ミュージッシャンと呼ぶのか
音楽家と言えばいいのか。
クラシックもジャズもなんでも演奏される方だったが、
われわれは先生と呼んでいた。
フルートの先生だ。
その先生が亡くなられた。
音大卒業のあとバークレーとニューヨーク大学にも遊学されたと聞く。
数年前、
先生がご指導されている街のフルートアンサンブルに
ひょんなことから参加することになった。
チェロで。
おもえば、ろくに楽譜を読めない自分に、
初見でバロックなど参加させてくださった。
フルートの達人だったけど、サックス、クラリネット、フアゴット、
多くの楽器を演奏なされ、それらの教室も開いていた。
先生ご夫婦らと軽井沢での合宿が一番の思い出になる。
サンサーンスの白鳥を合奏した。
先生はなんとバイオリン、奥さんはキーボード、
かみさんはフルート、僕はチェロで。
音楽にはなってなかったなぁ。
思い出の名演奏にはなりましたが。
先生は、62歳で亡くなった。
先生はわたしの所属しているアマチュアオーケストラの初代指揮者でもあった。
学生指揮者としてできたてのオーケストラを指導なさった。
当時の音楽雑誌の特集にも、
できたばかりの街のオーケストラとして取材されている。
そのオーケストラで、今度奥さんがフルートのエキストラで参加なさる。
きっと先生への思いをこめてフルートを吹かれることと思う。
先生からの最後のアドバイスは
ラフマニノフのヴォカリーズだった。
わたしの横にこられて絞るような声でのアドバイスだった。
8月のこと。
合掌