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ゆめと(ttm21)です。所感、エピソード等を気ままに綴ってみたいと思います

訂正する力

2024年12月01日 | 書評
 本著は 批評家の東浩紀(あずまひろき)さんが親しい友人である近代史研究科である辻田真佐憲(つじたまさのり)さんを聞き手とした語り下ろし という個性的な新書本です。

 齢80歳を超え 人生の晩秋期を迎えた私は うまく老いるには「訂正する力が必要だ」という著者のメッセージに強く惹かれましたが この内容はあらゆる世代の方々にとって参考になると思います。

 章立てと その中でとくに印象的であった内容を要約しました。

はじめに
・日本に今必要なのは「訂正する力」
それもトップダウンによる派手な改革ではなく ひとりひとりがそれぞれの現場で現状を少しずつ変えていくような地味な努力が求められる。

・日本はリセット願望が強い国であり、一方でぶれない(変化を嫌う)ことを評価する根強い文化もある。訂正する力は 「リセットする」ことと「ぶれない」ことのあいだでバランスをとる力でもある。

第1章 なぜ訂正する力は必要か
 訂正する力とは 過去との一貫性を主張しながら 実際には過去の解釈を変え 現実に合わせて変化する力のことである。それは 持続する力であり 聞く力であり 老いる力であり 読み替える力でもある。

第2章 「じつは…だった」のダイナミズム
 訂正する力の核心は 「じつは・・・だった」という発見の感覚にある。人間や集団のアイデンティティはじつはそのような現在と過去とをつなぐ「遡行的訂正のダイナミズム」がなくては成立しない。

第3章 親密な公共圏をつくる
 人は老いるが 人生は交換できない。それゆえ ある時点からは 訂正する力をうまく使わないと生きることが大変不自由になる。
 訂正する力を使うためには 自分を交換不可能な存在として扱い 凝り固まった自分のイメージを「じつは・・・だった」の理論によって訂正してくれるような 柔軟なひとを周りに集めなければならない。それは具体的には 小さな組織や結社をつくり 「親密な公共圏」をつくることで達成される。

第4章 「喧噪のある国」を取り戻す
 日本の歴史を振り返ると 縄文と弥生から始まって 土着固有の素朴な文化
文明、思想、宗教と 世界中から流入してくる最先端のそれ という極端に異なるものを共存させてきた「喧噪のある国」である。平和な国とは「喧噪に満ちた国」である。それは社会全体が一つの思考、価値観に支配されない 多様性を容認する 寛容な社会ともいえる。
 訂正する力は喧噪の力でもある。バブル崩壊後の日本は 余裕を失い ネット上で特に目立つ 自分と異なる意見・存在・価値観をとことん誹謗中傷し排除するという風潮が目立った。いまこそ 伝統を活かし訂正する力を取り戻し
喧噪に満ちた「平和国家日本」を世界に発信していこう!

私が受け取った著者からのメッセージ
 年を重ねれば 外見はもちろん内面も変化していくのは当然 いつまでも自分自身を訂正する勇気と覚悟 そして粘り強さを身につける・・そうすることが うまく老いるためにはかかせないのではないか。

おまけに
 私見ではありますが テレビの解説等から推察すると 米大リーグのMVP われらが大谷選手は訂正力の大天才ではないでしょうか?
                                 以上







 






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