ようやくスカパー課題アニメ2018年11月号その③『火の鳥 宇宙編』が書けました!ということで早速本文へゴー!
『火の鳥 宇宙編』
手塚治虫先生の原作漫画を川尻善昭監督によるOVA化した作品です。1987年12月21日に発売されました。宇宙編の名のとおり遠い未来の宇宙を舞台にしたSFもの。OVA版ヤマト編同様に時間は48分と中編クラスの長さですが、主要なストーリーはほぼ原作通りです。
あらすじ
惑星ザルツから地球に向けて飛び立った宇宙船ZFX-302は、宇宙塵との衝突により大破してしまう。
冷凍睡眠から目覚めた隊員たちは、操縦席でひからびたミイラのように死んでいるパイロットの牧村を発見する。牧村は「ボクハコロサレル」というメッセージを残していた。
牧村を殺したのは誰なのか? そしてフレミル星の悲劇とは?(Amazon当該商品ページより引用)
感想
怖い、後味が悪いがなぜか心にグッとくるという不思議な物語です。
それから48分に納めるために原作から削ったり、改変したところは多少あるものの、制作者側にアニメ化するので物語をマイルドにしようなんて不埒な考えが微塵もないところも誠によいですね。
原作のメッセージをそのままアニメに投影できたことは評価に値します。アニメ作品としては知名度がない作品ですが、間違いなくオススメ作品です。
火の鳥宇宙編
宇宙船から脱出し暗い宇宙を漂うという前半の”宇宙の冷酷な怖さ”、辿り着いた惑星でのむき出されるそれぞれの”欲望やエゴ”が原作通りに描かれていました。
前半に出てくる脱出艇はまともな推進力もなく、カプセルホテルみたいな狭い空間に寝た状態で一人ずつ搭乗したうえ、半年分の食糧しかありません。クルーたちは脱出艇の無線機能がなければコミュニケーションもとれない状況なのです。こんな状態でいつ終わるともしれない旅にでることになるなんて考えただけでもゾーっとしませんか?
初めのうちはクルー全員同じコースを進んでいた脱出艇ですが、次第にその一つがコースから離れ始めます。次第に通信が難しくなり声が小さくなっていくのですが、通信が完全にダメになる直前に「さよなら」と呼びかける挨拶が淡泊すぎてめちゃくちゃ怖いんですよ。広大な宇宙の中でなす術を失った人間の小ささを感じられる名シーンだと思います。
また後半では、生き残ったクルー2人が辿り着いたある惑星を舞台で火の鳥から牧村が過去に”欲望やエゴ”にまかせた”ある行動”について聞かされます。それを受けて2人は正反対の反応・行動します。ただし、どちらも自分の”欲望やエゴ”のために行動するのです。
人間が持つ”欲望やエゴ”が招く悲劇は怖いし、物語を後味の悪いラストに導くのですが、視聴後に心からこの物語が離れなくなります。人間の普遍的などうしようもなく暗い部分を正面から描いているからでしょうね。
作画についてはTVアニメよりも少し質が高い程度でしたので、ヤマト編同様もうちょっと頑張って欲しかったですね・・・。
主なキャスティングは以下のとおりですが、鳳凰編、ヤマト編に続いて完璧ですね。
牧村:神谷明さん、ナナ:戸田恵子さん、猿田:堀勝之祐さん、キャプテン:玄田哲章さん、奇崎:塩沢兼人さん、火の鳥:池田昌子さん
とりあえず牧村役の神谷さんの美青年風の声と狂気に狂った声のギャップのある演技が素晴らしいですね。世代のせいか神谷さんの声を聴けるだけでゾクっとします。
すでに塩沢さんは亡くなっていますし、戸田さんは最近はアンパンマン以外のアニメに出てくれないし、もう見ることのできないキャスティングでもありますね~。そういう意味で貴重な作品だと思いますよ。
あ、でもエンディングで流れる主題歌が妙にダサイんですよ・・・。それはかなり残念。
原作も当然オススメです。手塚先生独特のギャグが一切ないというのも今の若い人でも受け入れられやすいと思います。よかったらお手にとってみてください。
それにしても今月の記事を書くために火の鳥を3本読み直しましたが、初めて読んだ時よりも深い感慨を覚えましたね。火の鳥を初めて漫画で読んだのが中学生の頃で、勧善懲悪的なヒーローが不在なうえ、主要な登場人物のほとんどが不幸になるこの作品に違和感を覚えたこともありましたが、30年近く時間が経過してみると独語の印象が全然違っていました。
手塚先生は火の鳥シリーズで類型的な善悪を持ち込まず真正面から”人間”という生き物を描こうとされていたんですね。四十路になってようやく気づきましたよ。
だからこそ、本作『火の鳥 宇宙編』のような”欲望やエゴ”丸出しの人間だちが登場する後味の悪い物語であっても心をグッと心掴まれてしまうんでしょう。結局、「君だって宇宙編の登場人物と何が違うんだい?」って手塚先生は言いたかったのかなぁ~なんて考えてしまいました。
放送局:ファミリー劇場
放送日:11/4(日)16:45
11/8(木)24:00
時間が中途半端だなぁ・・・。今月取り上げた他2作品よりは本作を観てほしいんですがね~。録画できる方は録画してでも観てください。
なんとか10月中に間に合った~。やっぱり一ヶ月に3本はキツイ!若干、放心状態になってます。次回の記事は雑談記事にすると思います。ということで次回も乞うご期待。
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『火の鳥 宇宙編』
