(2024年3月20日)序列数詞の周期性を伝える2の神話を紹介;
M475 東の空の女たち les femmes du ciel oriental, Memomini族伝承 286頁
10人姉妹が空に住んでいた。それらは地上に降り、男をたぶらかしては心臓を食う悪習を続けていた。女の兄弟9人は餌食になっていた。
« Il y avait une Indienne seul au monde avec son petit frère, elle prenait soin de lui, et quand il parvint à l'âge de la puberté, elle l’isola soigneusement pour que les femmes cannibales ne puissent l'enlever. Mais les femmes arrivèrent, suivies par neuf amants captifs qui grelottaient de froid et mourraient presque de faim, tant leur maîtresse les mal-traitaient » 地上には女が一人、弟と住んでいた。その少年が年頃になってからは空の人食い女が拐かさないよう、気を配っていた。しかし女達は降りてきた。その後ろに9人の犠牲者が従うが、彼らは寒さに震え女主人の仕打ちに厳しさから死なんばかりだった。
末子は拐われる。妻に醜い女を選んだ。実はこの女は(最後に残ったのだから)最も若く美しかった。その上 « la plus compatissante » 思いやりに長けていた。末子は9人の男たちの蘇生に成功した。人食い女たちは男たちの心臓を居屋に隠していた。末子は妻からその秘密を聞き、取り戻し9人の男に返した。
« Le héros et sa jeune femme s'enfuirent. Les sœurs leur donnèrent la chasse. Il réussit à les distancer en cachant la jambe de l'aînée. Il retourna alors à la cabane et rassembla les neuf hommes, qui était frères » 末子夫婦は逃げる。姉達は許すまじ、追いかけた。しかし末子は(先頭で追う)長姉の脚を折って脱落させた。二人は居屋に戻って9人を集めた。実は男達と末子は兄弟だった。ここで10が揃った。
« Ils gravirent une paroi rocheuse au pied de laquelle ils contemplèrent les ossements entassés des précédentes victimes et parvinrent chez la mère des ogresses où celles-ci les avaient devancés » 兄弟は断崖に向かった。そこの穴には前の犠牲者の骨が残っていた。人食い女たちの母親を探し出すと、母親は前の犠牲者の心臓を差し出した。
人食い10姉妹の脅威は、末子の機転と妻の思いやり、さらに兄弟が10人揃ったので消えた。神話では「末子は兄たちに星となれと命じた」。男は西の星、女9人は東の空に移ったーで終わる。

昨夜みた夢の中でボクは線路に捨てられた、向かってくる電車をよけようと涙混じりに叫んでた~(谷川俊太郎風)。東の空を向く踏切夜景(日野市平山)。

M465 Hidatsa族 les bisons secourables 救いのバイソン(270頁)
あらすじ:ある日、村に小太りで醜い風体の男がふらり現れ、賭を挑発した。村人は受けて立つが負け続ける。バイソン婦人(la Bisonne)がこっそり「あの小男は太陽神の化け姿、武器をすべて巻き上げてから、手下の部族どもが村を攻撃に来て村の男すべてを殺す手はず」(村の長に)告げた。「乗っ取られる」頭を抱える村人に婦人は「一つだけ手がある」。やり方とは;若者達がすべての神(les dieux)を招待しふんだんな料理で饗応し、さらに彼らの若妻を伽に出すと。
早速、神々が呼ばれた。若者達はバイソン婦人に宴の執りしきりを願うが、婦人は表には出ず「一番の別嬪を与えるから」約束をとりきめ、企ての共犯に月を呼び寄せた。部族あげての神々への饗応が始まった、婦人は太陽に宴に入り込むよう、月を通し誘うが、疑いを払いきれない太陽は断る。宴もたけなわ3夜目、月が「お前に当てられる筈の新妻は別の神に渡されるぞ」と太陽をせかす。宴の館に近づき中を覗くも、太陽は入らない。
