ヴァニラ・アイスはプラチナの夢をみるか?

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『ゴジラ (1984)』~ゴジラ映画の中興の祖~

2020-04-23 17:06:56 | 映画系

『ゴジラ (1984)』

1984年(昭和59年)12月15日に公開された日本映画でゴジラシリーズの第16作で昭和期に公開された最後のゴジラ映画です。前作『メカゴジラの逆襲』以来9年ぶりに製作され、『ゴジラvsデストロイア』まで続く新しいゴジラシリーズのスタート作品でもあります(このためゴジラの平成シリーズに本作を加える場合もある)。劇中では、「1954年のゴジラ出現から30年ぶりにゴジラが現れた」という設定で過去の第2作から第15作とはストーリーがつながっていません。なお本作以降のゴジラは再び人類の敵として描かれています。監督は橋本幸治さん、特技監督は中野昭慶さん。上映時間は103分。登場怪獣はゴジラ、ショッキラス。

あらすじ

大黒島が突如噴火した。その3カ月後、大黒島付近で遭難した漁船からの唯一の生存者・奥村が救出された。奥村は遭難の際に巨大生物を見たと証言。奥村の恩師・林田はゴジラが大黒島噴火で目覚めたことを確信した。このことを重くみた日本政府はパニックを防ぐため報道管制を敷く。その頃、日本近海でソ連の原潜が撃沈。米ソ東西関係に緊張が走る中、自衛隊の海面写真により、原潜の撃沈はゴジラによることが判明。このことを受けた日本政府は米ソの衝突を防ぐため、ついにゴジラ報道の全面解禁に踏み切る。その直後、静岡の原発で破壊の限りと尽くしたゴジラは頭上の渡り鳥に吸い寄せられるように海へ消えた。林田は渡り鳥の発する超音波にゴジラが反応したと考え、超音波を合成してゴジラを三原山へ誘導し火口へ落とすという作戦を日本政府に提案する。一方、米ソは日本政府に対しゴジラへの戦術核兵器の使用を強く要請するも首相の尽力で米ソによる核攻撃の危機は回避される。そして遂にゴジラが東京港へ上陸する。その戦闘の余波で東京湾に停泊していたソ連の貨物船に搭載された核ミサイル指令機器が誤作動し、核ミサイルが発射されてされてしまう!ゴジラと核ミサイルの二重の危機が東京を襲う!果たして東京の運命は?

感想

結構面白い映画でしたね~。初代ゴジラに回帰したような切り口の本作は後の『シン・ゴジラ』に通じるものがありました。

ゴジラの脅威と1980年代の米ソの軍事的緊張を絡めた政治ドラマ、新聞記者の牧と奥村の妹・直子を中心にした人間ドラマ、ゴジラの襲撃と自衛隊の奮闘という特撮ドラマと、見どころも盛りだくさん!

正直、ここまで面白いとは本作を完全になめてました・・・。反省してます

なんといっても103分という尺がちょうどいいんですよ~。2時間もあると長くてダレるだろうし、1時間だと物足りなかったでしょうからね。

ストーリーのテンポもいいし政治・人間・特撮ドラマのバランス、絡み方もよくて案外万人受けする映画だと思いますね。

ただゴジラが災害と同等に描かれる様はヒーローとしてのゴジラが好きな人からは受け入れがたいかもしれません。

まぁワタクシ個人としてはゴジラのヒーロー性を捨てることで日本人が忘れていた本質的なゴジラの恐怖を描き出そうとしたと解釈しています。

そしてその意図は成功し、次作からのVSシリーズにつながっていったのだと思います。

それにしても本作の自衛隊は残念なことばかりなんですよね~。

あらかじめ策を講じているにも関わらずゴジラにアッサリと本土上陸を許しちゃうし、秘密兵器のスーパーXがかませ犬であるばかりか、引き際を誤った結果、東京の被害を拡大させちゃうし・・・。

まぁこういう描写の根拠には自衛隊が実戦経験のない組織だという理由があるんでしょうケド、その裏には自衛隊に対する批判精神なんかも盛り込まれているんだろうなぁと邪推しています。

それからストーリーに少し意地悪な指摘なんですが、登場人物が善人ばっかりなことは気になりましたね~。

総理大臣の足を引っ張る大臣とか日本の事情に構わず核ミサイルのスイッチ押しちゃう軍人などなどがいても娯楽映画としてはアリだったかな?とも思いました。

【公式】「ゴジラ」(1984)予告 ゴジラ生誕30周年を記念して製作されたゴジラシリーズの第16作目。

ゴジラ映画だけに特撮には力が入ってましたね~。

特にビル破壊は迫力満点でした。作りこまれたビルのミニチュア、惜しみなく使われた火薬。まさに怪獣映画でした。

まぁミニチュアに着ぐるみではCGでどんな映像も作れてしまう現在に比べ見劣りするのでしょうが、丁寧に細部まで作られたミニチュアが破壊される様子はCGにはない味わいがありました。

ワタクシ個人としてはミニチュア撮影の方が好きなんですけどね~。

それはさておき東京湾でゴジラが自衛隊を焼き払い、自分よりも大きな高層ビル群を闊歩しながら破壊しまくる一連のシーンは科学力が発展してもゴジラの歩みは止められないという恐怖感をうまく演出できていたと思います。

燃え上がる都市にゴジラの巨体が映えるんだよな~。

 

本作の主人公である三田村首相の小林桂樹さんを筆頭に、夏木陽介さん、田中健さん、沢口靖子さん、宅麻伸さん、金子信雄さん、加藤武さんなどなどの豪華な顔ぶれのキャスティング!

どの俳優さんも役どころにぴったりですんなり物語に入っていけました。

特にホームレス役の武田鉄矢さんがいい味だしてましたね~。予告でも見られますが、「でっかい顔して歩くんじゃねぇ、この田舎もんが!」は名セリフだと思います。

それからチョイ役に石坂浩二さん起用のゴージャスさには驚きでした。まぁ石坂さん端役でもいいからと頼み込んで出演をご希望されたらしいんですがね~。

それにしても石坂さんと加藤さんのお名前を見るとついつい市川昆監督の金田一耕助シリーズを思い出してしまうのはワタクシだけ?

ゴジラの顔の造形がすごく愛嬌があって可愛いんですよ~。だから天災扱いの凶悪なゴジラ像からはかけ離れててあんまり怖くなかったです・・・。

さて、本作は前述のとおり原点回帰を目指し、前作まで積み重ねてきた”ヒーロー”ゴジラのイメージを払拭して”人間の脅威”ゴジラに立ち戻った作品です。

そして本作を出発点にしてゴジラシリーズの新しい歴史が紡がれていくことになるのです。

まさに本作はゴジラシリーズにおいて中興の祖といえるのではないかと個人的には思っています。

それなのに本作はマイナーですよね~。初代と同じタイトルだからか?

まぁなんにしてもゴジラ映画のターニングポイントとして本作はもっと評価されてほしいものです。

 

ということで今回はここまで。次回乞うご期待!

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