手塚治虫先生の原作漫画を川尻善昭監督によるOVA化した作品です。1987年12月21日に発売されました。宇宙編の名のとおり遠い未来の宇宙を舞台にしたSFもの。OVA版ヤマト編同様に時間は48分と中編クラスの長さですが、主要なストーリーはほぼ原作通りです。
あらすじ
惑星ザルツから地球に向けて飛び立った宇宙船ZFX-302は、宇宙塵との衝突により大破してしまう。
冷凍睡眠から目覚めた隊員たちは、操縦席でひからびたミイラのように死んでいるパイロットの牧村を発見する。牧村は「ボクハコロサレル」というメッセージを残していた。
牧村を殺したのは誰なのか? そしてフレミル星の悲劇とは?(Amazon当該商品ページより引用)
感想
怖い、後味が悪いがなぜか心にグッとくるという不思議な物語です。
それから48分に納めるために原作から削ったり、改変したところは多少あるものの、制作者側にアニメ化するので物語をマイルドにしようなんて不埒な考えが微塵もないところも誠によいですね。
原作のメッセージをそのままアニメに投影できたことは評価に値します。アニメ作品としては知名度がない作品ですが、間違いなくオススメ作品です。
火の鳥宇宙編
宇宙船から脱出し暗い宇宙を漂うという前半の”宇宙の冷酷な怖さ”、辿り着いた惑星でのむき出されるそれぞれの”欲望やエゴ”が原作通りに描かれていました。
前半に出てくる脱出艇はまともな推進力もなく、カプセルホテルみたいな狭い空間に寝た状態で一人ずつ搭乗したうえ、半年分の食糧しかありません。クルーたちは脱出艇の無線機能がなければコミュニケーションもとれない状況なのです。こんな状態でいつ終わるともしれない旅にでることになるなんて考えただけでもゾーっとしませんか?
初めのうちはクルー全員同じコースを進んでいた脱出艇ですが、次第にその一つがコースから離れ始めます。次第に通信が難しくなり声が小さくなっていくのですが、通信が完全にダメになる直前に「さよなら」と呼びかける挨拶が淡泊すぎてめちゃくちゃ怖いんですよ。広大な宇宙の中でなす術を失った人間の小ささを感じられる名シーンだと思います。
また後半では、生き残ったクルー2人が辿り着いたある惑星を舞台で火の鳥から牧村が過去に”欲望やエゴ”にまかせた”ある行動”について聞かされます。それを受けて2人は正反対の反応・行動します。ただし、どちらも自分の”欲望やエゴ”のために行動するのです。
人間が持つ”欲望やエゴ”が招く悲劇は怖いし、物語を後味の悪いラストに導くのですが、視聴後に心からこの物語が離れなくなります。人間の普遍的などうしようもなく暗い部分を正面から描いているからでしょうね。
火の鳥 宇宙編 [DVD] | |
玄田哲章,神谷明,戸田恵子,池田昌子,塩沢兼人 | |
角川エンタテインメント |
作画についてはTVアニメよりも少し質が高い程度でしたので、ヤマト編同様もうちょっと頑張って欲しかったですね・・・。
主なキャスティングは以下のとおりですが、鳳凰編、ヤマト編に続いて完璧ですね。
牧村:神谷明さん、ナナ:戸田恵子さん、猿田:堀勝之祐さん、キャプテン:玄田哲章さん、奇崎:塩沢兼人さん、火の鳥:池田昌子さん
とりあえず牧村役の神谷さんの美青年風の声と狂気に狂った声のギャップのある演技が素晴らしいですね。世代のせいか神谷さんの声を聴けるだけでゾクっとします。
すでに塩沢さんは亡くなっていますし、戸田さんは最近はアンパンマン以外のアニメに出てくれないし、もう見ることのできないキャスティングでもありますね~。そういう意味で貴重な作品だと思いますよ。
あ、でもエンディングで流れる主題歌が妙にダサイんですよ・・・。それはかなり残念。
火の鳥 3・ヤマト編、宇宙編 | |
手塚 治虫 | |
朝日新聞出版 |
原作も当然オススメです。手塚先生独特のギャグが一切ないというのも今の若い人でも受け入れられやすいと思います。よかったらお手にとってみてください。
それにしても今月の記事を書くために火の鳥を3本読み直しましたが、初めて読んだ時よりも深い感慨を覚えましたね。火の鳥を初めて漫画で読んだのが中学生の頃で、勧善懲悪的なヒーローが不在なうえ、主要な登場人物のほとんどが不幸になるこの作品に違和感を覚えたこともありましたが、30年近く時間が経過してみると独語の印象が全然違っていました。
手塚先生は火の鳥シリーズで類型的な善悪を持ち込まず真正面から”人間”という生き物を描こうとされていたんですね。四十路になってようやく気づきましたよ。
だからこそ、本作『火の鳥 宇宙編』のような”欲望やエゴ”丸出しの人間だちが登場する後味の悪い物語であっても心をグッと心掴まれてしまうんでしょう。結局、「君だって宇宙編の登場人物と何が違うんだい?」って手塚先生は言いたかったのかなぁ~なんて考えてしまいました。
放送局:ファミリー劇場
放送日:11/4(日)16:45
11/8(木)24:00
時間が中途半端だなぁ・・・。今月取り上げた他2作品よりは本作を観てほしいんですがね~。録画できる方は録画してでも観てください。
なんとか10月中に間に合った~。やっぱり一ヶ月に3本はキツイ!若干、放心状態になってます。次回の記事は雑談記事にすると思います。ということで次回も乞うご期待。
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