酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

ふるさとや・・・

2011-07-26 11:50:54 | 藤沢便り
今月初め、JR藤沢駅改札口脇。
ようやく「東北の旅」のコーナーが復活を見ました。
本当に「久しぶりだなぁ」と、通行人の目もはばからず、写真を撮りました。
数枚のパンフレットを手に取りました。
いつものように「お決まりコース」ではあるものの、故郷の復興が進んでいることを、こちらでも感じました。
その中にあったツアーの一つ。
ご紹介いたしますね。
「昼食は塩竈市内の鮨屋14軒の中からお選びいただきます。混雑の場合はこちらでお店を選ばさせていただきます」
これにはそそられました。
「そうかぁ、14件。一体どこなのだろう・・」
興味はそちらの方に移った酔漢でございます。
外国人のスタッフにはどうやら「お寿司」はみな同じに見えるらしく。と言いますものの、「テーブルが回るのが本当の鮨屋」とのたまわる輩もいるほどです。
そりや「名古屋生まれの仙台育ち」の回転寿司ですから、それを否定するつもりはありませんが、やはり、鮨屋となりますと、親方気質で店の好き嫌いが分かれるものでございます。
親父どのの職場は尾島町にありました。
親父は若い時分、相当の呑んべえでありまして、その飲みっぷりは酔漢もまねできるものではございません。
その親父飲み会の定番です。
まずは「亀喜」にまいります。
先代の親方と共に板場におりました「亀喜多賀城店」の親方佐藤さんと大変仲がよく、それもあってか、よく立ち寄っておりました。
因みに「亀喜多賀城」店内には親父が開店時に贈りました「寿司ねた一覧」(と勝手に名前を付けましたが)の額が今でも飾られております。
その亀喜本店で一杯やった後、この亀喜から仙台へ移動です。
仙台のバー「ビックソシュー」(昭和30年代、ジャズの生演奏で知られるバー)へ向かいます。
そのとき亀喜へ申し入れ。「帰って来るまで店開けててね」です。
そう、塩竈へ戻ったときにまた今度は握りをたいらげて家に帰る。
そんな豪気な飲み会だったわけです。
これはまねできません。
そんな親父ですが、最近は「すし哲」の親方白幡さんのところへ通うのが楽しみだったようです。
よく、飲んだ帰りに「寿司折」を持って来てくれました。
(折は滅多に注文に応じておりませんので・・・)
亡くなる直前、親父のお気に入りの鮨屋を訪ねました。
「すし哲」と、今は無くなりましたが「辰巳」。昔仙台にあった「蛇の目」です。
親父と白幡さんの会話が面白かった。
「だれ、この前もテレビさぁ出てったっちゃ。マスコミ鮨って名前変えたらいいんでねぇかや」(親父かなり酔ってます。ご容赦です)
「鮨屋に片仮名は・・・合いませんよね」
ちょっと上目使いに親父を見ながらにやりと笑う親方でございました。

このブログへ時たま登場いたします従兄でございます。
玉川に住んでおります。
彼の得意は「すし徳」です。
ここの親方伊藤さんも元気のいい方です。
酔漢、好きです。
ここの売りは「まぐろ」大振りの握りは塩竈の他の鮨屋とは違った美しさを持っております。
気さくなお店の雰囲気はのれんを潜るのに全く抵抗がございません。
先だって、シティラピッド君はここのお寿司をいただいております。
「親父、震災の後だけど塩竈の鮪はそのままだった、旨かった!」
彼は初めての「すし徳」だったわけでした。

丹治さんの得意は「丸長」。
親方がまた渋くて、もくもくを握る手さばきが印象的です。
旬のネタを大事にしておりまして、初夏の「はも」(穴子)はおいしい一品でした。

酔漢と丹治さんとも恩師であります「宮崎ばっぱ」です。
先生は最近「大黒」がお勧めだとか。

若い親方です。
ですが持っている技術は一品。相沢さんと言います。
酢の香が独特なごはん。
親方のこだわりが随所に見える逸品です。
写真はその「大黒」の握り。
一度立ち寄りました。
そういえば、「大友さん」(大友康平さん)「高橋さん」(高橋ジョージさん)が二人でテレビ番組での収録でこのお店をご紹介されておられました。

さて、酔漢です。
塩竈藤倉にあります「美佐古」にまいります。
今、親子でもって鮨を握っております。
塩竈二小の後輩でもあります。
三代目となる彼です。
その笑顔が良くてね。
握りの美しさは親父さん、おじい様譲りのものです。

他にも、「一森」「仁王」「しらはた」などなど。
今はやはりもうありませんが、「紀文」(宮町)なども思い出に残るお寿司屋さんでした。

人口一人当たりの鮨屋の件数が日本一。
故郷ですから、肴好き。お寿司好き。の酔漢にとりまして、「まったくいい街に育ったなぁ」と離れてみてわかるのでした。

子規の句を思い出します。

ふるさとや母すこやかに鮓の味 子規

五月、母を連れ立って「美佐古」へ行きました。
子規は「自身の母手製の鮒ずし」にその思いを句にいたしております。
塩竈の鮨とは違いますが、鮨(鮓)で故郷を懐かしむ。
その気持ちは一緒だったのかとふと思いました。

あれ、いつの間にか「寿司ブログ」になっていた。
藤沢駅からもらったパンフレットへ思いをはせながらいまだに「塩竈市内の鮨屋14件」が気になる酔漢でございました。
ブースで立ち止まるサラリーマン、OLが後を絶ちません。
もしかしたら、酔漢と同じ、東北の方々なのかとふと思いました。
「是非、塩竈さぁ寄ってけらいん!」
家路へ急ぐ道すがら、そう言っておりました。


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6 コメント

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最近は回転寿司が… (ゴエモン)
2011-07-27 19:55:28
お久しぶりです。その後、体調はいかがでしょうか?

