(2024年3月25日)「レヴィストロースはこの神話=M479 les Oiseaux -Tonnerres et leur nièce=は社会と自然の整合訴えている」が前回の最終行。さっそくその意味を考えてみよう。
ヒロインは「少女が一人眠りこけていた。精神は空っぽ。目が覚める、面倒を見る親はいない、生きていることのみをしった」。この少女は未成熟の女。これまでの神話では女は「成熟」した娘を語っている。成熟した女とは周期性(月経)を体現している。周期律の確立(転がる首神話)及び月の嫁神話(24年2月26日、3月4日にYoutube投稿)では、月の起源と月経との関連を通して、成熟した娘の行動を描いている。
さて、精神が空っぽの少女は目覚め旅に立つ、雷鳥の館にたどり着いて「養姪」として居着く。月の嫁に限らず多く神話では娘は「嫁」に迎えられるはずだが、姪に遇されるとは。
レヴィストロースは
« Les frères en font une nièce adoptive, « relation la plus hautement considérée et honorée ». En vérité, elle n’atteindra jamais l'adolescence, car elle sera transformée en grenouille, annonciatrice des pluies et du contour du printemps. La carence de l’héroïne permet ainsi le passage de la périodicité physiologique à la périodicité saisonnière » (294頁) 兄弟たちは彼女を養姪にすると決めた。考え抜かれ、特に名誉な間柄である。実際には彼女は成熟しない、いずれカエルに変身する。役割は雨と春の訪れを予告する。ヒロインとして不足する能力が身体の周期性を捨て季節の周期性を身に持つに至った。
このあと特異点は10であるにも関わらず、序列数詞は5しか用意されていない事実を伝える。
長兄をMûdjêkiwisと名付ける。その意味は « frère de tonnerre » 雷の兄弟、5番目は末子に扱われる « Pêpkitcise » 腹の大きなちびっこの意味。ほか3名にも数詞が記されるが割愛。
新大陸の用法とは10番目の末弟にはmédiateur(仲介者)なる神聖性格が被さる。10をして「plénitude, puissance, saturation充満、力、飽和」の意味を持つのに対して、Menomini族は5で止める。この意味をレヴィストロースは季節の交代と関連付ける。
Menomini族は冬の到来を告げる「山陵の積雪」(M475cで人食い9姉妹の髪に畳み込まれる雪玉)をみて、冬ごもり(hivernage)に移る。夏の住まいから南下する。そこでこの先住民は夏と冬、それぞれを5の節句に分けた。
(Menomini族が居住する(今の)ミシガン、イリノイ州。都市で言えばミルウォーキー、シカゴが知られる、冬の寒さは想像を超える。昨年(2023年)12月には寒波が襲いシカゴでマイナス40度を記録のニュースに接した。近郊の戸建住宅には必ず巨大な暖房機を置いた「地下室」が用意される。用途は厳寒期に避難するためだそうだ。以上は渡来部から仕入れた)。
« Pour chaque saison, le nombre de mois lunaires est égal à celui des doigts. La décade connote la plénitude : 10 mois font deux saisons et une année » (282頁) 各々の季節の月数は指の数に合致する。10になって充満する、すなわち10月が2季節、一年を意味する。5の兄弟の二組とは夏の5人と冬の5人。雷鳥と毛深蛇それぞれが2組の5人を形成し、一組5人には序列数詞が与えられる。
これが対立ではない周回2重螺旋意味と読める。

