愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

昭和32年の新正月

2012年09月05日 | 年中行事
『広報宇和』第34号。昭和32年2月8日発行である。

「正月に賑やかな文化祭」

こんな見出しがあった。

これは旧宇和町の石城地区の岩木、郷内の両集落の話である。

岩木青年学級が生活改善を課題として研究を進め、その成果を披露したのが

昭和32年正月1日、2日。地区の文化祭を行ったのである。

この記事を見ると、昭和32年段階では旧正月はメインのお正月で、

現代のような新正月がいまだ定着していないことがわかって面白い。

その正月の文化祭の内容であるが、

第一部門 生活改善の調査の集計を展示して岩木の現在の改善の度合いを提示。

第二部門 各家庭の炊事場および風呂場の改善した写真を展示。

これが結構、目をひいたという。

第三部門 改善に関する図書と、改善に要した金額を展示。

第四部門 地区住民の手芸品を展示。

第五部門 地区の華道会の生け花を展示。

以上である。

これについて広報宇和の記事は

「ほんとうに正月らしい文化祭を開催しました。二日間の参観者の数は延人員千名をこえて盛況でした。」

とある。

「正月らしい文化祭」っていったい何なんだ???

隣の郷内集落でも大華道会を開催したとのこと。


この記事を読むと、生活改善で目指している新正月のイメージがよくわかならなくなる。

今とは違う。旧正月も徐々にこの頃から廃れていく。

この50年でニッポンのお正月は、激変したのがよくわかる。