日本経済の実力
前回は日本の製造業はアジア各国に多くの工場を建てて、現地での雇用を大量に生みアジア諸国のGDPを大きくし、高い経済成長を支えていると書きました。
中国経済に入る前に、もう少し日本の製造業について書いてみます。
日本の製造業はなにもアジアだけに工場を建てただけでなく実は欧米にも多くの工場を建ててその国の経済発展に貢献しています。
たとえばアメリカに進出した日本の企業の数は、07年で2037社(JETROの資料)、実際は3000社を超えるといわれています。なぜなら現地でアメリカ企業を買い取ってアメリカ企業になってしまった企業はJETROの資料には上がってきません。
建設機械のコマツなどは海外で仕事をするとき、現地の会社を買って現地の会社になります。そのほうが、法人税が安くすむからです。
パナソニックもソニーも売り上げの多くは海外に進出した会社の売り上げです。日本の税金は高すぎます。アメリカだと30%台で治まります。日本の高い法人税がアメリカやアジアなどへ積極的に進出する動機になっています。
グローバル化した日本の製造業は欧州にも数多くの企業が進出しました。欧州の正確なデーターを持っていませんが、英国投資セミナーの資料が手元にあります。それを見ていますと、すべての大手電気・OA機器、自動車メーカーが英国に進出しています。
欧州の中で進出が一番少ないと思っていた英国に285社も日本から進出しています。資料を見ていますと大手企業以外にも中堅、中小企業の名前も載っています。
たとえば清国産業、押野電気、丸澤機工、オハラ、弘電社、タムラ化研、エンプラス、など様々の業種の中小企業が進出しています。なぜ中小企業まで英国に進出するのかよく分かりません。推測ですが良質な労働者や英語でのコミュニケーションができるのが理由かも知れません。
無駄なデーターを並べましたが私が言いたいことは、日本の製造業はアジアはもちろんのこと欧米各国にも続々と工場を進出させて、現地での雇用を大量に生んで失業を減らし、各国の輸出量やGDPの増加に大きく貢献しています。
つまり日本の製造業は、世界の経済を支える重要な役目を果たしているということを知ってほしいのです。アメリカに進出した日本企業は、雇用の10%を支え、輸出の11%を占めています。
アメリカからもっとも多く自動車を輸出した企業はGMではありません。ホンダやトヨタなのです。また欧州の全輸出の11%は欧州に進出した日本企業です。
しかし残念ながら、アメリカの政治家もエコノミストも日本の製造業の実力を把握していません。日本の政治家も無知で 先入観でものを言日本の評論家の悲観論を信じています。
アメリカや欧州、アジアの政治家たちは「わが国の経済と雇用を支えてくれてありがとう」という感謝状をもって日本に来なければいけません。
このようなことを書くと日本から製造業は海外に出て行って空洞化がおこり日本が衰退すると心配する人がいますが、まったく心配いりません。85年以降日本の輸出は家電や自動車といった耐久消費財は急激に減り変わりに部品や材料といった資本財が非常な勢いで伸びてきています。
世界の資本財の80%は日本製だといわれています。日本の優秀な資本財が止まれば世界中の工場が止まってしまいます。日本の技術をパクッて世界に飛躍した韓国メーカーも日本の資本財を購入しなければ、工場が動きません。結果韓国の対日貿易赤字は250億ドルの巨額に達しています。
円高になれば無知な政治家や評論家は輸出企業大打撃であると悲観論のコメントを発しますが、ほとんど関係がありません。優秀な資本財は日本からしか買えないからです。日本の貿易黒字は07年まで毎年10兆円もあります。
「幻の中国経済」を書くつもりがどんどんアサッテにそれてしまいましたが、まず日本の実力を知ってもらわないと中国のGDPに追い越されて嫉妬しているように思われても癪だからです。
中国も日本の真の実力を知りません。だから4日付の中国の環境日報で「2010年に中国に追い抜かれる日本に焦り」との記事を一面トップで掲載するのは構わないのですが、勝手に推測で「日本に焦り」と書いたり、わざわざ専門家のコメントで「中国のGDP規模が、10年で日本を追い越すことに日本の民衆はどよめいた」など書かせて、いまや中国は得意満面になっています。
日本人は焦ったり、どよめいたり、などまったくしていません。
日本のエコノミストたちから発信される「日本ダメ論」を信じて中国人は優越感にしたり、欧米各国は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」は夢まぼろしだったと哀れみの眼でみています。
しかしちょっと待ってください、データーを見れば、世界経済を支えているのは間違いなく日本です。最先端といわれる分野に関しては、日本は常に世界のトップを走っています。日本はまだこれからますます伸びていく国だということがはっきりわかります。
日本がダメに見えるのはきちんとしたデーターを見ずに、イメージと雰囲気だけで論じる怪しげな評論家のせいです。ただ心配なのは国内しか見ていないバカな民主党政権がまだ4年も続くということに、一抹の不安を感じます。
中国の作られたバブルが崩壊し経済が破綻しても世界はそれほど困りません、安価な労働力を提供してくれる代わりの国はいくらでもあります。
しかし日本が崩壊すれば、世界の工場が止まり、失業者があふれます、世界が不幸になります。日本の代わりをしてくれる国はありません。日本の製造業は一人勝ちといった状態なのです。
私のブログに訪問してくださったお若い方たち、日本の未来に悲観する必要はまったくありません。21世紀は間違いなく日本の時代です。
(世界各国のGDPをアップさせ、世界の経済が日本によって支えられていることを知ってもらってから中国の捏造された経済に入るつもりがだんだん長くなってなかなか中国経済に入っていけません。次回は必ず中国経済について論じます。申し訳ありません。)