本書297頁挿図の解説

レヴィストロースはサラリと本章(Balance égale数合わせ)の結論を述べる。その一句は :
« Au sein même des mythes, la réflexion, prise en main par une dialectique péremptoire, s'élève de la parenté aux fonctions sociales, des rythmes biologiques au rythme cosmique, des occupations techniques et économiques aux gestes de la vie religieuse. Dans cet univers, c'est surtout la périodicité saisonnière qui retient notre attention, car ce motif, introduit par les 2 derniers mythes nemomini, permettra de résoudre le problème des décades » (295頁)これら引用神話の思想を探り手にすると(レヴィストロースがお披露目した解析手法のこと)、それは疑いもなく弁証法の論証を用いていると理解できる。すなわち親族を社会機能に進展させ(10人兄弟をして行動し、社会を変える)、生体の律動を宇宙の振動に(指の数が季節月の数、女と月など)、就業技術などをして信仰、儀礼に(=北米先住民、戦士と狩猟者、の執りしきる太陽ダンスの祭り、本投稿では説明を省いている)昇華させている。
この弁証法宇宙の中で最も注視するのは季節の周期性であろう。Nemomini族の2神話(M478と479、山陵の雪とカエルの鳴き声で季節を知る)が10の特異性を見事に説明するからである。
2神話は10の特異点に加え 1指の数と季節 2序列数詞(1~5)を重ねる数合わせの論理 3対極して抗争にもつれる(M475、10人の人食い姉妹)神話に比べると、退いた側(雷鳥が冬ごもりするなど)には別組の5を用意して、再度の席巻(カエルが啼いたら戻る)を待つ、破滅に至らず鋭意を養う周回の思想を取り入れている。
食事作法の起源L’Origine des manière de table 10 周期、自然と文化 了 (3月25日)
補遺:一年は12ヶ月、10月は年をなさない。残る2月には季節代わりの闘争(雷鳥対蛇)が境目ごとに1月続くのだろう(レヴィストロースは消えた2月について何も語らない)
ヒロインは「少女が一人眠りこけていた。精神は空っぽ。目が覚める、面倒を見る親はいない、生きていることのみをしった」。この少女は未成熟の女。これまでの神話では女は「成熟」した娘を語っている。成熟した女とは周期性(月経)を体現している。周期律の確立(転がる首神話)及び月の嫁神話(24年2月26日、3月4日にYoutube投稿)では、月の起源と月経との関連を通して、成熟した娘の行動を描いている。
さて、精神が空っぽの少女は目覚め旅に立つ、雷鳥の館にたどり着いて「養姪」として居着く。月の嫁に限らず多く神話では娘は「嫁」に迎えられるはずだが、姪に遇されるとは。
レヴィストロースは
« Les frères en font une nièce adoptive, « relation la plus hautement considérée et honorée ». En vérité, elle n’atteindra jamais l'adolescence, car elle sera transformée en grenouille, annonciatrice des pluies et du contour du printemps. La carence de l’héroïne permet ainsi le passage de la périodicité physiologique à la périodicité saisonnière » (294頁) 兄弟たちは彼女を養姪にすると決めた。考え抜かれ、特に名誉な間柄である。実際には彼女は成熟しない、いずれカエルに変身する。役割は雨と春の訪れを予告する。ヒロインとして不足する能力が身体の周期性を捨て季節の周期性を身に持つに至った。
このあと特異点は10であるにも関わらず、序列数詞は5しか用意されていない事実を伝える。
長兄をMûdjêkiwisと名付ける。その意味は « frère de tonnerre » 雷の兄弟、5番目は末子に扱われる « Pêpkitcise » 腹の大きなちびっこの意味。ほか3名にも数詞が記されるが割愛。
新大陸の用法とは10番目の末弟にはmédiateur(仲介者)なる神聖性格が被さる。10をして「plénitude, puissance, saturation充満、力、飽和」の意味を持つのに対して、Menomini族は5で止める。この意味をレヴィストロースは季節の交代と関連付ける。
Menomini族は冬の到来を告げる「山陵の積雪」(M475cで人食い9姉妹の髪に畳み込まれる雪玉)をみて、冬ごもり(hivernage)に移る。夏の住まいから南下する。そこでこの先住民は夏と冬、それぞれを5の節句に分けた。
(Menomini族が居住する(今の)ミシガン、イリノイ州。都市で言えばミルウォーキー、シカゴが知られる、冬の寒さは想像を超える。昨年(2023年)12月には寒波が襲いシカゴでマイナス40度を記録のニュースに接した。近郊の戸建住宅には必ず巨大な暖房機を置いた「地下室」が用意される。用途は厳寒期に避難するためだそうだ。以上は渡来部から仕入れた)。
« Pour chaque saison, le nombre de mois lunaires est égal à celui des doigts. La décade connote la plénitude : 10 mois font deux saisons et une année » (282頁) 各々の季節の月数は指の数に合致する。10になって充満する、すなわち10月が2季節、一年を意味する。5の兄弟の二組とは夏の5人と冬の5人。雷鳥と毛深蛇それぞれが2組の5人を形成し、一組5人には序列数詞が与えられる。
これが対立ではない周回2重螺旋意味と読める。

本書297頁挿図の解説

レヴィストロースはサラリと本章(Balance égale数合わせ)の結論を述べる。その一句は :
« Au sein même des mythes, la réflexion, prise en main par une dialectique péremptoire, s'élève de la parenté aux fonctions sociales, des rythmes biologiques au rythme cosmique, des occupations techniques et économiques aux gestes de la vie religieuse. Dans cet univers, c'est surtout la périodicité saisonnière qui retient notre attention, car ce motif, introduit par les 2 derniers mythes nemomini, permettra de résoudre le problème des décades » (295頁)これら引用神話の思想を探り手にすると(レヴィストロースがお披露目した解析手法のこと)、それは疑いもなく弁証法の論証を用いていると理解できる。すなわち親族を社会機能に進展させ(10人兄弟をして行動し、社会を変える)、生体の律動を宇宙の振動に(指の数が季節月の数、女と月など)、就業技術などをして信仰、儀礼に(=北米先住民、戦士と狩猟者、の執りしきる太陽ダンスの祭り、本投稿では説明を省いている)昇華させている。
この弁証法宇宙の中で最も注視するのは季節の周期性であろう。Nemomini族の2神話(M478と479、山陵の雪とカエルの鳴き声で季節を知る)が10の特異性を見事に説明するからである。
2神話は10の特異点に加え 1指の数と季節 2序列数詞(1~5)を重ねる数合わせの論理 3対極して抗争にもつれる(M475、10人の人食い姉妹)神話に比べると、退いた側(雷鳥が冬ごもりするなど)には別組の5を用意して、再度の席巻(カエルが啼いたら戻る)を待つ、破滅に至らず鋭意を養う周回の思想を取り入れている。
食事作法の起源L’Origine des manière de table 10 周期、自然と文化 了 (3月25日)
補遺:一年は12ヶ月、10月は年をなさない。残る2月には季節代わりの闘争(雷鳥対蛇)が境目ごとに1月続くのだろう(レヴィストロースは消えた2月について何も語らない)