その最大の要因は現場監督ルイス・ウルスアさん(54)の秀逸なリーダーシップにあったと思います。報道により彼が行ったことを検証してみますと・・・。
1.それまでの豊富な経験から、救出までの日数を20日と想定し、残り3日分であった食料を10分割し、2日に一度全員で同量の食事をとった。
→実際に地上と連絡が取れたのが17日目でした。3日間で通常の食事をとり残量ゼロの場合を想定すると、見通しのたたないまま14日の絶食に平穏に耐えられたかというと非常に難しかったのではないでしょうか?。また20等分の量では少なすぎて最小の満足レベルに達しなかったと思われます。
「10回の食事が終わるまでに救出される」という明確な共通目標(希望)を持つことも不安感を押える大きな効果があったと推察されます。
2.11人ずつの3グループに分け作業、休養、睡眠の3交代制をとった。
→33人は単一組織としては大き過ぎて統率しにくい。規則正しい交代制により生活にメリハリがつき時間の観念を忘れることなく、就寝スペースにも余裕ができる。
3.33人全員に役割を与えた。
→各人が極限状況の中で組織に貢献する機会を与えられ、連帯感と自己実現の欲求が満たされた。
*付け加えるならば、ウルスアさんの豊富な経験・知識、強靭な意志・責任感、日頃のリーダーシッ プに対するメンバーの絶大なる信頼感、メンバーの一体感が大きな素地としてあったのだと思いま す。彼は難破船の船長のごとく、最期の救出者に自らを指名しました。
また地上への生還の第一声は事故再発防止の要望であり、全く「あっぱれ!」としか言いようのない処し方です。
*6人の救助隊員特に最期の1人の英雄的行為にも心からの敬意を捧げたいと思います。