蕃神義雄 部族民通信

レヴィストロース著作悲しき熱帯、神話学4部作を紹介している。

ヘーゲル精神現象学まとめ Youtubeに投稿案内

2024年12月11日 | 小説
(2024年12月11日)ヘーゲルの精神現象学La Phénoménologie de l’Esprit、その導入章(Introduction)の紹介をGooBlogそしてYoutube に投稿(9月26日から)していました。Youtube最終回(第10回)を12月3日に終えております。今回は最終回の上塗り、これまでの「まとめ」を動画にまとめました。10回の既投稿のままですが、図録スライドを中心にして簡潔を心掛けました。内容は:訳者Jean Hyppoliteの紹介に続いて

1精神現象とは、ヒトが考える動作を示す。考えるとは脳内の現象活動である
2鍵語4と準鍵語の解説
3現象は2の様態に分かれる。現象の野と仕組み
4ヒトが現象活動に入って考えをいくら巡らせても誤り、オソレを犯してしまう。なぜなら現象の野には実体が投影されないから。オソレは10挙げられる

5悟性と知が実体の現象(基準と概念)を、幾度かすり合わせても、故に真理に達成できない
6(Jaxxaに先駆けること220年前)ヘーゲルは2段ロケットを開発した。一段目は悟性と知の内部での弁証法。ここで蓋然Certitudeと決定力Déterminabilitéの用語が持ち込まれる
7更にこれら運動には理性Scienceが内在していたのだ。かくして悟性はモノの実体、真理に(限りなく)近づける。ご批判を待ちます。

Youtube動画リンク : https://youtu.be/gKPs3BmGT94

部族民通信HPでの頁は https://tribesman.net/philo.html (PDF、動画、ショート動画にリンク)

部族民通信のホームサイトは www.tribesman.net


訳者のJean Hyppolite。本書をモト本とした理由は脚注が素晴らしいから。頭捻って喘ぎながら本文を解釈にこぎつけても、突拍子もない脈絡になったら話にならない。そんな時、脚注を参考にして修正、あるいは読み直しが図れる。袋小路から抜け出られたこと幾度か、Hyppolite先生のおかげ。


補遺:このまとめには「モノは主体で弁証法を経験する」「モノが思想を持つ」のマルクス、サルトルの魁とおぼしき2節は盛り込まれない。それら説明はTextのみだった。これら唯物、実存とヘーゲルのつながりは来年にも。

後記:部族民の2024年投稿はこれが最終、2025年の再開は1月の半ば、ヘーゲルを採り上げます。理由はこの精神現象学は読んで「面白い」から。当部族民youtubeに接近なされる方の、令和7年の御多幸を部族民一同、祈念します。

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Hyppolite訳、ヘーゲル精神現象学導入章 Youtubeに最終回の投稿の案内

2024年12月03日 | 小説
Hyppoliteによる仏語訳のヘーゲル精神現象学(La phénoménologie de l’Esprit)、その導入章 (Introduction) の紹介をSNSにて広めております。本年(2024年)9月14日からGooblogに投稿を始め(Youtubeには 同26日に初回投稿)、今回が最終投稿。投稿回数は10を数えます。最終にあたり若干の背景を:

精神現象学はヘーゲルの出版(1807年)は最初期にあたり、本書で展開する弁証法は「ヘーゲル原初期の弁証法」として位置づけられる。本書700頁のあらましが導入章12頁に記される。それは:

1 考えるとは真理を追求することである。
2 真理はモノ世界に在る
3 真理を考えの中に導入し、人の思想(基準mesure)と摺合せる。
4 その仕組は認識(connaissance)の内に現象の野(milieu)を設け、モノ対象の概念(concept)を知 (savoir) が投影する。概念と基準の対峙(節目moment)で整合不整合が定まる。現象の仕組みとして必ず不整合に陥る。節目の繰り返しとなるが、現象の域にとどまる限り真理を掴めない。
5 ヘーゲルは現象を通して真理に肉薄できる能力を悟性に与える。決定力(déterminabilité)。悟性は概念(現象の枠内)を通じてモノ世界の真理を透視する。これを経験(expérience) とする。幾度かの経験の試みで真理を体得し、絶対知を標榜するに至る。
これら記述の副産物として弁証法は現象の野だけで展開されない。知、悟性の両者の内部でも(蓋然と真理の対峙など)弁証法が広がる(二段ロケット)。知、悟性が概念と基準を形成するのは、内部で確固とした体系(弁証法)が練り上げた後に現象の野に開陳する(ヘーゲル弁証法は機械的な否定とする、一部の解釈は、当たらない)。更に「モノには思想が宿る」の記述が見られる。この文はマルクスの歴史弁証法、サルトルの実存主義の萌芽に繋がる。


Hyppoliteの胸像、出身校リセ・ジョンザックに建設される


なお本書(Hyppolite訳のヘーゲル精神現象学)は日本に紹介されていない。

訳者Hyppolite(Jean、1907~68)は ソルボンヌ大学哲学教授、高等師範学校校長などの要職を歴任した。Wikipediaから一節を引用する「1955年にはマルクスの初期の著作、つまりヘーゲルの影響が色濃く見られる時期の作品に関する研究を発表した。それはまさに、フランスにおけるヘーゲル熱が最高に高まっているタイミングでの出来事だった。1963年、彼はコレージュ・ド・フランスの教授に選出され、「諸体系の歴史」講座を受け持った。同時代人であるサルトルたちがドイツ哲学から影響を受けながら新奇性のある著作を発表してきたのに対し、イポリットの方はテクスト解説者、教育者、翻訳者として名をとどめている」

最後に、本投稿(ヘーゲル5_2)は悟性が決定力を発揮し自身を絶対知に高める過程を説明する。その高みとは理性(science)の位置である。弁証法は、精神背後に潜む理性が統治している。

Youtube動画リンク https://youtu.be/87TvL_eJoZc

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