んで「愛酒の日」とは。牧水もさぞや苦笑していることだろう。

昔、彼とよく飲みに行った。互いに誘い誘われ。福井市の繁華街、赤い灯青い灯のカタマチのスナックであった。二人で梯子もした。

その頃、私は洋酒で「パーじいさん」(Old Parr ・スコッチ)をキープしていた。平成の初めの頃のことである。

今はもう洋酒はやらない。日本酒もたまにしか飲まなくなった。加齢なのか。ひとり酒も侘しいこともあるのだが。

ママやあのコたちは昔の名前で出ているのだろうか。いやいやもうとっくに足を洗ったことだろう。

まさにGood old days よき日々だった。

★閑話休題:牧水のことは何度か書いたり、啄木の話をするときにはよく触れていた。

牧水の歌は啄木とはまた違っていい。お酒が入ると私はよくその

白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり

を朗誦した。彼は短歌や文学に特に関心があるタイプではないが、私とは話があった。そしてこの歌を気に入り、二人で人生について若いなりにも、しみじみ語り合ったものだ。

されど、牧水の歌はやはりこの歌。これほど人口に膾炙された歌はないだろう。

白鳥はかなしからずや空の青 海のあをにも染まずただよう

以前にも少し書いたが今は昔、文芸部の顧問をしていたとき、女生徒がこの一首をよく口遊んでいた。彼女は何故か「はくちょうは・・・」と読んだ。私は「しらとり だよ」と言ったが、彼女はその時は「しらとり」にしたが、次にはまた一向に直さず「はくちょう」のままだった。私はもうそのままにしていた。

単に読み慣れているためなのか、それとも「はくちょう」の語韻が好きだったのかも知れないと思う。

今思うと「はくちょう」でよかったかな、なんて感じている。その彼女は今は何処にいるのだろうか。もう50前後だろう。

由なしこと、まことにつまらぬことを連ねてしまった。実はいま、yo-サンのお顔はほんのりさくら色。秋の夜とも言えないがどうぞご寛容に。今宵これにて。

 

 


近況・心境 凌霄花の花

2021-08-13 | Weblog

名の如く霄(そら)を凌ぎてあかあかと花咲きており夏の日高し 

 以前にも凌霄花(ノーゼンカズラ)について書いたことがあるが、この花は特に好きという訳ではないが、何だか懐かしい思いがする花である。

もう微かな記憶なのだが、昔、たぶん中・高校生の頃に読んだ短編、山本周五郎の「凌霄花」が、そのある種の懐かしさのルーツのようだ。

周五郎得意の武家物語だが、城代家老の一人息子と、城下の富裕な呉服商の一人娘の切ない恋の物語だったかな。その恋はともかくとして、二人が天神山?に凌霄花の花が咲くとき、その下での忍び合いを繰り返し描いている。

 

その後、その物語のことなど思い出すことはなかった。ここでも何度か書いているが、その昔、今は亡きヒトリシズカの君に植物園や野山を案内して頂いたことがある。たしか加賀方面だったと思うが、山際に咲く大きなノウゼンカズラがあった。彼女は「ノーゼンカズラですよ」と指差した。その時、何となく甘酸っぱい初恋のような雰囲気が漂った。そして例の短編のことが蘇ってきた。(画像は福井市で)

<閑話休題>

北よりのメロン届きぬ去年の如

前回も記したが、体調の整わないときは好物のフルーツがカンフルだ。今年もまた空輸の富良野メロンが届いた。

宅配の人徐にメロン置く

配達のS便さんには沢山の社員さんがおられるが、今年も昨年と同じ方であった。「今年も来ましたね」と言って大事そうに勝手口の上がり框にそっと置いてくれた。1週間の追熟を待って戴いた。寺坂農園さんの逸品のメロンだ。さすがに美味しい。好物はと訊かれると「メロン、メロンパン、メロンジュース」と答える私。お陰で元気を取り戻した。そっと手を合わせ贈り主に感謝している。

何となく銀の匙など取り出してメロンを掬うひとり居の夏

お見舞いメッセージなど感謝申し上げます。只今、9月からの研修や講演の準備を始めました。

yo-サンの近況・心境でした。今宵これにて。