今回のホームページのRenewalについて、ここでは特に「リンク集」について感
じたことを記したい。
植物の情報源をつくりたい。しかし、図鑑の類いはほかの数多あるWebサイトに
まかせて、わたしどもではホームページを開設した時から対象外とさせている。
植物・造園の分野は、本来、科学、工学のみで語られるものではなく、園芸文
化、樹木のフォークロアまで至るのが理想と考えている。このサイトでは多少それ
を意識している。
はっきりさせよう。この世界では、専門の教育機関で学んだ知識だけで物を言う
のはあまり信用できない。Bookishな知識は気取りとスノビズムに随してしまうこ
とになる。そしてそれは、やがて、虚栄心、詰まるところ、社会的立場にむやみに
こだわることになる。真実を見誤ることになる。業務上の良心に鈍磨になる。
わたしの仕事に引きつけて言えば、‘植栽設計’でツバキを採用するときには花
は春に咲き、花の色が紅くきれいだしと計画に入れる。設計業としての仕事の場は
CAD,ドラフターというWeb上、机上のワーキングが多い。実物を見ずにインタ
ーネットで探した知識、画像を探し、また植物図鑑、園芸雑誌を見てである。こう
いう計画、作図の姿勢が常におこなわれている。そこに、生きた植物の知識が本当
にあると言えるであろうか。
さいわいにも、この樹木は実際の生育面では活着が容易であるから良いが。
本当は自分の手で種子から育ててみることである。身近な一種類の植物でもいい
から、一年の春夏秋冬の季節を時期ごとに観察すべきである。一年に4回、そして
それをせめて2,3年間はつづけることが大事である。
建築設計のデザイナーに、‘植栽設計’をさせると、一般的にケヤキ、サクラ、
タケを選ぶケースが多い。地域性、植生を無視している。妙な話、計画時期がその
樹木の見映えのする時期に重なっていると特に採用されるケースが多い。また、ま
るで趣味的な植栽プランと見間違うように、好きな植物を選び独りよがりな植栽デ
ザインが見受けられるプランもある。偏頗な知識しかないのにあまりにも無自覚で
ある。
植物の情報源としての「リンク集」への掲載基準・方針は以下の通りである。
①ホームページの運営内容がしっかりしていること。
②ホームページのWebデザインが優れていること。
③ホームページのコンテンツに虚偽がなく誠実であること。
④苦心の痕跡が感じられるサイトであること。
ここで取り上げたサイトは、それぞれの植物をみずから育てて楽しむことを第一
に感じている方々である。好きなことにこだわること、ある意味でマニアックな
面もあわせ持っている。しかしそこには自己顕示欲、表現力だけでなく、みずから
おこなった栽培・育成記録を通じて他者の意見をもとめる前向きなこころのはたら
きがある。
ここで表現されている、植物という生き物に接する喜びと美学、失敗から得た栽
培方法・技術には納得させられるものが多い。
〈続く〉