18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

柴田淳の歌詞の魅力(2)

2015-12-25 19:09:00 | 音楽
さて、柴田淳さんの歌詞の素晴らしさについて続けると、
次にあげたいのが「後ろ姿」という歌。
これは「紅蓮の月」のカップリング曲ではあるが、そのタイトルから想像できる通り内容はと言えば、複雑な片想いの感情をどストレートに表現している。

曲の頭から最後までぜーんぶそのまま微妙な片想いの内容なので歌詞の一部だけを取り上げるのはとても難しい。なんか違う。
でも仕方がないから、ちょっと取り上げてみると。

例えば、歌いだしでいきなりこんな具合だ。

「正確なこたえならば、最後まで、聞けなかった」

この出だしで、なんとなく付き合いが始まったけど、2人の間に「恋人」としての確からしさが無かった事がわかる。

その後には、彼の冷たい行動がいくつか並んで行くが、その間には彼女の不安がそのまま表現されている。

「離れていきそうなあなたのシャツの裾強く握った」

「隣で微笑んでも、微笑み返してくれない」

「答えはとうにわかってるのに、どうして さよなら言えないの? 大嫌いこんな私」

もう、完全に心がない彼とまだ信じていたい彼女のそのままの歌である。

そして、

「明日のいいことも、昨日の夕立も
一番に伝えたいのは、
いつだってあなたしかいないの」


「愛してる人に愛されたかっただけ
あなたとなら 私だって幸せになれる気がして」

と、そんな重い要求はしてないのに…という女子らしい心情を吐露し、最後は、


「明日の雨音も、昨日みた夢も
一番に伝えたかった、
いつまでも、誰よりもあなたに」


と、「伝えたい」から「伝えたかった」とあきらめの感情で終わっている。

もう魔術師だろうこれは。

絵画で言えば、フォービズム(野獣派)のようなタッチで描かれた切ない女性の片想いの物語。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柴田淳の歌詞の魅力(1)

2015-12-25 08:51:00 | 音楽
家族にはあまりウケが良くないが、シンガーソングライターの柴田淳さんの楽曲が数年前からずっとお気に入りで、iPhoneのには様々な構成の柴田淳さんのプレイリストがある。

彼女のどこがいいのかと言えば、もともと自分がピアノ好きという事もあるが、ピアノによる弾き語りやピアノ演奏のイントロ楽曲が多い事、伸びやかでもどこか物悲しさがある女性らしい歌声、そして何よりも彼女の書く歌詞に出てくる表現が刺さるのである。

彼女の初期の曲、恋愛の切なさを歌った「夜の海に立ち」では、自身の恋愛に対する不器用さ、積極的に行動できないもどかしさを次の様に表現している。

「会いたいと言えたら、
もう会いに行ってる。
愛してると言えたら、
愛してると言ってる。
手を繋ぎたいなら、
もう握りしめている。」


「淋しいって言えない、
だから強がっている。
受け止めてくれない、
分かるから泣かない。
一人で平気と、
平気じゃないから言う。

それしかできないから、
こうして、歌っている。」

言葉の織り成す空気感が、たった数行で伝わって来る。

さらに、柴田淳さんの友人に起きた、恋人との別れ話を綴った「HIROMI」では、さらに感情表現が素晴らしい。

「いつかくれた指輪は、
サイズが合わなかった。
ブカブカで重たくて、
でもそれでもよかった。
不器用に騒がしい薬指を
いつもいじるのが好きだったの。」

で、2人の関係性が見事に語られ、さらに、

「みっともなくなるほど、
あなたを愛した私を
いつか許せる時が来れば
いいと思う。

何かを探す様に、時々しゃべりだす
薬指が、あなたを忘れなくても。」


"騒がしい薬指"や"指輪がしゃべりだす"という表現で、HIROMIという主人公の心が全て伝わってくる。見事としか言いようがない。


柴田淳さんの綴る歌詞の魅力は、これだけではない。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする