表題は放送大学の「教育史入門」のまえがきから引用しました。
写真は編者の1人で福山市立大学の森川輝紀教授です。(もう1人は東京大学の小玉重夫教授)
章立てを紹介します。
1.古典古代の教育
2.近代以前の共同体における子育て
3.近代市民革命と国民国家の形成
4.子どもの発見と近代家族
5.近代学校と義務教育
6.子どもの世紀
7.近代社会における人間形成
8.近代社会と学びの文化
9.近代学校の出発
10.明治公教育と教育勅語
11.教育学の受容と新教育
12.戦時下の学校と教育
13.戦後の教育改革
14.経済成長と教育
15.ポストモダンの教育
印象に残ったのは
*西洋と日本という2つの空間において展開展開された教育的営為が交差して叙述されて いるために、新しい視点が得られる。
*中世にこどもはいなかった:近代教育の特徴の一つは、大人とは異なる存在としての「子ども」の発見と 子どもを教育する場としての近代家族の成立にある。
*ナチス・ドイツは「ヒトラーユーゲント」として子どもたちを教育・組織し社会改造の先兵に仕立て上げようとした。
*明治維新前の我が国の教育システムは「手習塾(寺子屋)」「私塾(学問塾)」「藩校」等多彩で、その時代 としては世界的にみても識字率が高かった。
*明治5年に国民皆教育を基本理念とするわが国初の近代教育法令である「学制」が発布された。しかしながら授業料が有料であったこと、労働力としての子供を取り上げられること、更には明治維新政策自体への 反発もあり、当初は庶民の抵抗にあい、暴動化して各地で学校焼き討ちや打ち壊しが多発した。
*現代は従来の知育偏重の「詰め込み教育」への反省から移行した「ゆとり教育」が学力低下を招いたとの 反省から授業時間を増やすなどの揺り戻しの状況にある。創造性と自律性に富み生命力あふれる人材をいかに育成するか?取り組むべき課題は多い。