(2019年9月27日)
本文は蕃神が主宰するHP「部族民通信」に本日(27日)投稿した一文と同じです。
パラダイムparadigmeについて語る。
スタンダード辞書では【語】範列、語形変化の表とある。レヴィストロースが社会学に応用を試みた時の言語学ソシュールの用いた意であろう。paradigmeに対応する語がsyntagmeである。辞書を開くと「辞節、記号の結合体」(スタンダード)とされる。ここでは言語学には深入りしない(出来ない)。
小筆はparadigmeを単純から複雑への経時変遷と捉える。<il s’agit a partir d’un objet simple , de decouvrir une structure qui se retouvera dans un objet plus eleve>訳;ここで課題となるのは単純な対象から始めより複雑化した(eleve)対象の内の構造を探し出すことである。(Platon、Menon。Dic. de Philosophieから引用)。単純から複雑へ、この過程は進展である。進展とは指向性を持ち、その指向の極地点とする目的に向かう。これは思考のあり方として弁証法dialectiqueである。
一方、syntagmeは上Dic. de Philosophieには説明が載せられない。Saussure独自の言語学での用法らしい。上の説明(辞書スタンダード)では分からないのでRobertを開けると<groupe de mots qui se suivent en produisant un sens acceptable. 意味を形成する語の結合(語にはmorpheme語素も含む)。少しは分かり易い。結合しているとは共時性を共に持つ属性が全体にある。共時に結ばれ意味=思想を成す、あるいは思想を成せる結合である。共時性と思想を理解の鍵としよう、するとこれは思考の活動としては分析である。
パラダイムワールドとは弁証法と分析理性で形成されるとすれば、カントにつながる(entendement考える力は分析と弁証法である)。レヴィストロースもこの用語を用いて、神話群を解析している。
小筆作成の「モンマネキパラダイム」上写真に入る。
この表の全域を通す思想は「社会形成」である。
横列syntagmeに天文地理身体...が並ぶ。それらの起点(灰色の楕円)に自然とある。社会はいまだ自然に統治されていた状況であるとき、同盟(婚姻)制度はないから、欲望を行動が一直線に連続していた。この時期の同盟は近親姦が猖獗していたとの神話的思考を現した。同じく横列では母系居住、ペニスを持たない男、月の不在、太陽の不在など並べた。
これら要素が「結合して意味を成す」、その意味とは自然統治の思想であり、これが原初社会という形体と対峙している。
Syntagmeの各対象は指向性を持つ。その究極点に向かう。その点が文化形成である。
PDF表の左端、社会を見よう。自然とあるが制度の不整備と読み替えてください。この制度無し(規格にあわない)は否定される。モンマネキは都合4の獣婚(カエル、地ムシ、鳥2種)と婚姻同盟を結ぶが、そのたびに母(預言者)に否定される。否定の理由の全てが「食事作法」違反である。
預言者はまず食事作法から文化の肉付けを始めると決めた、との神話精神が読める。原始ユダヤ教の預言者の教えと変わるところがない。
ここでの食事作法とは「テーブルでの食べ方指南」などを越えている。食物採取の仕方、加工の方式、味付けなど広範に「文化の規制」を網羅している。
例えば最初のカエル嫁はモンマネキに毛虫、ムカデを食させようと壺に貯めこんでいた。姑に「人が食べるモノではない」見咎められ、唐辛子をたっぷり混ぜ込まれた。
この手の「文化の規範」からの否定が4度続いて;
5番目の妻(初めての人間妻)は月が天空に無かった故に、月経の周期性を持たず、経血を垂れ流しに放置していた。これを漁の寄せ餌に使うという「不謹慎さ」を発揮してしまった。下半身を土手において経血が川に流れ込んでピラニアが寄ってくる。分離式上半身がそこに浮かんですくい上げる。
上下分離嫁が犯した食事作法違反とは何か;
1経血を寄せ餌にした。間接的に男が女の血を食らう、禁忌である。
2漁獲とは獲りまくりの作業ではない。経血流し漁は「毒流し」漁の元祖であるが、それは年に一回、特定のワンド場でと決まっている。これも社会の禁忌である。
社会面での提題(婚姻同盟と食事作法の確立)があって、モンマネキの受容が母なる預言者に否定される。そうした繰り返しが計5度繰り返された。最終的にカヌーで遠方へ嫁探し、これは弁証法です。
PDFに戻る。左3番目は行動を対象にしている。
母系居住、これを否定して遺棄される。この間に「鳥の巣には雛が居ない」と父親に反逆する挿話がはさまれる。この反抗は父親の社会地位への反抗である。父が金剛インコの雛を求めるのは、それを飼育して頭飾りを制作するためである。この頭飾りが彼の地位であり儀礼、葬儀での順位を安堵するし、豊かであるとの象徴である。しかし父親は支族を別にする、彼(バイトゴゴ)が儀礼を通過した暁には、支族を別にする男として対立する。
ここでも提題(母系引きこもり)否定(母と上下婚オヤコタワケ)受容(儀礼の第一冒険、水の中の宝物探し、に成功する)、再度の否定(雛は見えないと反抗)...弁証法的にある指向に向けて行動する。その指向は原初文化のひっくり返しである。
なお小筆はパラダイム原理を日本の世情に応用せんとし、「構造神話学農協パラダイムの終焉」なる一文をブログ投稿した(2017年12月22日から、28日は圧巻のパラダイム図=手書きです=を載せているので、ご参考に。
Blog掲載の写真は部分です(画面の制約があってPDFに紐つけできない)
HP「部族民通信」では全画面を見られるので、よろしくご訪問を(蕃神)。
