『三大怪獣 地球最大の決戦(1964)』の感想
1964年(昭和39年)12月20日に公開された日本映画。「ゴジラシリーズ」の第5作であり、『空の大怪獣ラドン』と『モスラ対ゴジラ』の直接的な続編でもあります。監督は本多猪四郎さん、特技監督は円谷英二さん。同年12月に公開予定だった『赤ひげ』の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された作品で、ゴジラが初めて善玉として描かれる一方でゴジラの宿敵キングギドラが初登場した作品です。ちなみに防衛隊(自衛隊)は登場するものの戦車や戦闘機などを使った作戦は実施せず、また本作のストーリーは『ローマの休日』から強く影響を受けているとのこと。上映時間93分。登場怪獣はゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ。
あらすじ
ある日、1つの巨大な隕石が黒部ダム付近へ落下した。同じ頃、警視庁の進藤刑事は来日直前に死亡したセルジナ公国のサルノ王女と金星人を名乗って地球滅亡を訴える女性とが同一人物ではないかと捜査を開始した。金星人に興味を持ったラジオ局の記者である進藤の妹・直子は金星人を保護ホテルに匿うが、金星人をサルノ王女として付け狙う暗殺団がホテルを襲撃。からくも小美人たちの機転で暗殺団の計画は失敗。時同じくして阿蘇山からラドン、海からはゴジラが現れ戦いを開始した。まもなく宇宙最強の怪獣キングギドラが黒部ダムの隕石から誕生し、東京を壊滅させた。暴れまわるキングギドラに対抗するため、小美人はインファント島からモスラを呼び、モスラは自分と力を合わせてキングギドラと戦うようゴジラとラドンに呼びかけるが、拒絶される。モスラは単身キングギドラに向かうが・・・・。一方、金星人には暗殺団の魔の手が再びせまっていた・・・。謎の金星人の正体とは?そして地球の運命はいかに?
感想
娯楽大作の名にふさわしい作品でした。前半は金星人をめぐるドラマでひっぱり、後半は怪獣対決で盛り上げる手法は見事。93分とは思えぬボリューム感が味わえました。
本作のドラマ部分はミステリアスな女性キャラを中心に据え主役の刑事と暗殺団との激しい銃撃戦などのアクションも多めで満足感が高かったです。
これまでワタクシが観てきた東宝怪獣映画だと怪獣の登場に右往左往する人間ばかりが描かれてきたので、本作のような怪獣にひっぱられすぎないストーリーの怪獣映画はかえって新鮮でした。正直、怪獣ださなくても”金星人”の話で一本作れそうですからね。
だからといって怪獣の描き方が雑ってワケでもなく、ちゃんと3体の怪獣の魅力を描きつつ新怪獣のキングギドラに対抗させます。
でもそのおかげで”怪獣映画恒例”の防衛隊と怪獣の対決シーンがバッサリありませんでしたケドね。それにキングギドラ対策も全部モスラ任せってのにはツッコミを入れてしまいましたが・・・。
それから本筋とは関係ありませんが、怪獣の会話を通訳する小美人のシーンが微笑ましかったですね。「ゴジラもラドンもそーだ、そーだ」言ってますとか大笑いさせてもらいました。
古い時代の映画だし、急ごしらえだしでツッコミ所もたくさんありますが、ほんとにドラマと特撮のバランスが素晴らしく気楽に鑑賞できる娯楽映画として一度は観ていただきたい作品です。
【公式】「三大怪獣 地球最大の決戦」予告 ライバル怪獣キングギドラが初登場するゴジラシリーズの第5作目。
キングギドラが東京を破壊するシーンは必見!不謹慎ですがギドラの稲妻状の光線が建物を破壊していくのがメチャクチャ格好いいんですよ~。今でも全然通用する破壊シーンで特撮ファンには幸せな時間でした。
それから怪獣の対決シーンですが、ギドラに3大怪獣がそれぞれの特徴をいかしつつ戦う決戦はアツい!怪獣特撮映画ファン垂涎の名シーンでしょう。
それに加え個人的に観てほしいのはゴジラとラドンのケンカです。ゴジラを軽々持ち上げるラドン、ラドンが起した強力な風に耐えるゴジラ。そして大岩でのヘディング対決(笑)。か~ら~のモスラの”説得シーン”がカワイイ!地球産の怪獣のお茶目さを堪能してください。
だからこそキングギドラの悪役さが映えるし、クライマックスのバトルでゴジラ達3大怪獣に感情移入できるんでしょうね。
キャスティングも豪華で脇役に志村喬さんがいます。相変わらず渋い。志村さんがお医者さんなら刑事の夏木さんに治療器具の電圧操作を任せても流せてしまう(笑)。
それから本作はダブルヒロインで直子役の星由里子さんとサルノ王女役の若林映子さんがすごく魅力的。直子は快活な女性、サルノ王女(金星人)はミステリアスな女性とタイプの違うヒロインをそれぞれ上手く演じてくれてます。
若林さんって『キングコング対ゴジラ』にもご出演されてますが、全然印象の違う役を演じててビックリ!できれば両方観て比べてほしいですね。
そうそう人間側のドラマも重要なので怪獣映画にはめずらしく脇役の顔がよく見える映画になっていたの印象的でしたね。サルノ王女の家来役の天本英世さんとか阿蘇山で帽子を拾う大村千吉さんとか・・・。
そしてワタクシが個人的に注目したのは暗殺団役の黒部進さんと調査隊隊員役の古谷敏さん。本作の2年後にはウルトラマンで黒部さんがハヤタ隊員で、古谷さんがウルトラマンのスーツアクターとして共演していますよね(古谷さんはウルトラセブンのアマギ隊員としても知られてますね)。ただの偶然ですが、ちょっと嬉しかったです。
3大怪獣も魅力的なのですが、本作で初登場のキングギドラの造詣も神がかってますね~。金色で3つ首の龍っていかにも強キャラって感じで悪役なのにカッコよすぎですわ~。
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告2
今度の映画も本作と同じ怪獣が揃うことが予告されてますね。
やっぱりゴジラ・ラドン・モスラ連合VSキングギドラの対決構図になるのでしょうか?それとも怪獣バトルロイヤルになるのか?今から楽しみであります!
