鐔鑑賞記 by Zenzai

鍔や小柄など刀装小道具の作風・デザインを鑑賞記録

抱杏葉紋唐草文図鐔 西垣 Nishigaki Tsuba

2021-01-19 | 鍔の歴史
日本刀専門店 銀座長州屋

抱杏葉紋唐草文図鐔 西垣


抱杏葉紋唐草文図鐔 西垣

 同心円状に溝を設けた鐔面全体に、腐らかしの手法で文様を浮かび上がらせている。腐らかしとは、酸を用いて表面をわずかに腐食させることによってざらついた部分を造り出し、それを文様とする。即ち腐食せずに残ったところが唐草であり、杏葉紋である。腐食によって真鍮独特の皺模様が生じる。先に紹介した埋忠一類の光忠などの表面に現れている地文と同じ。鏨で彫り込んで表したものではない。

泥波図鐔 西垣勘四郎 Nishigaki-Kanshirou Tsuba

2021-01-19 | 鍔の歴史
日本刀専門店 銀座長州屋

泥波図鐔 西垣勘四郎


泥波図鐔 西垣勘四郎

 この独特の意匠からなる波を肥後では泥波と呼んでいる。西垣勘四郎に特徴的な作である。肥後金工も真鍮地を好んで用いた。背景に、華やかさを抑えるという美意識が備わっていたからであろう。そしてその美意識は千利休の茶に通じると考えられている。□65