18年にもなりますか

感じた事、出来事、いろんなこと書き綴ってます。

東京国際映画祭 「授賞式」と雑記

2008-10-26 22:05:20 | 映画
 第21回を迎えた東京国際映画祭、72カ国690本から厳選された142作品が東京国際映画祭の参加作品。関連する映画祭を含めると300本をこえる規模なのだそうだ。

 1985年の第一回はヤングシネマ'85として開催され、40カ国519本の応募があったそうだ。年々参加国も応募本数も若干の上がり下がりはありながら増えてはいるが、まだ世界3大映画祭のレベルには至っていない。


 関係者は世界3大映画祭に肩を並べたいと考えているようだが、もっともっと映画というエンターテイメントが評価されるようにならないと厳しいだろう。もちろん最近では邦画で素晴らしい作品も多く期待が持てるので必ずしも未来は暗いばっかりではない。

 話は変わるが、最近では洋画の吹き替えをロードショーするケースが増えているのはご存じだろうか?しかも吹き替えには声優ではなく声優経験がない話題のタレントを使っている。

 これは洋画配給会社の、パブリシティ作戦の一環。

 

 邦画では、人気俳優が多く、全国公開前にあちこちのテレビやラジオでPRを積極的。洋画ではこれほどPRできない。ならばということで、わざわざ日本人の人気タレントを使って吹き替えをやって話題作りをし、そのタレントがテレビにでてPRすることを狙ってやっている。

 最近では、洋画公開前に、主演した過去の洋画をテレビで放映してPRに勤めているのも目立つ。はっきりいって洋画関係者は、なりふり構わずという状態。それぐらいに邦画がとても面白い時代になってきたのだ。


 この勢いを継続してぜひ世界3大映画祭に肩を並べて欲しいものだ。ちなみにどうやらこの辺りのキーは、TIFFCOM(コンテンツビジネスマーケット)の質と規模らしい。

 
 今回の東京国際映画祭の授賞式を観たが、映画人はとても情熱的だし一生懸命だし、予算の大小に関係なくいい映画を撮りたい作りたいと切に願っている。みんな本当に映画が好きなんだと言うことがよく分ったし、素晴らしい人たちだということが伝わってきた。


 来年も観る機会があったら、もっと積極的にコンペティション作品を観るようにしたいし、普段からもっと映画を観て、感性を磨くようにしたい。


今年度の結果は次の通り。

■「コンペティション」部門
東京サクラグランプリ/『トルパン』(セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督)
審査員特別賞/『アンナと過ごした4日間』(イエジー・スコリモフスキ監督)
最優秀監督賞/セルゲイ・ドヴォルツェヴォイ監督『トルパン』
最優秀男優賞/ヴァンサン・カッセル『パブリック・エナミー・ナンバー1(Part1&2)』
最優秀女優賞/フェリシテ・ウワシー『がんばればいいこともある』
最優秀芸術貢献賞/『がんばればいいこともある』(フランソワ・デュペイロン監督)
観客賞/『ブタがいた教室』(前田哲監督)

■「アジアの風」部門
最優秀アジア映画賞/『私のマーロンとブランド』(フセイン・カラベイ監督)

■「日本映画・ある視点」部門
作品賞/『buy a suit』(市川 準監督)
特別賞/岸部一徳『大阪ハムレット』

■黒澤明賞/ニキータ・ミハルコフ監督、チェン・カイコー監督

■TOYOTA Earth Grand Prix/「フェデリコ親父とサクラの木」(ホセ・アントニオ・キロス監督)


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東京国際映画祭 「WALL・E」(ウォーリー)

2008-10-26 21:39:05 | 映画
 Disney Pixerによるアニメーション。人類が汚染された地球を放棄したあと、ゴミ清掃の為に700年間働き続けているロボットが、WALL・E(ウォーリー)。

 このウォーリーが働く地球に別のロボットがやってくることでストーリーが展開する。

 テーマは「生きる」ということ。そして助け合い、心を通わせると言うこと。そのメッセージはストーリーの至る所にちりばめられているが、ほとんど台詞らしい台詞が無いので、展開がやや回りくどいように感じた。

 この映画をみて思ったのは、「手をつなぐ」ということの意味。恋人同士なら手をつなぐことも珍しいことではないだろうが、夫婦になってからはどうだろうか?あるいは、年頃の子どもを持つ親と子の間ではどうだろうか?