ということで今回はここまで。次回乞うご期待!
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1964年(昭和39年)12月20日に公開された日本映画。「ゴジラシリーズ」の第5作であり、『空の大怪獣ラドン』と『モスラ対ゴジラ』の直接的な続編でもあります。監督は本多猪四郎さん、特技監督は円谷英二さん。同年12月に公開予定だった『赤ひげ』の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された作品で、ゴジラが初めて善玉として描かれる一方でゴジラの宿敵キングギドラが初登場した作品です。ちなみに防衛隊(自衛隊)は登場するものの戦車や戦闘機などを使った作戦は実施せず、また本作のストーリーは『ローマの休日』から強く影響を受けているとのこと。上映時間93分。登場怪獣はゴジラ、ラドン、モスラ、キングギドラ。
あらすじ
ある日、1つの巨大な隕石が黒部ダム付近へ落下した。同じ頃、警視庁の進藤刑事は来日直前に死亡したセルジナ公国のサルノ王女と金星人を名乗って地球滅亡を訴える女性とが同一人物ではないかと捜査を開始した。金星人に興味を持ったラジオ局の記者である進藤の妹・直子は金星人を保護ホテルに匿うが、金星人をサルノ王女として付け狙う暗殺団がホテルを襲撃。からくも小美人たちの機転で暗殺団の計画は失敗。時同じくして阿蘇山からラドン、海からはゴジラが現れ戦いを開始した。まもなく宇宙最強の怪獣キングギドラが黒部ダムの隕石から誕生し、東京を壊滅させた。暴れまわるキングギドラに対抗するため、小美人はインファント島からモスラを呼び、モスラは自分と力を合わせてキングギドラと戦うようゴジラとラドンに呼びかけるが、拒絶される。モスラは単身キングギドラに向かうが・・・・。一方、金星人には暗殺団の魔の手が再びせまっていた・・・。謎の金星人の正体とは?そして地球の運命はいかに?
感想
娯楽大作の名にふさわしい作品でした。前半は金星人をめぐるドラマでひっぱり、後半は怪獣対決で盛り上げる手法は見事。93分とは思えぬボリューム感が味わえました。
本作のドラマ部分はミステリアスな女性キャラを中心に据え主役の刑事と暗殺団との激しい銃撃戦などのアクションも多めで満足感が高かったです。
これまでワタクシが観てきた東宝怪獣映画だと怪獣の登場に右往左往する人間ばかりが描かれてきたので、本作のような怪獣にひっぱられすぎないストーリーの怪獣映画はかえって新鮮でした。正直、怪獣ださなくても”金星人”の話で一本作れそうですからね。
だからといって怪獣の描き方が雑ってワケでもなく、ちゃんと3体の怪獣の魅力を描きつつ新怪獣のキングギドラに対抗させます。
でもそのおかげで”怪獣映画恒例”の防衛隊と怪獣の対決シーンがバッサリありませんでしたケドね。それにキングギドラ対策も全部モスラ任せってのにはツッコミを入れてしまいましたが・・・。
それから本筋とは関係ありませんが、怪獣の会話を通訳する小美人のシーンが微笑ましかったですね。「ゴジラもラドンもそーだ、そーだ」言ってますとか大笑いさせてもらいました。
古い時代の映画だし、急ごしらえだしでツッコミ所もたくさんありますが、ほんとにドラマと特撮のバランスが素晴らしく気楽に鑑賞できる娯楽映画として一度は観ていただきたい作品です。
【公式】「三大怪獣 地球最大の決戦」予告 ライバル怪獣キングギドラが初登場するゴジラシリーズの第5作目。
キングギドラが東京を破壊するシーンは必見!不謹慎ですがギドラの稲妻状の光線が建物を破壊していくのがメチャクチャ格好いいんですよ~。今でも全然通用する破壊シーンで特撮ファンには幸せな時間でした。
それから怪獣の対決シーンですが、ギドラに3大怪獣がそれぞれの特徴をいかしつつ戦う決戦はアツい!怪獣特撮映画ファン垂涎の名シーンでしょう。
それに加え個人的に観てほしいのはゴジラとラドンのケンカです。ゴジラを軽々持ち上げるラドン、ラドンが起した強力な風に耐えるゴジラ。そして大岩でのヘディング対決(笑)。か~ら~のモスラの”説得シーン”がカワイイ!地球産の怪獣のお茶目さを堪能してください。
だからこそキングギドラの悪役さが映えるし、クライマックスのバトルでゴジラ達3大怪獣に感情移入できるんでしょうね。
