鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

初音図小柄 Renjo-Goto Kozuka

2013-01-13 | 小柄
初音図小柄 廉乗


初音図小柄 銘 紋廉乗光晃(花押)

 後藤宗家十代廉乗の作であることを、同十六代光晃が極めた美しい小柄。鶯が松飾りの上で初音を披露するといった場面。土筆があり、蕨があり、春の訪れを待つ気分。現代の正月ではまだ土筆や蕨の出る時期ではないが、正月を迎えるということは、即ち新たな春の到来を意味しており、初音に春の訪れを重ねる意識は一段と強い。筆者の子供の頃、正月には神社で「初音」と呼ばれる竹細工の笛をいただいていた。うまく鳴らせなかったものだが、人ごみの中から鶯を擬した笛の音があちこちから聞こえ、こどもながらに羨ましく感じた記憶がある。