聞きしにまさるとはこのことか。
いやそんな言葉では言い表せない。
チェロ奏者ヨーヨー・マの演奏だった。
フォーレの「子守歌」でさり気なく始まった演奏。
続いてドボルジャークの「我が母の教えたまいし歌」と続く。
いくつかの小品のあと
ショスタコーヴィチのソナタだ。
決して分かりやすい曲ではないが、
ヨーヨー・マの音にグイグイ引き込まれていった。
負けた。
もうあかん。
後半最初のアルヴォ・ペルト「鏡の中の鏡」は、
ピアノに呼応するチェロのロングトーンの柔らかい音の無限ループに引き込まれてしまった。
(最後のピアニッシモで観客席の咳払いで夢からさめてしまった。バカヤロー、アホ。もう来るな!と言いたいのです。)
最後は、
フランクの「ヴァイオリンとピアノのためのソナタ」
ピアノの素晴らしいダイナミックな響きとヨーヨー・マの超絶華麗なチェロが競争した。いや戦っていた。
その戦いのなかにいる自分に酔ってしまった。怖い。
アンコールに愛の挨拶と白鳥が奏でられ、
やっと現実に戻ることができた。
所沢の夜。