先日、身内に不幸があり、急いで帰郷した。わたしには、何年振りか、そう思い起こすのももの憂い。
正午過ぎに晴天の千葉から、前日に着いた駅では雪降りの薄暮であった。その晩には積雪7センチくらいか、地元ではこの冬はじめての大雪、氷点下7℃を記録、この気温は数年ぶりだという。
≪撮影:平成12年 1月27日午後 3時半≫
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わたしには、こちらでのこんな冬に生活していくことに、あらためて、自然を相手に農業という食糧生産をなりわいとする暮らしに難儀を感じる。白黒のモノトーンの背景の中にはかすんだ空気が満ちていてなんとなく心許ない、始終、空からは粉雪がちらほらと舞い、そして時に大きめの綿あめのような雪の固まりがおりてくる。
寒色だけの世界、曇天の天気をうらめしく感じる。その季節はなんの仕事をしていたんだろう。たつきの厳しさ。わたしは、何十年前に生まれ育った地であるのに生きていくつらさのみを想像する。
もはや、乗る新幹線や電車は移動するだけのもの、わたしには早い遅いの感覚でなくて単調に時間を移動するだけの無機質の道具だ。若いころの浮き立つ気分、旧知人に際会したり物見遊山の心境にはなれない。
時間にすると、22時間30分の故郷滞在であった。あれ以来、わたしにとって無念と虚無と侮恨の日々、かれこれ1週間足らずの日時、為すべきことはとりあえず終わった。