本シリーズの最終稿として、私がこの学びを、コンサルタントとしてどのように活用しているかをお話ししたいと思います。
従業員教育は、従来の講師が 知識を教えるという形は極力避け、皆でディス カッションしながら「なぜ」を従業員全員で追及する形をメインとしました。
具体的には
①全員を1チーム3~5人の小グループに分ける。(全員が意見を言える機会を 確保するため、人数は抑え、半年ごとにメンバーの組み変えを行う) ②当初は経営上の課題(品質事故の防止、社員の定着率向上等)を講師が提示す るが、レベルが向上すれば、課題自体も従業員が討議して決めるようにする。 ③頻度は週一で、講師5分、討議15分を原則とする。(時間を取れない事業所 は、従業員の了解のもとに昼休みに行う) ④月一の頻度で「現在のマイブーム」「私の好物」等のくだけたテーマで”雑談 タイム”を設ける。これはメンバーの人となりを知り、より親密な人間関係を 知るために極めて重要である。 ⑤3か月ごとに全グループ員が集まり代表者から、討議内容の中間報告と、質疑 応答を行う。
以上が小集団活動による従業員教育の方法で、トヨタ式改善活動をほぼ踏襲しています。それにフィンランドの「個の尊重と共創、自らを肯定して、他者も尊重するダイバーシティー(多様性:みんな違ってみんないい)の精神をより意識したものといえましょう。
さらにカウンセラー・コンサルタントとしての私流として加えたものは、まず全員のカウンセリングを行って、それぞれの個性を把握します。一番大切なのが個々人の長所(本人も気付いていないものも含む)を見つけ出すことです。その際には 本人がネガティブに感じている特性を、ポジティブなものに置き換える(リフレーミング)ことです。例えば「粗野」→「力強く活動的」、「気が弱く消極的」→「物静かで慎重」等。これら個々の従業員の特性把握はは講師として個々のグループ、あるいは全体ミーティングの活動に参加して、好評を求められたときに、大いに役立ちました。