4夜目、太陽は館に入った。バイソン婦人が近づいて甘い言葉で誘う、お前と寝たいと « la Bisonne l’entraîna aussitôt en lui disant des paroles charmeuses. Elle voulait coucher lui, n’était-il pas le plus grand des dieux ? 尻込みするのか、お前は神々の中でも最も有力なのだろう。
« Soleil se sentit floué, car la Bisonne avait déjà été sa maîtresse. Mais, en ces circonstances, on n’a pas le droit de refuser. Et il s’exécuta, bien que ce retour aux anciens errements ne lui plût guère »(270頁)
「騙された」と太陽は気づいた。なぜならバイソン婦人はかつての愛人だったからだ。でもこんな状況、周囲は宴の真最中で宴はMandan族が神々に約束した「新妻夜伽の饗応」、昨夜に盗み見た状景とは私に回るはずの美形が月に抱かれじゃないか、に陥ったら突き進むしかない。
上引用中のerrementsは常日頃の(新味ない)やり方、間違ったやり方。否定的に用いられる。「腐れ縁」は強すぎて昔の「縒り」では弱いきらいが残る。「飽いた仲」。
バイソン婦人の甘い誘いを拒絶する手だてなどない、実行してしまった。焼け棒くいは拾わねば、据え膳食わねば。昔なじみの浮いた肌しみる入る汗の香が慣れし懐かし。腐れ縁の再現に喜びも籠もった。この気の緩みが太陽の大失敗。
« Et voici l’effet du coït : le pouvoir surnaturel de Soleil passerait aux Indiens » 婦人との交渉を通じて太陽が持つ超自然の力はインディアンに移った。
12の敵部族が太陽の息子に率いられMandan村に攻め入ったが、もはや太陽ご加護の神通力は無くなった。村人の反撃に屈した太陽息子、彼に率いられた12部族長が首は狩られた。バイソン婦人の機転がMandanを救った。
Hidatsa族は12の数字に特異点を感じている。12まとまれば強力となり、近隣に覇権を打ち立てられる。その強力を具現しているのが「小男の太陽」であり、彼が勢威を振るっている間は特異点の12の威力は消えない。バイソン婦人が小男太陽を誘ったのは、彼が秘める12の力を抜き取る手はずだった。
食事作法の起源L’Origine des manière de table 9 数え方と周期性 番外 了(3月20日)
M475 東の空の女たち les femmes du ciel oriental, Memomini族伝承 286頁
10人姉妹が空に住んでいた。それらは地上に降り、男をたぶらかしては心臓を食う悪習を続けていた。女の兄弟9人は餌食になっていた。
« Il y avait une Indienne seul au monde avec son petit frère, elle prenait soin de lui, et quand il parvint à l'âge de la puberté, elle l’isola soigneusement pour que les femmes cannibales ne puissent l'enlever. Mais les femmes arrivèrent, suivies par neuf amants captifs qui grelottaient de froid et mourraient presque de faim, tant leur maîtresse les mal-traitaient » 地上には女が一人、弟と住んでいた。その少年が年頃になってからは空の人食い女が拐かさないよう、気を配っていた。しかし女達は降りてきた。その後ろに9人の犠牲者が従うが、彼らは寒さに震え女主人の仕打ちに厳しさから死なんばかりだった。
末子は拐われる。妻に醜い女を選んだ。実はこの女は(最後に残ったのだから)最も若く美しかった。その上 « la plus compatissante » 思いやりに長けていた。末子は9人の男たちの蘇生に成功した。人食い女たちは男たちの心臓を居屋に隠していた。末子は妻からその秘密を聞き、取り戻し9人の男に返した。
« Le héros et sa jeune femme s'enfuirent. Les sœurs leur donnèrent la chasse. Il réussit à les distancer en cachant la jambe de l'aînée. Il retourna alors à la cabane et rassembla les neuf hommes, qui était frères » 末子夫婦は逃げる。姉達は許すまじ、追いかけた。しかし末子は(先頭で追う)長姉の脚を折って脱落させた。二人は居屋に戻って9人を集めた。実は男達と末子は兄弟だった。ここで10が揃った。