塩竈にいながら寿司屋で食べることが最近はなく…。
すし徳さんは、震災後、3月末には店頭でかんぴょう巻きと稲荷を販売していて、美味しく頂きました。職場では年末に必ず仕事納めに握りを出前してもらっています。
私は一度も行ったことがないのですが、市役所近くの寿司仙さんは、穴子が絶品らしいですよ。

もっぱら、最近はベニマル塩釜店前の塩釜港という回転寿司が行き付けですが。

藤沢にいた頃、テレビ東京の寿司職人グランプリで一位になった職人さんのいる朝日寿司(確か?)に行きました。いくらかかるのか心配で味わうどころでなかったことを覚えています。
返信する
ご無沙汰しております。 (ひー)
2011-07-27 23:38:20
馴染みの寿司屋さんばかりですね。

すっかり廻る方に傾いてしまっております。

でもカッパ・・や平・・には行きませんがね。

地震以来行ってなくて飢えております。
返信する
ゴエモン様へ (酔漢です)
2011-07-28 09:19:21
藤沢は「朝日」「車」(羽鳥)かな。
ですが、こちらでは食べられません。なんか緊張するんだなぁ。
「寿司仙」忘れてました。塩竈の鮨は奥がふかいなぁ。と思ってしまいます。
返信する
お寿司のこと (丹治)
2011-07-28 09:21:59
なんでも我が塩竈は寿司屋密度が全国一高いのだそうですね。
大して大きくもなく人口も少ない町なのに、
あれだけの寿司屋が共倒れもせずに営業しています。
どこへ行ってもそれなりのものを食べさせてくれる(だろう)し、
それだからこそ皆さんそれぞれにひいきのお店があるのだと思います。

なんでも塩竈の寿司屋は出前でもっている部分が大きいのだそうですね。
小さい頃、お客さんが来るのが楽しみでした。
{どうしてか」ですって?
そりゃぁもう、
「今日はお客さんが見えたから、お寿司を取ろうか」ってなりますもの。

初めてドイツ語の非常勤の仕事が入った時、
最初の俸給をはたいて得上を四人前註文しました。
あの頃は父も祖母も元気でおりました。

カウンターに座って食べたい物を註文するのが、小さい頃からの夢でした。
それがかなったのが、今の職場に採用されてから。
長年の夢がかなったというのに、註文するものといえば‥‥‥
コハダ、筋子の軍艦巻き、蒸し海老に蒸しダコ、子持ち昆布、エンガワ‥‥‥
ちょっとチープですかね。
マグロも確かに旨いのですが、どちらかと言えば白身の魚や貝が好きです。

たまに食べに行くのは、酔漢さんが書いたとおり、尾島町の丸長です。
家から歩いて五分とかかりません。
「マグロいろいろ」(大トロ、中トロ、赤身、カジキ)を註文して、あとはお好みで三つか四つ。
酒は生ビールを飲んで、あとは清酒か浦霞のカストリ焼酎(カストリとあなどるなかれ、旨いですゾ)。

丸長で気に入っているのは、
品書きがきちんとしていて「時価」がないこと。
一貫でも握ってくれること。
たまにアペトペな頼み方をしても馬鹿にしないこと。
カウンターに座れば、常連でなくても中の板前さんが話し相手になってくれることです。

それともう一つ。
回らないお寿司屋さんは、旨い寿司を適量、味わってたべたい時に行く所だと思います。
寿司でおなかを一杯にしたいときは、迷わず回るお店に行きます。
回転寿司も捨てたものではありません。
気に入っている回るお店は、
仙台駅前から名掛丁のアーケード街に二~三軒目。
小さなお店ですが、何を頼んでも一皿の値段が決っています。
それと好物のコハダとカジキをいつも出してくれることが最大の理由でしょうか。
カジキ‥‥‥置いてないお店もありますから。


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ひー様へ (酔漢です)
2011-07-28 09:25:24
ひーさんのお得意を是非お知らせください。
塩竈に帰省しての楽しみは、お鮨屋さんでもあるんです。

「来々軒」にも行きたいし。「土井精菓」のコーヒーロルも「おさんこ茶屋」のずんだも・・
食べたいものがいっぱい出てきます。
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丹治様へ (酔漢です)
2011-07-28 10:30:52
子供の頃「白いお刺身」が好きでした。
冬のカジキです。
カジキはマグロ類ではなく、ちゃんとした「カジキ目」だったりします。
カジキは気仙沼ですな。
気仙沼のマグロ延縄は、塩竈より浅い棚を探ります。塩竈のように、メバチ狙いだとどうしても縄を深くしなくてはいけません。当初、そういう技術が気仙沼にはなかったと父から聞きました。ですから、回遊深度の浅い魚を得意としていると聞きました。びん長、サメ、カジキなどなど。
すみません、久しぶりに「卒論」してしまいました。
閖上の被害が大きくて、赤貝、北寄貝は北海道産になっていますね。
宮城の貝は「日本一」の鮨ねた。
冬の牡蠣と共に、復活が待ち遠しいです。
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