つぶやき、遊び・仕事・日常

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何もないのが幸福

2022-06-02 06:46:02 | 日記
普段はいい加減なおいらだって、時には人生なるものを考えることがある。
それは、佐藤洋二郎氏による著作からだ。
老いを迎えた男性が主人公で、過去が蘇り記憶の底が照らし出される。
それは、生きる意味を問いかけてくるようでもある。

◆人生何もないのが幸福
 ぼんやりとした経験もあり、またある部分は鮮やかでもある。
 知人が捨てた女性に心を寄せたがために、無理心中に引き込まれそうにもなる。
 居酒屋では、女将の情事を偶然に見てしまう。
 競馬場で、見知らぬ男に騙されることもある。

 それらの延長線上には、答えのない問いが待っている。
 人の幸せとは何か、生まれてきたことは喜ぶべきことなのか。
 人と人とは、どのように交わればいいのか。
 そんな難問を読者にも尋ねられる。
 筆者は会話の流れをいったん止めて、静かに問いただす。
 「どうかな」、「どうだろう」という間だ。

 そこに主人公と結婚して永いらしい妻が登場する。
 落ち着いた明るさを持つ、丁寧な口調の礼儀正しい女性だ。
 吹っ切れた性格なのだろう。
 主人公が「幸福ってなんだろう」と尋ねる。
 「何もないのが幸福じゃないですか」と返す。

 たしかにこの世の中、つらいことや苦しいことばかりだ。
 何もないことこそが、幸福なのかもしれない。
 この、地面に近い低い視点に、はっと気づかされる。
 たしかに、「何もないのが幸福」なのかも知れませんね。