 意外にもというか当然というか、手をつなぐ機会というのはほとんど無いのではないか。この映画をみて、心を通わせることと手をつなぐ(holding hands)とはとても意味が近いということがよく分った。恥ずかしさももちろんあるだろうが、たまには手をつないでみて、お互いの心をかよわせてはいかがだろうか?

 映画を観るときにはいつも「いい台詞」をメモするようにしているが、この台詞がとても少ない映画のなかでもとても素晴らし台詞があった。

 「生き残るよりも、生きたい。」

 
 とてもとても意味深い一言だ。手をつなぐことと一緒に大切にしたい。子ども向けではないので親子で観るときはちゃんと親が説明してあげること。


 ウォーリー(WALL・E)は12月5日全国ロードショー
 公式HP:http://www.disney.co.jp/movies/wall-e/index.html
 


 
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東京国際映画祭 「8月のランチ」

2008-10-26 21:08:39 | 映画
 ジャンニ・ディ・グレゴリオ監督主演のイタリア映画。

 自分の母親を含めて4人のおばあちゃんを預かるハメになった主人公ジャンニとそのおばあちゃん達とのやりとりを中心にストーリーが展開する、ちょっとコミカルでハートフルでイタリアらしいほのぼのさに溢れる映画。

 内容は、おばあちゃん達同士やおばあちゃんとジャンニとの接点を描写することで、おばあちゃん達にはなにが必要なのかを伝えてくれている。

 監督は、年老いてからの孤独や寂しさ強さと弱さをちゃんと伝えるには、深刻にならないことだと考え、おばあちゃん達の勝手気ままさをそのままユーモラスに使うことを決めたようだ。

 じつはこの4人のおばあちゃん達は、2人は親戚のおばあちゃんでのこりの2人は、老人ホームに求人を出して100人の応募があったなかから選んだ、文字通り選りすぐりの2人。

 しかもこのおばあちゃん達は強者。90歳をこえるおばあちゃん達はとてもしたたか。おばあちゃん達は脚本通りに動くはずもなく、監督としてはこの人達を自分の思ったとおりにするのを早速とあきらめ、ある程度自由にやらせたそうです。

 その結果、おばあちゃん達が思い出を語るシーンは、脚本で用意したよりもはるかに良かったそうで監督は満足そうでした。

 
 この映画の中で印象深い台詞は、「年を取るとつまらない、だから逆戻りするの。昔の話をするのよ。」



 自分たちも年をとる。年をとったおじいちゃんやおばあちゃんと同居することも少なくなった私たちは、たくさんの、この映画のようなおばあちゃんたちを作っているんだということを自覚させられた映画でもあるし、またそういうおばあちゃん達が何を必要としているのかも分らせてもらった映画。


 イタリアのなんとものどかな風景と日常が描かれた映像がとてもイタリアらしい音楽をバックに撮られていてなんとも言えないほんわかした気分になる映画。

 もし公開されたら是非観て欲しい。

 


 
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東京国際映画祭 「Public Enemy No.1」

2008-10-25 23:19:23 | 映画
 1960年から70年に世間を騒がせた、ギャングスターであるジャック・メスリーヌ(フランス語発音では、メリーヌ)の実話に基づいた話。

 この人のことを知っているフランス人が観るのと、まったく知らない日本人が観るのとでは全くとらえ方が違うだろう。歴史上に有名な人を扱う映画はこういうところがハンデになったりする。

 
 さて、このジャック・メスリーヌは、銀行強盗、金持ちの財産の強盗、殺人、脱獄という、普通に考えればとんでもない極悪人なのだが、一方で義賊的な考え方ももっていて、家族への愛情深いとても普通な側面も持っている。

 この映画の冒頭で、「この映画はフィクションであり、全てのことを正しく伝えることはできない」と言っているのは、聞き伝えられていることでさえフィクションであり、実話といいながらも全ては伝えていないというこの映画の立ち位置を明確にしている。