« Ils gravirent une paroi rocheuse au pied de laquelle ils contemplèrent les ossements entassés des précédentes victimes et parvinrent chez la mère des ogresses où celles-ci les avaient devancés » 兄弟は断崖に向かった。そこの穴には前の犠牲者の骨が残っていた。人食い女たちの母親を探し出すと、母親は前の犠牲者の心臓を差し出した。
人食い10姉妹の脅威は、末子の機転と妻の思いやり、さらに兄弟が10人揃ったので消えた。神話では「末子は兄たちに星となれと命じた」。男は西の星、女9人は東の空に移ったーで終わる。

昨夜みた夢の中でボクは線路に捨てられた、向かってくる電車をよけようと涙混じりに叫んでた~(谷川俊太郎風)。東の空を向く踏切夜景(日野市平山)。

M465 Hidatsa族 les bisons secourables 救いのバイソン(270頁)
あらすじ:ある日、村に小太りで醜い風体の男がふらり現れ、賭を挑発した。村人は受けて立つが負け続ける。バイソン婦人(la Bisonne)がこっそり「あの小男は太陽神の化け姿、武器をすべて巻き上げてから、手下の部族どもが村を攻撃に来て村の男すべてを殺す手はず」(村の長に)告げた。「乗っ取られる」頭を抱える村人に婦人は「一つだけ手がある」。やり方とは;若者達がすべての神(les dieux)を招待しふんだんな料理で饗応し、さらに彼らの若妻を伽に出すと。
早速、神々が呼ばれた。若者達はバイソン婦人に宴の執りしきりを願うが、婦人は表には出ず「一番の別嬪を与えるから」約束をとりきめ、企ての共犯に月を呼び寄せた。部族あげての神々への饗応が始まった、婦人は太陽に宴に入り込むよう、月を通し誘うが、疑いを払いきれない太陽は断る。宴もたけなわ3夜目、月が「お前に当てられる筈の新妻は別の神に渡されるぞ」と太陽をせかす。宴の館に近づき中を覗くも、太陽は入らない。
4夜目、太陽は館に入った。バイソン婦人が近づいて甘い言葉で誘う、お前と寝たいと « la Bisonne l’entraîna aussitôt en lui disant des paroles charmeuses. Elle voulait coucher lui, n’était-il pas le plus grand des dieux ? 尻込みするのか、お前は神々の中でも最も有力なのだろう。
« Soleil se sentit floué, car la Bisonne avait déjà été sa maîtresse. Mais, en ces circonstances, on n’a pas le droit de refuser. Et il s’exécuta, bien que ce retour aux anciens errements ne lui plût guère »(270頁)
「騙された」と太陽は気づいた。なぜならバイソン婦人はかつての愛人だったからだ。でもこんな状況、周囲は宴の真最中で宴はMandan族が神々に約束した「新妻夜伽の饗応」、昨夜に盗み見た状景とは私に回るはずの美形が月に抱かれじゃないか、に陥ったら突き進むしかない。
上引用中のerrementsは常日頃の(新味ない)やり方、間違ったやり方。否定的に用いられる。「腐れ縁」は強すぎて昔の「縒り」では弱いきらいが残る。「飽いた仲」。
バイソン婦人の甘い誘いを拒絶する手だてなどない、実行してしまった。焼け棒くいは拾わねば、据え膳食わねば。昔なじみの浮いた肌しみる入る汗の香が慣れし懐かし。腐れ縁の再現に喜びも籠もった。この気の緩みが太陽の大失敗。
« Et voici l’effet du coït : le pouvoir surnaturel de Soleil passerait aux Indiens » 婦人との交渉を通じて太陽が持つ超自然の力はインディアンに移った。
12の敵部族が太陽の息子に率いられMandan村に攻め入ったが、もはや太陽ご加護の神通力は無くなった。村人の反撃に屈した太陽息子、彼に率いられた12部族長が首は狩られた。バイソン婦人の機転がMandanを救った。
Hidatsa族は12の数字に特異点を感じている。12まとまれば強力となり、近隣に覇権を打ち立てられる。その強力を具現しているのが「小男の太陽」であり、彼が勢威を振るっている間は特異点の12の威力は消えない。バイソン婦人が小男太陽を誘ったのは、彼が秘める12の力を抜き取る手はずだった。
食事作法の起源L’Origine des manière de table 9 数え方と周期性 番外 了(3月20日)