ギフト 原田マハ 著 ポプラ文庫
原田マハさんが書かれたこの短編小説少し前に大型書店で偶然見かけたときに買って通勤電車の中だけで2週間ほど掛けながら昨日読み終えた本でした。この20編の短編小説の中に出てくる主人公たちは20代くらいの若い世代の女性で、それぞれが未来に向けて何かしらの小さな幸せに向かって行く様子が描かれていました。その背景にはコスモスが咲いていたり、桜並木をわだかまりが溶けた父と娘が歩いていたり、電車から見える景色が描かれていたりしていて、その色彩感が溢れている風景とリアルに溶け込んだ主人公たちの心の動きが鮮明に表現されていて、こんな短編小説を書ける才能はすごいなあと思いながら読んでいました。小さな幸せは最初は小さいかもしれないけれど、それが積み重なって行くと土台がしっかりしている確固とした大きくてたくさんの幸せに繋がって行くのだろうなあと思いました。この本に出てくる女性たちが感じているような淡くても希望を持てるような未来を感じる小さな幸せを若い頃に経験したことがなかったこともたくさん描かれていて、若い頃は未来をたくさん感じることができる素晴らしい時だということなどなど、主人公たちが羨ましく感じた小説でした。