三大怪獣 地球最大の決戦 東宝DVD名作セレクション | |
関沢新一 | |
東宝 |
キャスティングも豪華で脇役に志村喬さんがいます。相変わらず渋い。志村さんがお医者さんなら刑事の夏木さんに治療器具の電圧操作を任せても流せてしまう(笑)。
それから本作はダブルヒロインで直子役の星由里子さんとサルノ王女役の若林映子さんがすごく魅力的。直子は快活な女性、サルノ王女(金星人)はミステリアスな女性とタイプの違うヒロインをそれぞれ上手く演じてくれてます。
若林さんって『キングコング対ゴジラ』にもご出演されてますが、全然印象の違う役を演じててビックリ!できれば両方観て比べてほしいですね。
そうそう人間側のドラマも重要なので怪獣映画にはめずらしく脇役の顔がよく見える映画になっていたの印象的でしたね。サルノ王女の家来役の天本英世さんとか阿蘇山で帽子を拾う大村千吉さんとか・・・。
そしてワタクシが個人的に注目したのは暗殺団役の黒部進さんと調査隊隊員役の古谷敏さん。本作の2年後にはウルトラマンで黒部さんがハヤタ隊員で、古谷さんがウルトラマンのスーツアクターとして共演していますよね(古谷さんはウルトラセブンのアマギ隊員としても知られてますね)。ただの偶然ですが、ちょっと嬉しかったです。
GARAGE TOY 東宝大怪獣シリーズ キングギドラ 1964 全高約390mm、全幅約660mm PVC製 塗装済み 完成品 フィギュア 一部組立あり | |
エクスプラス(X PLUS) | |
エクスプラス(X PLUS) |
3大怪獣も魅力的なのですが、本作で初登場のキングギドラの造詣も神がかってますね~。金色で3つ首の龍っていかにも強キャラって感じで悪役なのにカッコよすぎですわ~。
映画『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』予告2
今度の映画も本作と同じ怪獣が揃うことが予告されてますね。
やっぱりゴジラ・ラドン・モスラ連合VSキングギドラの対決構図になるのでしょうか?それとも怪獣バトルロイヤルになるのか?今から楽しみであります!
ということで今回はここまで。次回乞うご期待!
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「三大怪獣 地球最大の決戦」はモスラを通じて、初めて怪獣と人間の間に相互理解のきっかけが生まれるのですよね。
「勝手にしやがれ」「人間は我々をいじめている」等のゴジラ&ラドンの言葉に「分からず屋」のコメントを発した新藤刑事。もし彼に怪獣語が分かりゴジラ達の説得をしたとしたらモスラ以上に真理をついたものになるのでは?何と言ってもハードボイルド・Gメン75ですから(笑)。
「オレ達は何をしたという訳でも無いんだぞ!それなのに攻撃してきやがって!」
「何をぬけぬけと!お前達の暴挙でどれだけ人間の生活が破壊されていると思っているんだ!」
「先にオレ達の住処を破壊したのはお前達人間じゃないか!」
「だったら何をしても良いのか!?人間の中には善良な人達だっているんだぞ!」
・・・・・・説得どころか、余計に事を荒立てるかも・・・・・・(汗)。
「三大怪獣」では怪獣被害に嘆く被災者の姿も描かれていますが、最終戦で被害に遭った村の場合は「怪獣被害」というよりも「戦争被害」ですね。地球を守る為の戦いとはいえ、土地の住民に被害を与えてしまう。後々、アニメや特撮で問題になってくるテーマの素地はこの頃からできていたのですね。複雑です。
でも、最終的にはモスラの説得で分かってくれたのか、ゴジラもラドンも極力人間世界には手を出さない事にしてくれたようですね。人間側も小美人の説明で分かってくれたのか、キングギドラを追い払った後は怪獣達を攻撃しませんでした。怪獣にも人間にも悪意は無いのですから、相互理解の懸け橋になってくれたモスラと小美人には感謝!です。
本作はキングギドラという地球に暮らす生命全ての敵の存在が人間たちと地球の怪獣たちの結束を生んだ記念すべき作品ですが、それには人間、怪獣双方の言い分をまとめたモスラにはおっしゃる通り感謝しかないですよね。
世界的にみればモンスター・怪獣の類は理由もなく”人類の敵”となってしまう場合が多いと思いますが、日本の特撮映画の場合は怪獣もちゃんと命として描いているからこそ”人間との相互理解”を描けたのだと思いました。