レンタル店で借りてきて観賞した映画『総理の夫』の感想です。原田マハさん原作の映画化作品。原作は読んでませんでした。映画公開時に見に行きたいなあと思っていたのですが、行けなくって、今回DVDで観賞してみました。
突然愛する妻凛子(中谷美紀さん)が総理大臣になった善鳥類研究所に勤める鳥の研究が大好きな日和(田中圭さん)が総理大臣の夫として不慣れな生活に突入していく様をおもしろおかしく描いたコメディ映画でした。日和はソウマグローバルという大企業の御曹司で、その次男でもあり、護国寺の大邸宅の御殿に住んでいて、バルコニーからその広大な庭にやってくる鳥たちを双眼鏡で観察し、スケッチするといった日常生活を送っていました。妻の凛子は少数野党の直進党の党首でした。結婚12年目で、日和が朝ご飯を作り、妻の凛子を起こすといった日常生活を送っていた模様が映画の冒頭で出てきてました。
この冒頭のシーンで生でエナガとヒヨドリが映し出されていて、日和はヒヨドリのスケッチを上手に描いてたシーンがありました。絵が描ける人が羨ましいなあと思いながら見ました。エナガとヒヨドリだけが生で出てきていたので大きな庭に飛んでくる鳥の数を想像したら2羽だけでなく5羽くらい生の鳥の映像があったほうがもっとイメージが沸きやすいのになあと思いました。
冒頭に出てきたシーンでは、日和が出張で道東に貴重な鳥の調査をするために10日間ほど家を留守していて、電波が届かないような場所でずっと鳥の調査に没頭していた様子が流れていました。調査を終えて、飛行機で東京に戻ってきた空港で、突然マスコミに囲まれた日和はあたふたします。日和をマスコミの包囲から車に乗せて救出したのが内閣広報官の富士宮あやか(貫地谷しほりさん)でした。車の中から外にあるスクリーンに妻の凛子が日本で初めての女性の総理大臣になったニュースを見て、そこで初めて、状況を把握した日和でした。
自分の置かれていた状況を知った日和が、総理の夫になったことで、それからの日常が一変していく様が描かれて行くのですが、総理大臣になった妻の凛子に対して怒るといったこともせず、置かれた自らの立場を受け入れて行く日和の優しい人柄がとても格好良く描かれていたのが印象に残りました。自らの好きな仕事だった鳥の調査や研究も思う存分できなくなってきたり、総理大臣の夫になったので絶えずGPSで居場所を管理されたりといろいろな難点が出てきて、それまでの自由な日常生活に我慢を強いられることが多々出てきてしまったり、同じ鳥類研究所の職員からスキャンダル目当ての誘惑を受けて写真を撮られたりといろいろな事件に遭遇しながらも最後のほうで妻の凛子の妊娠で総理大臣を辞職する決意をした凛子を応援すべく、愛情いっぱいの言葉を凛子に投げ掛けた日和の言葉がとても熱かったシーンも格好いいなあと思って見ました。田中圭さんはいろいろなドラマや映画でいろいろな演技をされていて引っ張りだこの俳優さんですね。総理大臣になった妻を愛情たっぷりで全面的に応援していく総理の夫の姿を好演されてました。この映画は総理の夫になってしまった日和が妻が偶然政治の仕事のひとつとして総理大臣になっただけとという観点で、妻の仕事を尊重して応援していくという日和の優しさが一番光っていた映画だったかと思います。凛子が目指した「あきらめない未来」の掘り下げや総理大臣としての仕事のあれこれがきちっと描かれているわけではなかったのですが、総理大臣の仕事も総理大臣ではない他の仕事に対する向き合い方も結局は同じものがあるということを描いていたかのようにも思います。映画では初の女性の総理大臣が誕生しますが、実際の日本ではたぶん実現する日はまだまだ遠いのではないのかなあとか思いながら見ていました。女性でも男性でも性別に関係なく、政治を行う一番の責任者である総理大臣は愛情があふれていて、国民の幸せと平和を本当に願う方になっていただきたいということをこの映画を見終えたら思うのでした。