 銀行強盗と投獄・脱獄を繰り返すストーリーの合間で、最初の妻との離婚、父親との面会、子どもとの面会などのシーンがとてもうまく構成されていて、ジャックがとても家族愛に満ちた人物だとわかる。特に最初の妻がうちを出て行き、荒れて博打で結婚指輪まですってしまったジャックが、帰りの車の中で左手人差し指に悔しげに触れるシーンはとても印象的だった。

 犯罪を犯罪として捉えていないジャックという人物の生き様、そしてそういう人生を選択したことに堂々としていたことについて感動すら覚える。それはジャックが犯罪者ではなく、犯罪屋だからかもしれない。

 そういう犯罪屋のジャックからすれば、政治家のほうがよほど犯罪者に見えるのだろう。

 Public Enemy No.1 (社会の敵№1)はパート1とパート2から構成されている。見応えがある作品の1つ。

 この12月に公開予定。
 公式サイトはhttp://www.publicenemynumberonethemovie.com/
主演:ヴァンサン・カッセル
 監督:ジャン・フランソワ・リシェ

 

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東京国際映画祭 「ブタがいた教室」

2008-10-25 22:45:29 | 映画
 東京国際映画祭、今日は妻夫木聡主演の「ブタがいた教室」を観てきました。

1990年大阪の小学校で実際に会った話。食べることと生き物の命を考えるために授業の一環でブタを飼うことになった6年2組の生徒達がどのように答を出すのかを中心に描いた作品。

主人公は妻夫木聡といいながら、本当の主役は6年2組の子ども達だ。かれらはもちろんオーディションを経て映画出演をしているのだが、かれらがブタを食べるか食べないかについて交わす議論は、真剣そのもの。作り物にならないようにするために、妻夫木聡も先生として、これをどう考えるのかを子ども達に伝え、学芸会のようにならないように考えたそうだ。

その為にも子ども達とのふれあう時間を増やすためにドッジボールをやったりしてたらしい。

さて、この映画。ブタを育てるうちに愛情が湧き、小学校卒業を目前にブタをどうするかを子どもたちが真剣に考えるというシナリオなのだが、ここからさまざまなことが伝わってくる。

肉を食べることって実は残酷なことなんだということ。いただきますというのは、そういう命に感謝するということ。そして特に大人には、子どもは本当に真剣に真っ正面から目の前の問題にぶつかって行くものだから、大人も子どもが抱えている問題に真剣になりなさいということ。これらのことがしっかり伝わってくる映画だ。親と子で観て真剣に会話するのも良いかも知れない。

「もったいない」は電気や資源だけではなく、食べるものも大切にしなければならない。その理由の1つがここにあると思う。


 映画終了後の舞台あいさつとティーチインでは、主演の妻夫木聡と、監督の前田哲が登場。さらには主題歌を歌っているトータス松本、そしてこの授業を本当に実施した黒田先生も登場。会場は爆笑に包まれて映画祭にふさわしい内容だった。サプライズが2つあった。その1つは松山ケンイチが客席でみていたこと、そしてもうひとつはトータス松本が生で歌を披露してくれたこと。

 今回の映画化については監督の前田哲氏は、さまざまなシナリオを考えてみたそうだ。その中最終的にこの映画になったのはやっぱり子ども達の真剣な本当に真剣な議論を浮きだたせる為なのだそうだ。なるほど、たしかに、変に作りすぎないほうがこの映画はいいと思う。


  
 ところで、この映画のパンフレットに大写しになっているブタ。観れば観るほど愛嬌があってとても優しい目をしている。こういう表情をしたブタを一年近くかわいがってしまうと、愛情も湧くのは不思議ではない。
 
 映画では、このブタの愛らしさを十分に伝えることが少なかった。もっとブタの愛らしさや表情を細かく丁寧にスクリーン上で伝えられたなら、子ども達がなぜ涙ながらに議論していたのか、もっと観ている人を惹きつけることができたと思う。

 辛口だけども、これは監督の力不足なところ。話の分りやすさやエピソードの盛り込み方などがとても効いているので、ブタの愛らしさをもっと丁寧に撮っていたらもっともっと観客を引き込めたに違いない。

 ブタがいた教室。11月1日(土)から全国ロードショー
 公式ホームページはこちら http://www.butaita.jp/
 しっかりブタの愛らしさを堪能してください。


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