本文は蕃神が主宰するHP「部族民通信」に本日(27日)投稿した一文と同じです。
パラダイムparadigmeについて語る。
スタンダード辞書では【語】範列、語形変化の表とある。レヴィストロースが社会学に応用を試みた時の言語学ソシュールの用いた意であろう。paradigmeに対応する語がsyntagmeである。辞書を開くと「辞節、記号の結合体」(スタンダード)とされる。ここでは言語学には深入りしない(出来ない)。
小筆はparadigmeを単純から複雑への経時変遷と捉える。<il s’agit a partir d’un objet simple , de decouvrir une structure qui se retouvera dans un objet plus eleve>訳;ここで課題となるのは単純な対象から始めより複雑化した(eleve)対象の内の構造を探し出すことである。(Platon、Menon。Dic. de Philosophieから引用)。単純から複雑へ、この過程は進展である。進展とは指向性を持ち、その指向の極地点とする目的に向かう。これは思考のあり方として弁証法dialectiqueである。
一方、syntagmeは上Dic. de Philosophieには説明が載せられない。Saussure独自の言語学での用法らしい。上の説明(辞書スタンダード)では分からないのでRobertを開けると<groupe de mots qui se suivent en produisant un sens acceptable. 意味を形成する語の結合(語にはmorpheme語素も含む)。少しは分かり易い。結合しているとは共時性を共に持つ属性が全体にある。共時に結ばれ意味=思想を成す、あるいは思想を成せる結合である。共時性と思想を理解の鍵としよう、するとこれは思考の活動としては分析である。
パラダイムワールドとは弁証法と分析理性で形成されるとすれば、カントにつながる(entendement考える力は分析と弁証法である)。レヴィストロースもこの用語を用いて、神話群を解析している。
小筆作成の「モンマネキパラダイム」上写真に入る。
この表の全域を通す思想は「社会形成」である。
横列syntagmeに天文地理身体...が並ぶ。それらの起点(灰色の楕円)に自然とある。社会はいまだ自然に統治されていた状況であるとき、同盟(婚姻)制度はないから、欲望を行動が一直線に連続していた。この時期の同盟は近親姦が猖獗していたとの神話的思考を現した。同じく横列では母系居住、ペニスを持たない男、月の不在、太陽の不在など並べた。
これら要素が「結合して意味を成す」、その意味とは自然統治の思想であり、これが原初社会という形体と対峙している。
Syntagmeの各対象は指向性を持つ。その究極点に向かう。その点が文化形成である。
PDF表の左端、社会を見よう。自然とあるが制度の不整備と読み替えてください。この制度無し(規格にあわない)は否定される。モンマネキは都合4の獣婚(カエル、地ムシ、鳥2種)と婚姻同盟を結ぶが、そのたびに母(預言者)に否定される。否定の理由の全てが「食事作法」違反である。
預言者はまず食事作法から文化の肉付けを始めると決めた、との神話精神が読める。原始ユダヤ教の預言者の教えと変わるところがない。
ここでの食事作法とは「テーブルでの食べ方指南」などを越えている。食物採取の仕方、加工の方式、味付けなど広範に「文化の規制」を網羅している。
例えば最初のカエル嫁はモンマネキに毛虫、ムカデを食させようと壺に貯めこんでいた。姑に「人が食べるモノではない」見咎められ、唐辛子をたっぷり混ぜ込まれた。
この手の「文化の規範」からの否定が4度続いて;
5番目の妻(初めての人間妻)は月が天空に無かった故に、月経の周期性を持たず、経血を垂れ流しに放置していた。これを漁の寄せ餌に使うという「不謹慎さ」を発揮してしまった。下半身を土手において経血が川に流れ込んでピラニアが寄ってくる。分離式上半身がそこに浮かんですくい上げる。
上下分離嫁が犯した食事作法違反とは何か;
1経血を寄せ餌にした。間接的に男が女の血を食らう、禁忌である。
2漁獲とは獲りまくりの作業ではない。経血流し漁は「毒流し」漁の元祖であるが、それは年に一回、特定のワンド場でと決まっている。これも社会の禁忌である。
社会面での提題(婚姻同盟と食事作法の確立)があって、モンマネキの受容が母なる預言者に否定される。そうした繰り返しが計5度繰り返された。最終的にカヌーで遠方へ嫁探し、これは弁証法です。
PDFに戻る。左3番目は行動を対象にしている。
母系居住、これを否定して遺棄される。この間に「鳥の巣には雛が居ない」と父親に反逆する挿話がはさまれる。この反抗は父親の社会地位への反抗である。父が金剛インコの雛を求めるのは、それを飼育して頭飾りを制作するためである。この頭飾りが彼の地位であり儀礼、葬儀での順位を安堵するし、豊かであるとの象徴である。しかし父親は支族を別にする、彼(バイトゴゴ)が儀礼を通過した暁には、支族を別にする男として対立する。
ここでも提題(母系引きこもり)否定(母と上下婚オヤコタワケ)受容(儀礼の第一冒険、水の中の宝物探し、に成功する)、再度の否定(雛は見えないと反抗)...弁証法的にある指向に向けて行動する。その指向は原初文化のひっくり返しである。
なお小筆はパラダイム原理を日本の世情に応用せんとし、「構造神話学農協パラダイムの終焉」なる一文をブログ投稿した(2017年12月22日から、28日は圧巻のパラダイム図=手書きです=を載せているので、ご参考に。
Blog掲載の写真は部分です(画面の制約があってPDFに紐つけできない)
HP「部族民通信」では全画面を見られるので、よろしくご訪問を(蕃神)。