放送大学の「比較行動学」を修了しました。
表題は主任講師で京都大学教授の藤田和生先生のお言葉です。
比較行動学とは簡単に言ってしまえば 様々な動物の行動、認知等を観察し人とはいかなる存在であるかを探究する学問であるといえましょう。
この学問分野では 近年飛躍的に進展した比較認知学という学問分野の成果を活用して 我々人類が従来確信していた「ヒト至上主義」に警鐘を鳴らします。
すなわち「日常的に道具を作り使うのはヒトだけだ」「文化を持つのはヒトだけだ」「言葉を話すのはヒトだけだ」などの信念は、研究が進むにつれていずれも事実でないことが 明らかにされていったのです。
チンパンジーを始めとするさまざまな動物にも、少なくとも原初的な形ではこれらの能力が備わっていることが明らかにされてきたのです。いまや、最後の砦と目される、意識や内省なども、動物にその萌芽がみられることがわかってきました。
「人とチンパンジーの遺伝子レベルでの生物学的距離は、チンパンジーとゴリラのそれより近い。この地球上の生物は、それぞれが進化した結果として適応的であり、単純に異なる存在であり、生物学的に優劣はない」というのが先生の結論です。
「人類みな兄弟」を更に進めた「生物はみな平等」という究極のダイバーシティ(多様化)肯定思想と言えるでしょう。
この結論もなかなにエキサイティングですが、私がこの科目で最初に衝撃を受けたのは、ニワトリや金魚などの魚類やカメなどの爬虫類が人類よりも
はるかに豊かな色の知覚能力を持っていることが実証されたということです。