東下り図鐔 後藤光孝


東下り図鐔 銘 後藤光孝(花押)
「富士見業平」の別称があるように、歌人は在原業平と考えられている。この鐔は、後藤宗家十三代光孝の作。後藤家では鐔の製作が比較的少ないことは良く知られている。鐔の作例としても貴重である。赤銅地を微細な石目地に仕上げ、片切彫で、簡潔に描いている。太刀を手にする侍従を描き、歌人の姿は省略している。東国に下るとは、落ちぶれた姿を想わせる。業平は東国の風情を脳裏に刻もうとしているのだが、侍従のほうでは主を軽んじているのであろうか、装剣小道具の作例によっては、いかにも主の供をしているのでは退屈という態で、のんびりとした様子に表現することもある点は面白い。


東下り図鐔 銘 後藤光孝(花押)
「富士見業平」の別称があるように、歌人は在原業平と考えられている。この鐔は、後藤宗家十三代光孝の作。後藤家では鐔の製作が比較的少ないことは良く知られている。鐔の作例としても貴重である。赤銅地を微細な石目地に仕上げ、片切彫で、簡潔に描いている。太刀を手にする侍従を描き、歌人の姿は省略している。東国に下るとは、落ちぶれた姿を想わせる。業平は東国の風情を脳裏に刻もうとしているのだが、侍従のほうでは主を軽んじているのであろうか、装剣小道具の作例によっては、いかにも主の供をしているのでは退屈という態で、のんびりとした様子に表現することもある点は面白い。