拙作の「2007年冷たい宇宙、天国と地獄」=HP部族民通信に掲載中での1場面。地獄抜けした若宮がジゾウの案内で多摩の朝川土手に岡揚がりする。めざすのが輪廻転生場の道場。歩き始めたが若宮は地獄での釜ゆでこぼしの後遺で、右膝が痛む。土手を越そうに足が進まない、アレーとシリモチつく場面です。その1節を取り上げました。書いている本人が笑ってしまう馬鹿らしさです、皆様もお笑い下さい。
ジゾウが若宮を励ます、
=「焦りなさるな用心が一番、踏み段にしっかと身体を預け、ゆるりと足を上げそのまま堪えて、幾度か用心繰り返せば、ほれ頂きは近いぞ」と励ます。喘ぎながらも足元揃えて石段を上る若宮を手で引き、先に土手に立ったのがジゾウ。振り返り=中略=続く若宮、最後のすり足一歩が伸びない。痛む膝を手であやし、己の無力さを恨み悲しみの心を嘆く、
「ジゾウ殿には手を貸され、歩みに添いての優しいお助け。勿体なくも忝なくや。
我が歩きもっと速くとせく心、急ぎたやとの願いを胸に、足と膝とで道程ふみしめ、見たいは生まれ家会いたいが母様。輪廻が巡るかの母様に今甘えたい、はよすがりたい。
気持ちはせくとも及ばぬ足先、ゆるりにそろりののろま様、全く持って恥ずかしや。肉のしなりが骨萎えよんで、急ぎ心にチットモ応えず、ゆるりでミシシそろりでギリリ、踏ん張りゃバキキののろまの進み。ああフウフッフッ。
右が足出し左は次に、この交互の出し引きで、前に進むも後ろにシャルもさばき一つの順繰り回し。そぞろに回せばこれがアユミ。ブン回したらこれがハシリで急がば回れとはこのことじゃ。頭でしっかとおぼえても、右出す一歩でくるぶし痛む。左を向いて進めたら、うっかり痺れて腰骨抜けて、股の付け根が崩れて落ちて、あれーシリモチだ。
母様会いたい母様恋し、母様の住むかの世が愛し。恋しや愛しや、ああフウフッフッ」
北風がひゅーいと河原をぬけた。午後の空陽気に浮かれ嗤っていた薄どもがざわざわと騒ぐ。それは若宮の嘆きのよろけ足に貰い泣き、さざめきすすり泣くかすれ声だ。夜空星空では星粒共が一層瞬いた。その瞬きは歩み進めぬ若宮の辛さと悲しみを聞かされた、誘われ涙の瞬きか。ジゾウが励ました=
馬鹿らしさ加減はいかがでしたか。
本文はHPの部族民通信(左のブックマークから)の「2007年…」の第6部です。宜しくご拝読下さい。
ジゾウが若宮を励ます、
=「焦りなさるな用心が一番、踏み段にしっかと身体を預け、ゆるりと足を上げそのまま堪えて、幾度か用心繰り返せば、ほれ頂きは近いぞ」と励ます。喘ぎながらも足元揃えて石段を上る若宮を手で引き、先に土手に立ったのがジゾウ。振り返り=中略=続く若宮、最後のすり足一歩が伸びない。痛む膝を手であやし、己の無力さを恨み悲しみの心を嘆く、
「ジゾウ殿には手を貸され、歩みに添いての優しいお助け。勿体なくも忝なくや。
我が歩きもっと速くとせく心、急ぎたやとの願いを胸に、足と膝とで道程ふみしめ、見たいは生まれ家会いたいが母様。輪廻が巡るかの母様に今甘えたい、はよすがりたい。
気持ちはせくとも及ばぬ足先、ゆるりにそろりののろま様、全く持って恥ずかしや。肉のしなりが骨萎えよんで、急ぎ心にチットモ応えず、ゆるりでミシシそろりでギリリ、踏ん張りゃバキキののろまの進み。ああフウフッフッ。
右が足出し左は次に、この交互の出し引きで、前に進むも後ろにシャルもさばき一つの順繰り回し。そぞろに回せばこれがアユミ。ブン回したらこれがハシリで急がば回れとはこのことじゃ。頭でしっかとおぼえても、右出す一歩でくるぶし痛む。左を向いて進めたら、うっかり痺れて腰骨抜けて、股の付け根が崩れて落ちて、あれーシリモチだ。
母様会いたい母様恋し、母様の住むかの世が愛し。恋しや愛しや、ああフウフッフッ」
北風がひゅーいと河原をぬけた。午後の空陽気に浮かれ嗤っていた薄どもがざわざわと騒ぐ。それは若宮の嘆きのよろけ足に貰い泣き、さざめきすすり泣くかすれ声だ。夜空星空では星粒共が一層瞬いた。その瞬きは歩み進めぬ若宮の辛さと悲しみを聞かされた、誘われ涙の瞬きか。ジゾウが励ました=
馬鹿らしさ加減はいかがでしたか。
本文はHPの部族民通信(左のブックマークから)の「2007年…」の第6部です。宜しくご拝読下さい。