続いて、世界価値観調査(WVS)の質問項目、「人生の自由さ」という設問についての国際比較を見ていきたい。
この項目が特に重要だと思われるのは、WVSの数ある調査項目の中でも、これが本稿がターゲットにしている自信=心理的健康の度合いを最もよく表す指標となると考えられるからである。
質問は次のようなもので、「人生が自由になる」という主観的な感覚を10段階のスケールで答えるものだ。
これに対する次の横棒グラフは、各国・各地域の回答の平均値を表わしている。
最新のWVS第7次調査(2020年発表のWave7)では、この質問に関して回答国・地域は79に及んでいるが、今回から、わかりやすくするため後述の基準で29の主要な国・地域に絞っている。
なお、「TOTAL」が79の国・地域の回答全数の値である。
残念なことに、わが国日本はここでも29国・地域中の最下位で、回答の平均は「6.05」にとどまっている。
79か国・地域中全体で見ると、日本は最下位から3位で、最下位がレバノンの5.88、下から二位がギリシャの5.99だから、ほぼ同じような数字になっている。
日本はいわば体感的な自由さで、激しい内戦下にある国、そして経済危機下にある国と同列にあることになる。
グラフで見ると、日本とタイ(平均6.14、全体で下から4位)はほぼ並んでいて、それより上のエジプト(平均6.54、同11位)よりおよそ0.5ポイント下回っている。
日本を除き、いわゆる「先進国」ではフランスが最も低く6.96、お隣・韓国6.98と、いずれもほぼ1ポイントの差で、日本が顕著に低いことがわかる。
中国は平均7.04で、世界全体の回答の平均7.20だから、強権的な政治支配にもかかわらずほぼ世界水準と同等にあることになる。
これまで見てきた「一次的な価値」(いわば本質的な価値のこと)に関する質問項目では、社会の近代化の度合いが低いと考えられるいわゆる発展途上国・新興国が軒並み回答の上位を占め、先進国とされる国ほど下位に集中する傾向があって、そのことは伝統的価値の解体の様相を明らかに表すものであった。
一方、この「人生の自由度」に関しては別の傾向が見て取れる。伝統的な束縛が強いからといって自由度が低いというわけではないようであり、また社会の近代化が進んでも必ずしも自由度が高くなるわけでもない。当然ながら「自由さ」には様々な複雑な要因が絡んでいるのだと思われる。
上位に目を転じると、このグラフではトップはメキシコの平均8.17(世界全体では2位。トップはプエルトリコの8.41)、次いで米国7.74、同値でデンマーク7.74(両国が同列9位)となっている。
世界全体の上位10位で見ると、中南米の国々や米国以外で、デンマークのほかフィンランド(7.81・6位)、アイスランド(7.74・同列9位)といった北欧の国々が複数ランクインしていることが注目される。
日本はそれら上位の国々よりおよそ2ポイント程度低いという結果となっている。
これは何を表わしているのか?
すなわち、日本が「人生の自由度」で最下位レベルにあるというこの国際比較の結果は、私たち日本人の心理的健康度の低さをダイレクトに表している可能性が高い。
「人生の自由さ」の主観的度合いが心理的健康=自信の度合いを明らかにしているということについては、もちろん異論はあると思う。
そこで、次にその根拠を挙げていきたい。
この項目が特に重要だと思われるのは、WVSの数ある調査項目の中でも、これが本稿がターゲットにしている自信=心理的健康の度合いを最もよく表す指標となると考えられるからである。
質問は次のようなもので、「人生が自由になる」という主観的な感覚を10段階のスケールで答えるものだ。
●問 人生は自分の思い通りに動かすことができるという人もいれば、どんなにやってみても自分の人生は変えられないという人もいます。あなたは、ご自分の人生をどの程度自由に動かすことができると思いますか。「1」は「人生は全く自由にならない」を、また「10」は「人生は全く自由になる」を示すとします。1から10までの数字で当てはまるものを1つお答え下さい。( 1つだけ〇印)
これに対する次の横棒グラフは、各国・各地域の回答の平均値を表わしている。
最新のWVS第7次調査(2020年発表のWave7)では、この質問に関して回答国・地域は79に及んでいるが、今回から、わかりやすくするため後述の基準で29の主要な国・地域に絞っている。
なお、「TOTAL」が79の国・地域の回答全数の値である。
残念なことに、わが国日本はここでも29国・地域中の最下位で、回答の平均は「6.05」にとどまっている。
79か国・地域中全体で見ると、日本は最下位から3位で、最下位がレバノンの5.88、下から二位がギリシャの5.99だから、ほぼ同じような数字になっている。
日本はいわば体感的な自由さで、激しい内戦下にある国、そして経済危機下にある国と同列にあることになる。
グラフで見ると、日本とタイ(平均6.14、全体で下から4位)はほぼ並んでいて、それより上のエジプト(平均6.54、同11位)よりおよそ0.5ポイント下回っている。
日本を除き、いわゆる「先進国」ではフランスが最も低く6.96、お隣・韓国6.98と、いずれもほぼ1ポイントの差で、日本が顕著に低いことがわかる。
中国は平均7.04で、世界全体の回答の平均7.20だから、強権的な政治支配にもかかわらずほぼ世界水準と同等にあることになる。
これまで見てきた「一次的な価値」(いわば本質的な価値のこと)に関する質問項目では、社会の近代化の度合いが低いと考えられるいわゆる発展途上国・新興国が軒並み回答の上位を占め、先進国とされる国ほど下位に集中する傾向があって、そのことは伝統的価値の解体の様相を明らかに表すものであった。
一方、この「人生の自由度」に関しては別の傾向が見て取れる。伝統的な束縛が強いからといって自由度が低いというわけではないようであり、また社会の近代化が進んでも必ずしも自由度が高くなるわけでもない。当然ながら「自由さ」には様々な複雑な要因が絡んでいるのだと思われる。
上位に目を転じると、このグラフではトップはメキシコの平均8.17(世界全体では2位。トップはプエルトリコの8.41)、次いで米国7.74、同値でデンマーク7.74(両国が同列9位)となっている。
世界全体の上位10位で見ると、中南米の国々や米国以外で、デンマークのほかフィンランド(7.81・6位)、アイスランド(7.74・同列9位)といった北欧の国々が複数ランクインしていることが注目される。
日本はそれら上位の国々よりおよそ2ポイント程度低いという結果となっている。
これは何を表わしているのか?
すなわち、日本が「人生の自由度」で最下位レベルにあるというこの国際比較の結果は、私たち日本人の心理的健康度の低さをダイレクトに表している可能性が高い。
「人生の自由さ」の主観的度合いが心理的健康=自信の度合いを明らかにしているということについては、もちろん異論はあると思う。
そこで、次にその根拠を挙げていきたい。
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