先日、ある方からこんなお話を聞きました。
『知人が市営住宅に当選したが、エアコンがないのは想定内としても、
浴槽はない、
網戸もない、
行ってみたら
換気扇もない。
全て入居者が設置しなければならないと言われて青くなったと。
ザッと見積もっても50万円は入り用になるが、
とてもじゃないけどそんなお金は出せないので、泣く泣く解約したそうだ。
全く理不尽な話だね』
これには私もビックリ!
そもそも市営住宅は、低所得で住宅に困窮する方に対する重要な福祉政策の一つのはず。
それなのに、今時そんな決まりがまかり通っているなんて・・・。
市の資料より
さっそく市条例を調べました。
『市営住宅の各住戸には、台所、水洗便所、洗面設備及び浴室
並びにテレビジョン受信の設備及び電話配線が設けられていなければならない』
う~む。
ここで言う「浴室」とは、単にスペースを指すのであって「浴槽」ではないのか・・・(T-T)
市原市の市営住宅は現在901戸。うち約8割に浴槽がありません。
そのうえ驚くことに、退去時にはわざわざ浴槽を撤去しなければならないとのこと。
ここまで来ると、もう意味が全く分かりません。
そのため、実際にこのケースのように入居を諦めざるを得ない方が多かったり、
入居しても浴槽を設置せず、福増の温浴施設を利用している方もいたりするのだそうです。
なぜこのような薄情で時代錯誤の対応になってしまったのか・・・
市の住宅政策課で話を聞いても、今ひとつはっきりしませんでした。
ただこの現象は市原市に限ったことではなく、
千葉県(つまり県営住宅)はじめ、国内の他の自治体の多くも同様であることから、
おそらく建設当時(多くが40~50年以上も前)の国の基準の関係でこうなってしまい、
公平性(?)の観点や予算上の理由から、今日までズルズルときてしまったことが推測されます。
私たち市民からすれば、全く合点がいかない話ですが・・・。
ただ、近年は独自に見直す自治体の動きも出てきています。
市原市も現在、
市営住宅長寿命化計画の見直し作業に取りかかっているところで、
その中に入浴設備やバリアフリー化などの整備方針の改善も盛り込まれると知り、
ようやく安堵しました。
市営住宅の大量供給時代から年月が経過し、既に耐用年数を超えてしまった住宅も増えてきました。
申込者の4割が高齢者、母子家庭は3割。障害者の申し込みも1割を超えています。
そうであればなおさら早急な改善や整備が必要です。
計画の見直しの骨子案によると、今後は人口減少なども踏まえて新規建設は行わず、
不足する分は
民間の賃貸住宅の家賃補助制度の導入を考慮していくとのことです。
民間市場が有効に活用され、入居者が比較的自由に選択でき、
市の予算も低く抑えられることなどから、
私も、これからの時代に即した合理的な方法だと思います。
因みにこの計画骨子案、
様々なエビデンスをベースにした理論的な構成で、
市が出す計画類の中でもまれに見るなかなかの出来でした!
今後に期待しています。