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ゆめと(ttm21)です。所感、エピソード等を気ままに綴ってみたいと思います

自他共栄・汝の敵を愛しなさい

2014年02月18日 | 回顧録

 研修の帰途 渋谷駅の乗り換え通路で呼び止められました。振り返るとSさんで、

なんと35年ぶりの再開です。現在も司法書士事務所代表としてご活躍とのこと。

今日は遅いので 再会をお約束して立ち話でお別れしました。

 

 帰路の途中当時の情景が走馬灯のように 脳裏をよぎりました。Sさんはバリバリの

反企業戦士、私は人事部直属の活動家排除プロジェクトのメンバーでした。当時私の

勤めていたD社は、革新政党党員の牛耳る組合が連発するストライキで業界首位から

4位まで転落し、瀕死の状態からの復活を目指していました。その活動の第一が企業内

活動家の排除であり 私の職務でもあったのです。

 

 

 結果的に 私はプロジェクトのなかで トップの業績をあげ「人切りF」と恐れられました。

実態はどうであったかというと、配属後、まず所轄の活動家全員と個別面談をおこないました。

最初の面談はおおむねこのようなものです「このやろう!お前のような企業の犬は

革命が成就したら真っ先に吊してやるからな覚悟しとけよ!」これに対して私は

「まあまあ穏やかに話しましょう。成程我々は対立する立場にあります。しかし個人的

には格差のない社会実現にあこがれたこともあるし、党幹部に高校時代の友人もいます。

一つの信念を持ち活動している方はノンポリよりはずっと尊敬しています。その一方で私は

現在あなた方を極力排除し、その反企業的活動を封じ込めることで給料をもらい家族を

養っています。したがってこのミッションは何が何でも完遂します。

 

 そこで両者がウインウインとなる方法がないか探ってみました。すなわち当社を退社する方は

現在より格段に良い条件で転職先を斡旋します。他の方は生産や企業活動を阻害しなければ

従来のようなレクレーション等の会社行事から全て排除し、口を利かない等の職場での「村八分」

状態の解消と昇給・賞与・昇進の最過酷評価を公平なものに改めることを約束します。

 

 そして私のことを信用して頂くために 皆さんにささやかなっプレゼントを用意しました。先に

お断りしておきますが、当社では自前の調査組織を持っています。そこで皆さんの身辺調査を

致しました。まずリーダー格のSさんですが、将来の独立を目指して司法書士の勉強をされて

いるようですが残業・臨出の多い現状ではなかなか思うようにいかないようですね。

そこで残業・臨出の免除と特別奨学金を申請して勉学費用の半額負担を提案したいのですが?

ちなみに Aさんのお母様は心臓の難病を抱えていらっしゃいますが、従来希望して叶えられ

なかった最高権威であるJ大のS教授による執刀を先輩にあたる医長の口添えで実現させたり、

高利の住宅ローンを抱えるBさんには大幅に低利の会社提携ローンへの借り換えをすすめる

等等を考えています。」

 

 その場でSさんから回答は得られませんでしたが 次々と面談を行い 並行して各職場の

課長・職制をあつめて 簡略するならば 「北風から太陽」への作戦変更を提案し 意見を

求めると 生産現場においても従来のような同僚との際限のない闘争は疲れるのでこの提案は

好評裏に了承されました。具体的には本日ただいまより活動家への従来の敵対的な対応を

改め、職場全体で同僚として暖かく受け入れる、ストライキ・サボタージュ等の生産阻害活動に

対しては日にちを限定して従来の対応に戻すことを確認しました。

 

 

 多くの活動家の転職相談にのったことは 現在のキャリア・コンサルタントの業務に大いに

役立っておりますし。ストライキやサボタージュの根絶はもちろん活動家の業績表彰者続出等

による大幅な生産性向上で事業部は最高益を計上し、トップから末端にいたるまで幸せな時を

過ごせました。

 転勤時に活動家の現役・OBから送別会のご招待を頂きましたが さすがにこれだけは

丁重にお断りしました。

 

 

 自分の主義主張に合わない職務を命じられたらどうするかについて 恩師2人の教えが

このときも私を救ってくれました。

 

 表題の「自他共栄」は合気道の恩師T師範、「汝の敵を愛しなさい」はゼミ指導教授で

敬虔なクリスチャンのN教授です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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