酔漢のくだまき

半落語的エッセイ未満。
難しい事は抜き。
単に「くだまき」なのでございます。

叔母のリスト

2012-05-14 09:20:47 | 藤沢便り
今月初めの帰省。
父の三回忌の法要がメインでした。
七ヶ浜花渕浜、同性寺で執り行われました。
五月三日は大雨。
「雨男=酔漢」これは、親父もよく話しておりまして、「おめぇ来んだべ!雨に決まってっちゃ」
これは、本当の話です。
二日は(前日)は、午後に人と会って、杯を交えながらお話しを伺い。
夕方から夜にかけては、オフ会(メンバーは?ご想像にお任せいたします!因みに丹治さんもご一緒)でした。
妹家族は、4月の末には、帰塩しております。
「叔母さんのピアノの発表会が電力ホールであって、それに参加するの」
と、我が甥っ子がピアノの発表会に出るというものでした。
酔漢は、その模様をビデオで見たわけです。

酔漢が叔母からピアノの手ほどきを受けましたのは、小学校3年生の頃。
幼稚園から小学校1年までオルガン教室におりましたが、ピアノは全く別物でした。
「こどものバイエル」から始まって「メトードローズ」(安川加寿子大先生の教科書)そして「ABC」であるとか「テクニック」であるとか・・。
優しくも厳しいレッスンでした。
中学入学の前に止めます。
ですが、ピアノに触れることが出来たのは、音楽を聴く上でも大事な要素になっていると今では感じております。

久しぶりに叔母のリストを聴きました。

ベトーヴェンのソナタ17番が好きです。
これはリヒャルト・ケンプのが一番好きなのですが、この曲と出会えたのも叔母が弾いて聞かせてくれたからでした。
「第17番ニ短調 作品31-2」「テンペスト」と名付けられたこの曲の第三楽章。重さと共に、そして単調な繰り返しの中で主題が明確で見事な楽曲であると思っております。
叔母がこの曲を弾きますと、普段の叔母からは想像できないくらい、情熱的で力強い「テンペスト」に変貌致します。
酔漢はよく、叔母と話をいたしますが、つい最近まで「酔漢さん、リストに付き合ってみたらいいっちゃ」と言われておりました。
ベートーヴェンに話しが変わりました。リストに戻します。

叔母のリストは、本当に久しぶりで、これは妹の結婚式の際、リスト「愛の夢第三番」(サール番号541。「3つの夜想曲」という副題。変イ長調)を聞いて以来なのでした。
この四月に叔母が選択しましたのが「エステ荘の噴水」。(巡礼の年第三年より)
どうしても、リストの曲って「俺の指使いについてこれるかな?」的な楽曲が多いイメージがございまして、バイオリンのサラサーテのように、テクニックを駆使しなくては表現が出来ない。このような印象がございます。
この「エステ荘の噴水」にしても、そうでして、これは何より流れるようなイメージが大事な曲です。
果たして、叔母の演奏ですが、叔母らしい、タッチの中に、リストがあたかも自身の友人であるかのような理解を見事に表現しておりました。
「年とらねぇっちゃねぇ」と感じいる酔漢でございます。
まずは、お聞き下さい。

リスト - エステ荘の噴水 (小山実稚恵)


実は、この曲を塩竈の実家で聞いて曲名を思い出せなかった酔漢でした。(いや、お恥ずかしい・・汗)
叔母に電話をいたしました。
「叔母さん、久しぶりだっっちゃ。元気すか?」
「酔漢さん?久しぶりだねぇ」
(津軽生まれ育ちの叔母ですが、言葉は宮城語。津軽語のアクセントと宮城語のコラボはフランス語を聞いているようで、それはそれは見事な言葉となって耳に入ってまいります)
「電話したのは他でもねぇっちゃ。この前のリサイタル、ビデオで見たんだけんど・・」
「しょうちゃん(甥っ子)はじょうずだねぇ。もう大人顔負けだね」
「あんだいの孫もめんこいっちゃなや」
「だれ・・まだまだ始めたばっかすぃで・・でも嬉しがったぁぁ」
(孫と一緒のステージでしたから、叔母は本当に嬉しそうでした)
「ところで、聞くのはおしょしいんだけんど、叔母さん弾いた『リスト』の曲。あれ何だったかすか?」
「酔漢さん、知らなかったぁぁ?意外。『エステ荘の噴水』だよぉぉ」
ここで思い出しました酔漢でございます。
「相変わらず、見事だっちゃ」
「実はねぇ、少し音はずして・・」
素人には全く分かりません。
「もう何千回弾いてたのにねぇ」
ちょっとまて!この曲を何千回も弾いていたのかぁ!
「リストの良さが、改めて最近分かってきて・・」
達人の言葉に聞こえて来る。
昔のように、5時間を超える練習は、体力的にできなくなっている。こうも話しておりました。
2時間を区切って練習するのだとか。
まだまだ、成長中の我が愛する叔母様でございました。
愛器は写真の「スタインウエイ・アンド・サンズ」(叔母様!黙って写真を撮影しております。ご容赦)
「年と共に、弾き方がかわるのよねぇ。理想はまだまだ先なんだっちゃ」
この自分を常に高めている姿勢には、学ぶべきところ多々でございます。
「こんどいつ帰ってくんの?顔だしたらいいっちゃねぇ」
叔母の笑顔を思います。
そうなんです、鍵盤を目の当たりにする表情とは全く違っているわけです。
まさしく叔母の流儀。
「また、行ぐからっしゃ。ピアノの話ば聞かせてけさいんね!」
「あらぁ、んで待ってからね」
やはり、優しい笑顔を思い出す、酔漢でございます。

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4 コメント

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初耳でした (ひー)
2012-05-16 23:29:31
大した叔母さんがいたのですね。
たまげました。
楽器に興味はありましたが根性無しの私には無理でした。フォークソングのグループを結成したものの、楽器が無かった自分は、仲間から「ひーは歌うめぇがらヴォーカルしろ」そんなわけでもう一人女性と二人でヴォーカルし、ビアノ、サイドギター、リードギターの五人で始めたものの、遊びで終わりましたね。
その後トランペットもやりましたが、人の物じゃ上手くなるわけもなく、買って欲しいなんて家に言えるわけもありませんでした。
演奏を観るとやってみたくなるんですよね。
演奏できる人・・・尊敬します。
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あいゃぁ~!? (ぐずら)
2012-05-17 00:50:48
クラッシックには詳しくありませんが、小山実稚恵さんって名前はよーく聞き覚えあります。
イズミティーや青年文化センターのリサイタル広告で良く見る名前じゃないですか!
酔漢さんの叔母さん?…ですか!
これまた酔漢一族の底の深さを垣間見てしまったような…たまげました!
返信する
ぐずらさんへ (酔漢です)
2012-05-17 08:16:18
小山さんは、叔母でありません(汗)
すみません。曲を紹介したくて、捜したところ、私の好きなピアニスト小山さんのが映像でありましたので、それを掲載した次第です。
叔母は玉川に住んでまして・・・
詳細はメールしますね。
返信する
ぐずらさんへ (酔漢です)
2012-05-17 08:18:44
実は・・・
高校時代、あの菅野ようこさんと、キーボードで演奏した事があります。
当然メインは彼女でして、僕は少しばかりメロディーを弾いただけ。
ですが、ようこちゃんとコラボできた事は素敵な思い出です。
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