お地蔵さんに手をあわせる女性。
連日の寒波で冷えきった空気、
そして北からの風は少しは和らいだけど
還暦も古希も過ぎた身には自転車は堪える。
だけどどうしても乗ってみたいという悲しき性。
自転車が一台増えてしまった。いや増やしたのだ。
旅用としての自転車。
部屋にはすでに2台置いてある。
妻と自分のそれ。ロードバイクだ。
このバイクで昨年の秋、もう一人の知人と久しぶりにイベントに出た。
秋雨のなかのイベント。ほとんどずぶ濡れだったけど三人ともよく頑張った。
そして、この真新しい自転車(クロスバイク)を試走すべく、
寒空のなか走ってきた。
いつもとちがうコースをとった。
広い田んぼの中にまっすぐのびる農道を走る。
田んぼもカラカラに乾燥して土が白い。
四方を見渡せるこの農道を走るのが気分いい。
左手遠くに富士山と奥秩父の連山が見える。
右手には、日光連山や上州の山か。
前方遙か浅間山が真っ白だ。
真冬の景色は、厳しく美しい。
初めて通る農道の脇に、ぽつんと地蔵堂が建っていた。
お地蔵さんはかなり時を経た風貌だ。
長い年月風雪にさらされて目鼻立ちははっきりしないが、
大きく堂々とした姿だった。
このお堂が立てられたいわれはもちろん知る由もないが、
寒風のなかに静かに立つ姿はかっこいい。
帰りにふたたびこのお堂の前を通る。
そして、
年若い女性がひとりお地蔵さんに手を合わせていた。
ボクは、少し離れたところから見ていた。