今回もエリクソンです。表題はシドニー・ローゼンの「私の声はあなたとともにーミルトン・エリクソンのいやしのストーリー」からの格言です。
このミルトン・エリクソンの「教えの物語」(彼が患者や彼を慕って集まった人達に語った逸話集)は非常に独創的で魅力的です。リン・ホフマンの序文にも「それらは、非凡な「説得」の芸術である。あまりにも素晴らしいために、精神医学の棚の中にしまい込んでおくにはもったいないという人もいる。エリクソンの話はその目的が治療的なものであったとしても、それは、もっと大きな伝統、マークトウェインに代表されるアメリカのウィットとユーモアの伝統の一部なのである」
とありますように、大変に興味深く、物語として読むだけでも面白い内容です。
しかしながら、エリクソンについてあまりなじみの無い方には難解と感じられる部分が多いのも事実です。そこで「ミルトン・エリクソン入門」や「ミルトン・エリクソンの催眠療法入門」を読まれてから本書を手に取られた方がよりその内容を楽しめると思います。
今回は私が最も敬愛し 多くのセラピストから史上最高のセラピストと称えられる ミルトン・エリクソンについて取り上げました。
表題はエリクソンがその治療体系を実践する人の基本的心構えについて語ったものです。技法も大切ですが最後は哲学(理念)なんですね! この点はロジャーズと全く同じです。むしろ「来談者中心療法」を超絶技法で実践したのがエリクソンではないかと私には思えます。
エリクソンの貢献としては 従来の伝統的催眠療法におけるセラピーの強調点を
①洞察→変化
②過去→現在・未来
③病理→リソース に変化させたこと
ブリーフセラピー(短期療法)の基礎を作ったこと が挙げられます。
エリクソンは
・先天的に
①赤緑色覚異常
②音痴(リズムがわからない)
③失読症(6歳までmと3の区別不能)であり
・17歳でポリオに罹患
①全身麻痺で眼球以外が動かない
②手足がどこにあるか分からない という重篤な障害の持ち主でした。
そしてこれらの障害を克服していく過程において
「利用、トウルイズム、自己催眠、合わせとずらし、観念運動」等の
ざん新な概念、技法を開発していったのです。
今回はちょっと専門的になりましたが概要をご理解頂ければと思います。