鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

蓑亀図小柄 後藤廉乗 Renjo Kozuka

2015-07-16 | 鍔の歴史
蓑亀図小柄 後藤廉乗


蓑亀図小柄 後藤廉乗

装剣小道具には、描かれている文様や主題を強調したり鮮明にするために、その周囲に装飾を施すことがある。地文もそのひとつであるが、さらにその周り、即ち端部にも装飾を施すことがある。鐔では耳に装飾を加え、縁頭には小縁などを加えることがある。
 写真の縁頭は、端部をわずかに高く仕立てて金の色絵を施している。これによって柄と縁や頭の間に明るい線が生まれ、印象が強まる。特に黒糸と赤銅地の縁頭を分ける金の線は目立つ。
 後藤家の小柄が典型。赤銅地の地板を一段鋤き下げた部分に別彫りの赤銅魚子地高彫色絵とした地板を嵌め込み、その周囲である下地部分には金の薄い板を被せる。そのまま裏板まで金で包み、裏には鑢目を施す。これが金哺(きんふくみ)である。赤銅地の図柄の周囲が金の縁で装われて額縁のような雰囲気が高まる。絵画的な装飾を目的としたことが判る。上の写真例は後藤廉乗と極められた作。伝統を守った図柄であり、また表現手法である。□
 下の柄は、縁頭に金の小縁が効果的な作。