石川議員元秘書の発言全文(1)資料を隠してなければ「小沢先生含め全員逮捕だ」
2010.1.14 13:25
14日、自民党本部で開かれた「民主党 小沢幹事長政治資金問題勉強会」で金沢敬・元石川知裕衆院議員秘書が発言した内容は以下の通り。
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初めまして。「文芸春秋(2月号)」に記事を載せさせていただいた。
石川(知裕)事務所には2008(平成20)年9月から09年7月まで私設秘書として勤務していた。その間に昨年3月3日、俗に言われる西松事件が起き、大久保(隆規・第1秘書)が逮捕された。
ちょうど3日の午後2時半ごろ、石川から電話をもらい「大久保が地検特捜部に呼ばれた。小沢(一郎)先生からご指示があり、『(陸山会事務所で小沢氏の個人事務所でもある)チュリスの701号室に行って、何かまずいものがあれば隠せ』といわれた」。当時石川は現職の議員だったので、3時半ごろに来客が1人あった。「来客が終わったらすぐ向かう。金沢さんも人手が足りなくなれば来ていただくので、準備しておいてくれ」といわれた。
その後、大久保は逮捕に切り替わった。ちょうど5時ごろ、チュリスに家宅捜索が入った。私はニュースをみてすぐ飛行機で東京に行き、石川に電話で「チュリスに行こうか」と聞いた。しかし石川は「検事がたくさん来ているので、金沢さんの顔が割れたら困る。(石川氏が宿泊に使っていた東京都中央区)勝どきのホテルに待機していてくれ」と言われた。
石川とはちょくちょく連絡を取り合っていた。11時ごろ捜索が終わり、「これから南という弁護士と相談してからホテルに戻るので待っていてほしい」と言われた。
夜中12時近く、石川と合流した。石川は「隠せるものは隠した」と。樋高(剛・現衆院議員)と石川に電話があり、樋高は当時議員でなかったのでずっとチュリスにいたらしい。「樋高と3時半ごろチュリスで合流し、隠せるものは隠した。パソコンも隠そうと思ったが、今時パソコンのない事務所はおかしいではないかとなり、パソコンは残した」と。そのような事細かな話を聞いた。
翌4日、石川が「もしかしたら自分の議員会館に捜索があるかもしれない。申し訳ないが、早く起きて8時くらい、(石川氏と)2人で資料など隠すものがあれば隠すので協力してほしい」といわれ、議員会館に行った。鹿島、西松(建設)、西松の政治団体の名刺、ゼネコンからの陳情ファイル、鹿島からもらった胆沢ダムのファイルもあった。こういうものを石川の黒いナイロン製のボストンバッグに隠した。
朝9時ごろだったが、小沢が記者会見するというので、石川は「さすがに記者会見には行けないので、金沢さん代わりに行ってくれ」と言われ、会見場に行った。「記者会見の内容を報告してくれ」と。何が聞きたかったかというと、「小沢は西松事件についてどういうスタンスでいくのか。全面否認か一部認めるのか」と。
記者会見場から戻り、石川に「全面否認で行くようだ」と報告すると「分かりました」と。小沢は樋高、石川から「主な資料などは隠しました」と報告があったので、「全面否認で行こう」となったのだと思う。小沢は「検察の国策捜査で行こう」となった。それは3、4日に資料を隠したからに他ならない。これを資料が出ていたなら、小沢は全く違っていたことになっただろうし、樋高の言葉を借りれば「小沢先生含め全員逮捕だ」と。こうはっきり話していた。
当時は私は内部にいたので「隠せてよかった」という認識しかなかった。その後、去年7月に色々あり事務所を辞めたものだから、隠すのもいかがかと思い、東京地検特捜部に7月、8月に伺い、資料を提出した。
検察の押収品目録がここにある(と示す)。補足するものとして「証拠を隠した」とする上申書を昨年12月上旬に出している。ここには、昨日捜索が入った鹿島の件も載っている。「西松なんて問題じゃないんですよ。これが出たらみんな逮捕ですよ」という経緯も書いてある。
鹿島の東北支店が昨日(13日)の家宅捜索に入っているようだが、そこはまさに石川が担当していた場所。今回の疑惑の舞台になった場所だと認識している。
こういうもろもろの件は東京地検特捜部には昨年8月、12月と状況はお伝えしているので、それも踏まえていろいろ関係者からの事情も聴取した上で、昨日、関係先の家宅捜索ということになっていると思う。一部民主党の議員は「これは国策捜査だ」「地検は手詰まりだから家宅捜索に踏み切った」と言う方もいるようだが、ちょっとそれは論点が全くずれていると。これはやはり今まで地検がずっと内偵をしてきた中で、必要なところに入っているという認識で間違いないと思う。
石川は他にも昨年12月1日、2日にも、石川個人の事務所問題が読売新聞をはじめとしていろいろ報道されている。石川の個人事務所も事務所費の記載がない。秘書給与の立て替えということも記載がないということも報道されている。これはまさしく事実だ。
その中で石川は説明責任を全く果たしていない。それどころか、小沢さんは「なんでうちの事務所だけ捜査が入るんだ」というような記者会見もされているようですけど、これは論点のすり替えに他ならない。そんな中で地検特捜部は、石川、小沢両事務所の疑惑、こういう金の流れというのを私もいろいろ話をしているが、疑わしい容疑が10あるとすれば、地検はそのうち1つか2つをやっているにすぎないのであって、残り、7つ、8つはある意味では見逃していただいている。石川、小沢サイドからすれば、地検には「大半のところは見逃してくれてありがとう」と言うべきであって、強制捜査が入ったからといって「なぜうちの事務所だけ」という話ではないと思う。
今月号の「文芸春秋」にも詳しく書いているが、これはまさに事実で、今後、石川だけではなく樋高さんもそうですし、当時、証拠を隠した人間は複数おりますので、これも解明されるべきだと思う。
それとともに、東京地検に告発という形で私がするのではないか、もしくはされたのではないかという報道もあるみたいだが、これは事実とは違っていて、告発については今検討をしている。検討しているが、まだ行っている段階ではない。
今、話したことは事実とこれまでの経過だ。