愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

かわうそ被害 捕獲か保護か?

2009年10月09日 | 自然と文化
昔とったメモを整理していたら、昭和41年の八幡浜市大島でのかわうそ事件の走り書きがでてきた。昭和41年春ごろからかわうそが生け簀を荒らして仕方なく、タイなどの魚の被害がひどくなったという。食い荒らし方から、犯人はかわうそと判断できたわけだが、当時、既に天然記念物に指定されているかわうそ。大島はかわうそ保護区とされていたので、捕獲することもできない。そこで、市や県の教育委員会まで、捕獲しても良いかという相談に行ったという。そもそも昭和30年代後半には、天然記念物指定には反対との声も多かったらしい。そこで、文化庁にも見解を求めたらしいが、そこで出た判断。それは、捕獲しても良いが、保護を前提とし、生け捕って、動物園に送ること。このような話があったとのこと。保護か、生活優先か。天然記念物指定にあたっての、かわうそに関するこの種の話は御荘でもあったようで、聞き取りではこの頃の話は、いろんな方が鮮明に覚えていて、話を聞きやすい。それだけシリアスな事件だったのだろう。