東北の自転車旅を終えて
大型連休の前半に東北への旅となった。
人の多いこの連休に合わせることもないのだけど、
5年前の、この時期に合わせたかった?
5年前。
東北を巨大な津波が押し寄せ、甚大な被害から
2ヶ月後、バイクで東北に向かった。
自動車道はところどころ亀裂があり、応急的に補修されていた。また、連休でもあったので、渋滞が続いていた。
海に向かうのはどうすればいいのか、
自問しながら白石市で自動車道を降りて、
国道で海岸線を目指すことにした。
最初に見つけることができた中学校に手紙を届けることが、
その目的でもあったので、津波の被害を受けた海岸線を走った。
中学校は見つからず、バイクを海近くまで走らせた。
途中の畑には船が横たわり、泥をかぶった大木が何本も転がっていた。民家はことごとく壊れていた。
墓石が全て倒れていた。松林がなぎ倒されていた。
倒れず残った枯れた松の木の上にはゴミがぶら下がっていた。地面を手で掘ると、子供のノートが出て来た。
あらゆる生活道具が砂の中から出て来そうで、
言葉を失った。
海を後に、夕刻迫る国道にとって返した。
戻る途中、駐輪場らしき所に女子中学生を見つけた。
ここの中学生らしい。
失礼と思いながらも、津波の被害を尋ねると、
2年生の女子二人が亡くなったとのこと。
中学生に案内してもらい、その学校に手紙を届けることが出来た。手紙とは、勤務先の生徒からの励ましのメッセージだった。
その中学校を後に、仙台に向かった。
そして、5年ぶりに戻ってきた。
まわりは穏やかな空気に包まれていた。
堤防が、半ば完成していた。
この地に再び津波が来ぬことを祈るばかりです。