愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

新刊紹介 伊東孝著『日本の近代化遺産』

2001年02月25日 | 日々雑記

昨年の10月に発行された岩波新書、伊東孝著『日本の近代化遺産-新しい文化財と地域の活性化-』を先日購入した。この本は、近年、文化財として注目されはじめた産業遺産を中心に、全国各地の近代化遺産を紹介し、それを地域の資産として、また、町づくりの材料として扱い、地域の活性化を試みている事例を取り上げているものである。著者は日本大学理工学部交通土木工学科教授で、愛媛県にもここ10年ほど毎年、足を運んでいるという。
この本の中で、保内町の鉱山遺跡が取り上げられている。市民運動として産業遺産の保存につとめようとする保内町の「ハイカラなまちづくり」が一事例として記述されているのだ。
愛媛県関係では他に、明浜町のかつての石灰産業や、「日本版マディソン郡の橋」河辺村の屋根付き橋が紹介されている。
比較的、書店で手に入れやすいこの岩波新書(700円)の一読をお奨めしたいと思います。

情報提供 大本 2001/02/25

サザエさんと真穴の座敷雛

2001年02月25日 | 日々雑記
 
フジテレビ系列「サザエさん」のオープニングソングでは、全国各地の観光名所をサザエさんが訪れるという設定で流れるが、現在放映されている分は、愛媛県バージョンとなっている。もうご存じの方も多いと思うが、その中で八幡浜市真穴の座敷雛が登場しているのだ。
さぞかし、今年の4月2,3日の座敷雛の日は、例年になく観光客が増えて賑やかになることであろう。八幡浜市の観光協会もてんてこ舞いかもしれない。さて、この座敷雛について詳しくお知りになりたいときは、次の文献を参照してもらいたい。
まずは『八幡浜市誌』。これは全国の大きな図書館に行けば閲覧できると思う。第7編観光、第2章年中行事に座敷雛の概要が紹介されている。次に、もっと詳しく知りたい時は真穴小学校が刊行した『まあな』が参考になる。しかし、これを一般閲覧できるのは八幡浜市民図書館くらいなものであろう。まず入手できない地元向けの書籍だ。
さて、もともと真穴の座敷雛は、地元の純粋な民俗行事であったが、近年、マスコミに大きく取り上げられて以降、地元以外の観光客を意識した行事へと変化してしまった。この点を説明した書籍に、日本実業出版社が一昨年発行した新谷尚紀編著『民俗学がわかる事典』がある。マスコミと民俗行事の関係を説明する事例として、座敷雛が取り上げられている。(ちなみに、この執筆者は私・・・。)この本は、松山の大きな書店であれば販売されている。民俗学をわかりやすく説明した一般向けの書籍だ。
以上の三点の書籍を読めば、座敷雛の歴史と現状を把握することができるはずである。
情報提供 大本 2001/02/25