第九場(12月上旬。北京・中南海にある中央文革小組の本部。 陳伯達、江青、張春橋、王力)
江青 「紅衛兵のお陰で、彭真も陸定一も、羅瑞卿も楊尚昆も次々と逮捕されました。 気の弱い羅瑞卿などは、飛び下り自殺を図りましたが、失敗して脚の骨を折るという不様な格好で逮捕されましたよ。人民解放軍の元総参謀長にしては、惨めな末路としか言いようがありませんわね」
王力 「まったく哀れな奴らだ。 紅衛兵の襲 . . . 本文を読む
第四場(9月中旬。 北京・中南海にある毛沢東の家。毛沢東、陳伯達、江青)
陳伯達 「主席。紅衛兵運動は今や、北京から全国のほとんどの主な都市に、燎原の火のように勢い良く広まっています。 北京では、これまで実権派に与していた学者や文化人、芸術家らが、紅衛兵によって次々に叩きのめされており、文化大革命は、予想以上の速さで成果を収めつつあります」
毛沢東 「うむ、それは良いことだ。 昨日行なわれた天 . . . 本文を読む
第三幕 紅衛兵旋風!! 劉少奇派の没落
第一幕(8月20日。 北京・王府井〔ワンフーチン〕通り。紅衛兵の腕章を巻いた多くの若者達が、何軒かの商店の前に集まっている)
紅衛兵の代表 「われわれ紅衛兵は、先の十一中全会で決まったプロレタリア文化大革命の方針に従い、古い思想や文化、風俗、習慣を一切廃止する運動に立ち上がった! われわれ紅衛兵は、おととい天安門広場で行なわれた文化大革命の百万人祝賀集会 . . . 本文を読む
第十六場(8月8日。北京・中南海にある懐仁堂。 第八期中共中央委員会・第十一回全体会議が開かれている。 毛沢東、劉少奇、周恩来、登小平、林彪を始めとして、多くの中央委員、同候補らが多数出席。 舞台の両側から、北京の大学、高専の『革命的教員と学生の代表』がしばしば、甲高い喚声と激しいヤジを飛ばしている)
毛沢東 「われわれはもう一週間以上にわたり、議論を尽くしてきた。 これ以上、口を酸っぱくして言 . . . 本文を読む
第十二場(7月20日。 北京・中南海にある周恩来の家。周恩来、江青のいる所に、登小平が入ってくる)
周恩来 「ようこそ、登同志。 さあ、こちらに座って下さい」
江青 「総書記、私も同席させてもらいます」(登小平が椅子に座り、3人がテーブルを囲む)
登小平 「総理、一体どういうご用件で、私を呼び出したのですか」
周恩来 「他でもない。 明日からの十一中全会の準備は整いましたか」
登小平 「 . . . 本文を読む
第八場(6月中旬。 武漢市内の某所。毛沢東、陳伯逹、江青)
毛沢東 「全てはだいたい上手くいっている。 彭真を北京市長から引きずり降ろしてやったし、小うるさい陸平も、北京大学学長をクビにしてやった。 林彪の息のかかった解放軍は、すでに北京周辺を制圧し、劉少奇らにニラミをきかせている。
わしが先月十六日に党幹部に出した通知によって、中央文革小組の成立は揺るぎないものとなった。 すでに北京大学で . . . 本文を読む
第五場(4月。 北京・中南海にある劉少奇の家。劉少奇、王光美、登小平、彭真、陸定一、楊尚昆)
劉少奇 「私がアジア各国を訪問している間に、情勢は極めて緊迫してきたようだな。 羅瑞卿同志が杭州で林彪に逮捕され、総参謀長を解任されたと聞くし、北京の様子も日毎に険悪になってきた。
『人民日報』までが『解放軍報』の二番せんじをするようになっては、事は重大だ。なんとか、打つ手はないものだろうか」
登 . . . 本文を読む
第二幕 毛沢東、文化大革命を発動
第一場(11月上旬。 上海市党委員会の一室、毛沢東のモノローグ)
毛沢東 「つい三週間ほど前、北京にいた時がウソのように、わしは今、この上海に来て生き返ったような気がする。 ここには、彭真らのうるさい監視の目もなければ、尊大な劉少奇の顔を見ることもない。ここには、わしに心から忠実な張春橋や、姚文元ら可愛い連中が沢山いる。
しかも、林彪の部隊がわ . . . 本文を読む
第三場(10月上旬の某日。 北京・中南海にある毛沢東の居宅。毛と江青)
毛沢東 「先日の中央委員会の時には参った。陳伯逹らの言うとおりだったな。 わしが一声あげれば、大抵の連中はわしの言うとおりになると思っていたが・・・失敗だった」
江青 「あなたが倒れたので、私はもう駄目かと思いました。でも、よく回復してくれましたね」
毛沢東 「わしは、つくづく自分が情けないと思う。もう、北京にいては何を . . . 本文を読む
《前書き》
中国の現代史を彩る「文化大革命」とはなんだったのか。それは、政治における凄まじい権力闘争ではなかったのか。 1966年の夏、突如“紅衛兵”が出現した時の衝撃を、私は今でも忘れることができない。私なりに「文化大革命」を追究したくて筆を執った。 なお、これは“レーゼドラマ”(読むための戯曲)であり、あくまでもフィクションである。
時代 . . . 本文を読む
<以下の記事を復刻します。>
私が最も好きな女優は吉永小百合である。われわれの年代(70歳~80歳代ぐらいか)では吉永小百合ファンが多いが、これを一般に『サユリスト』と言う。私はファンクラブに入ったことはないが、熱烈な『サユリスト』だと自負している。何故か? この名前を聞くだけで心が温まり、吉永小百合の名前を書いたり、こうして打ち込んでいるだけで気持が晴れやかになるからだ。つまり、吉永小百合 . . . 本文を読む