愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

全国史料ネット研究交流集会in郡山③

2016年03月20日 | 災害の歴史・伝承
今回、福島県郡山市で開催された全国史料ネット研究交流集会にて採択された「ふくしまアピール」を以下、掲載します。


ふくしまアピール

“被災した地域の歴史が消えてしまうことはつらすぎます“
“後世に残すべき資料を保全するのは、現代の生きる我々の責務でもある“
“災害復興は建物だけの復興でなく、歴史や文化の復興も必要”

東日本大震災をもたらした地震と津波から5年、被災された史料所蔵者の、私たちの活動に対する評価です。この声を、改めて心に刻む必要があります。
被災した地域は、被災した歴史遺産が証する、それぞれに個性ある歴史文化的な営みを積み重ねて、今に至っています。確かに大きな災害です。しかし、そこに人々の歩みがあったこと、それを証する歴史遺産を、災害を理由に、私たちの代で途切れさせるわけにはいきません。
歴史文化を通じた回復と再生は、むしろこれからが始まりであることも、最初の声は訴えています。しかし、この取り組みには、気の遠くなるような長い時間、活動を支えるための資金、そして、日々の生活の中で無理なく持続していくための意志と、人々のつながりが不可欠です。
阪神・淡路大震災から続く日本列島各地での取り組みは、その道のりの険しさを私たちに教えてくれています。東日本大震災から5年、私たち自身も、本当にこの活動を続けていけるのか、大きな不安を感じる日々が続いています。
一方、災害を経験した各地では、歴史遺産の救出、修復、さらには活用を通じて、新しい人々のつながりが生まれつつあります。そのことに、大きな希望も感じます。
 歴史遺産は、「誰かが守ってくれる」のではありません。地元で受け継ぐ人々、現場で支える人々、外から支援する人々、しくみを作る立場の人々が、それぞれの場で出来ることに、ひたむきに取り組み、力を合わせて行くことが重要です。
 このようなつながりは、歴史遺産それ自体を守るという目的を超え、歴史文化を通じた21世紀の新しい社会作りにつながるものと確信しています。
私たちは、これからも、少しずつではあっても、被災地の内で、外で、歩みを進めていきたいと思います。
多くの方の、ご支援とご協力を、引き続きよろしくお願い申し上げます。

2016年3月20日          
第2回全国史料ネット研究交流集会
参加者一同

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